ファンタジーと言えば神話!
神話と言えばギリシャ!
ファンタジーと言えば英雄!
英雄と言えばヘラクレス!
だからヘラクレスは英雄の中の英雄であり、英雄としてトップをひた走る英雄なんです!
今回は新カテゴリー第1回目です。
古今東西の怪物を扱うモンスターレビュー。
武具や神器を扱うアイテムレビュー。
そして今回から始まるのは世界中の英雄にスポットを当てたヒーローレビューです。
そしてその栄えある第1回目はこちら、
ヘラクレスの名は多くの方が聞き及んでいることと思います。
実際彼は多くのモンスターと戦った大英雄なのですが、では何と戦ったかはご存知ですか?
今回は英雄ヘラクレスの足跡をたどりつつ、皆様の創作アイデアに役立つ部分をピックアップしていきたいと思います。
この記事を読めばあなたの手で英雄を生み出すことが出来るはず。
是非、最後までお読みいただけると幸いです。
▽ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!▽

そもそもヘラクレスとはなんぞや?
ヘラクレスとは半神半人のギリシャ神話最大の英雄です。
しかも父は全能の神ゼウスというこれ以上ない後ろ盾です。
母は人間で、ミュケナイ王の娘アルクメネです。
好色なゼウスがアルクメネの軍人である夫に化けて通じもうけた不義の子です。
しかし翌日、アルクメネは遠征から戻った本物の夫との間にもイピクレスという息子を身籠ったため、実はヘラクレスには「父違いの弟」なんてのがいるのです。知らなかったですね。
これ一緒に母胎内にいたんですかね? 双子じゃないけど双子みたい。
さて、ゼウスはヘラクレスをミュケナイの王にしたいと考えました。
そこで「次に生まれた者が王になる」と宣言します。
ゼウスの浮気癖が日々気に入らない妻である女神ヘラは、このままではいずれヘラクレスがミュケナイの王となるのを危惧し、同時期に生まれる予定だったエウリュステウスという子が先に産まれるよう細工します。
まだ七ヶ月だったエウリュステウスが先に産まれたことでヘラクレスは王位を継げず、ゼウスも悔しがりましたがヘラには頭が上がらないというね。
とはいえ、そうとは知らず青年となったヘラクレスは様々な師から武芸を学び、戦で活躍し、テーバイの王女メガラと結婚し、子を授かり、幸せに暮らしていました。
しかしながら嫉妬の神でもあるヘラの嫌がらせは、この後も執拗なまでに繰り返されるのです。
ゼウスによるヘラへのご機嫌取りみたいですね。
この名がより一層ヘラの機嫌を損ねたんじゃないですかね。
ヘラクレスによる「12の功業」
さあここからが本番です。
幸せに暮らすヘラクレスが許せない女神ヘラは、彼に狂気を憑りつかせ、なんとヘラクレス自身に我が子を殺させてしまいます。
正直やっていいラインを余裕で越えてますね。
この1エピソードだけでヘラは悪のカルマMAXだと思いますけどね。
我が子を炎に投げ入れ殺してしまったヘラクレス。
そのことに悲嘆した妻のメガラも自殺してしまいます。
正気に戻ったヘラクレスは嘆き悲しみ、太陽神アポロンの神殿で贖罪の方法を請います。
その神託が「ミュケナイ王エウリュステウスに仕える事」でした。
なんと、本来であれば自分が就くはずだったミュケナイ王の地位です。
そこに現在就いているエウリュステウスに仕えよというのです。
しかしヘラクレスはこの神託に従います。
ただエウリュステウスにしたら気が気でありません。
自分の王位が奪われるのではないか。
英雄に対し恐れと疑念が湧き出ます。
そしてヘラクレスに無理難題を吹っ掛けるようになるのです。
10個の難業をクリアーすれば贖罪が果たされる。
そういう神託も受けていたヘラクレスはこの無理難題に挑みます。
結果的に10個のうちふたつ失敗したので、12個の難題に挑むことになりました。
これが「12の功業」です。
「12の功業」その1 ネメア谷のライオン退治
ひとつ目はネメアの谷で人々を襲う獰猛なライオンを退治することでした。
弓も棍棒も効かないこのライオンをヘラクレスは三日三晩、裸締めで窒息させ退治します。
このライオンの硬い毛皮で防具を造り、以後、彼の愛用品となりました。

「12の功業」その2 レルネの毒蛇ヒュドラの討伐
ふたつ目は9個の頭を持つ毒蛇ヒュドラ退治です。
ヒュドラの毒は触れるだけで命を奪います。
さらに首を斬り落としてもすぐに再生してしまうのです。
ヘラクレスは弟イピクレスの子、甥であり従者を務めるイオラオスに、斬った首の付け根を松明の火で炙らせ、再生を阻止し仕留めます。
しかし甥の助力を得たことをペナルティと咎められ、このミッションは失敗と判定されてしまいました。

「12の功業」その3 ケリュネイアの黄金角を持つ鹿の捕獲
黄金の角と青銅の蹄の雌鹿で、狩猟の女神アルテミスが現存する5頭のうち4頭を所有し戦車に繋いでいる。
残りの1頭が1番すばしっこく、ケリュネイアの山中に放し飼いになっているのをエウリュステウスに生け捕りを命じられた。
アルテミスとヘラクレスの仲たがいを狙ったのである。
ヘラクレスはヒュドラの毒を矢に塗り、シカの足を射って生け捕りに成功するが、帰り道でアルテミスと兄であるアポロンに出くわす。
シカを殺したと勘違いし怒るアルテミスとアポロンに、これは贖罪の難業で、しかも生きてると告げ理解を得た。
てかアポロン、お前の神託でヘラクレスは頑張ってるんだろうがよ。
「12の功業」その4 エリュマントス山の大イノシシ退治
この山へ向かう途中ヘラクレスはケンタウロスと酒の席で争う事になった。
ヒュドラの毒の矢で次々とケンタウロスを倒していくが、そのうちの一本が居合わせた自らの武芸の師でもあるケンタウロスのケイローンに当たってしまう。
ケイローンは不死なので死ななかったが、一生毒に苦しみ続けることになる。
そしてケンタウロス族は散り散りに逃げていく。その中のひとりネッソスもエウエノス河へと逃げていった。

気を取り直し雪山のエリュマントス山でヘラクレスは罠を仕掛け、周囲を荒らしまわる大イノシシを見事捕獲。
担いでミュケナイまで帰ったため、エウリュステウスは恐れおののき聖堂のカメの中へと隠れてしまった。
「12の功業」その5 アウゲイアスの牛小屋掃除
アウゲイアスとはエーリス地方の王で、金羊の毛皮探索に出たあのアルゴ船の乗組員でもあります。
彼の30年掃除していない、3,000頭の牛がいる小屋の掃除を1日で済ませる。それが5つ目の難業です。
なんでしょう、箸休め的な? 趣向を変えた回でしょうか。
ヘラクレスは川の流れを変えて小屋ごと洗い流すという大雑把なことをして周辺に被害を出してしまいます。
この結果、このミッションも失敗判定されてしまいました。
「12の功業」その6 ステュムパロス湖の怪鳥駆逐
ステュムパロス湖に群れを成す怪鳥ステュムパリデスは青銅の翼、くちばし、鉤爪を持っています。
鍛冶の神ヘパイストスに借りた鳴子を使い、大音響に驚き飛び立つ怪鳥を片っ端からヒュドラの毒矢で射落としていきました。
「12の功業」その7 クレタ島の暴れ牛捕獲
クレタ島の牛とはあの牛頭の悲しき王子ミノタウロスの父牛の事です。

ミノス王に牛を欲しいというと島にいるから一人で持ってけ、と突き放されます。
結局ヘラクレスはひとりで牛と格闘し、見事エウリュステウスの元へと持ち帰りました。
「12の功業」その8 ディオメデス王の人喰い馬捕獲
トラキア地方を治めるビストーン人の王ディオメデスの飼う人喰い馬。
凶暴で獰猛なこの馬はディオメデス王の命で王宮を訪ねる旅人を喰うようしつけられていた。
ヘラクレスは逆に王を食い殺させ、この馬を持ち帰ることに成功している。
なお、この難業の後に一時ヘラクレスは、ギリシャ中の英雄が集められたアルゴ船に乗り込んで旅をしている。
この頃にはすっかりギリシャで最も偉大な英雄の座を得ている訳ですね。
「12の功業」その9 アマゾネスの女王の腰帯ゲット
ピンク回です。
エウリュステウスの娘アドメテが、北方に住むアマゾネス(女戦士)たちの女王ヒッポリュテの腰帯を欲しがるので取りに行くことに。
船で小アジア(現トルコ辺り)に着くとヒッポリュテに思わぬ歓待を受ける。
ヘラクレスに好意を持っていた女王は難なく彼女が持つアレスの腰帯を譲ってくれたのだ。
しかしそれでは女神ヘラは面白くない。
ヘラはアマゾネスに扮して他のアマゾネスたちに女王が誘拐されそうだと触れ回った。
こうして駆けつけたアマゾネスたちと結局乱戦となるが、ヘラクレスはなんとか腰帯をアドメテまで届けることに成功したのだ。
なお、だまし討ちに会ったと勘違いしたヘラクレスはヒッポリュテをきっちり殺してしまいました。あわれ。

「12の功業」その10 怪物ゲリュオーンの赤い牛強奪
エリュテイアという絶海の孤島で多くの牛を管理している怪物がゲリュオーンです。
メデューサの血から生まれたクリュサオルの子で、同じくクリュサオルの娘であるエキドナとは兄弟です。
なおゲリュオーンは娘という説もあるのでその場合は姉妹です。
ゲリュオーンは頭が3つで、甲冑に楯と槍を持つ重装歩兵の出で立ちです。
一説によると腕も6本あったと言われています。
しかも牛を飼うための牧犬として双頭の犬オルトロスまでいます。
久しぶりのガチンコ怪物バトルです。
オルトロスは棍棒でねじ伏せ、ゲリュオーンはヒュドラの毒矢で倒し牛を手に入れました。
しかしその帰り道で牛泥棒に会い、ヘラクレスは牛を探してある砂漠まで到達します。
そこで下半身が蛇の美女と出会い、牛を返す代わりに暫く同棲することになります。


この相手がラミアかエキドナの説があり、エキドナの場合、兄弟(ゲリュオーン)と我が子(オルトロス)の仇であるヘラクレスに惚れてしまったという事になりますね。
なんという愛憎劇か。
「12の功業」その11 ヘスペリデスの園から黄金の林檎を持ち帰る
不死を与えてくれるという黄金の林檎を持ち帰るミッション。
昼夜の境界に位置するヘスペリアという国で、黄金の林檎を護る守護竜ラドンと戦います。
この黄金の林檎はゼウスとヘラが結婚祝いに姑である地母神ガイアから送られたものです。
それを奪おうというのだから、これはある種ヘラクレスの復讐に近いかもしれませんね。
モチベ高かったんじゃないでしょうか。

「12の功業」その12 地獄の番犬ケルベロスを連れ帰る
そして最後が冥府の神ハデスの元にいる地獄の番犬ケルベロスを生け捕りにするというもの。
ヘラクレスはハデスの覚えが良かったため、「素手で立ち向かうなら許してやる」と許可を得ることに成功します。

最初の試練、ネメアの獅子と同様に、ケルベロスの首を締め落とし、無事連れ帰ることが出来ました。
最後に初回と同じ技でフィニッシュ決めるってなんかカッコいいですね。
こうして10個の難題をクリアーしたヘラクレスは、12年をかけてようやく贖罪が果たされたのです。
散々ビビってたエウリュステウスには特に何もしなかったようですね。
実は対ギガント最終兵器
ヘラクレスは好色なゼウスの不義により生まれた。
今までそう思い込まれていました。
しかし実はそうではありません。
ヘラクレスは来るべき決戦に備えてゼウスが用意しておいた切り札だったのです。
ゼウス達オリュンポスの神々はティタン神族を打ち破り今の地位に着きました。
その時はゼウス達に味方した大地母神ガイアでしたが、ゼウスは敗れたティタン神族に対し苛烈な罰を与え続けました。
ティタン神族も実はガイアの子たちです。
というよりガイアから全ては生まれています。
ガイアはゼウスに罰を緩めるよう頼みましたがゼウスは聞く耳を持ちませんでした。
そしてついにガイアがキレます。
新たに産み落としたギガンテス(あるいはギガースともいう)を率い反旗を翻しました。
この戦いを「ギガンドマキア」と言います。
ギガンテス(複数形 単数形はギガント)は英語のジャイアント(巨人)の語源です。
身体は大きく剛毛に覆われ、下半身はドラゴンです。
そして何より恐ろしいのは決して「神の力では殺せない」という無敵チート持ちだという点です。
これに対しゼウスが用意しておいたのが人間の英雄ヘラクレスでした。
神ではないのでヘラクレスの攻撃はギガンテスに有効で、彼の強弓が次々とギガントを屠ります。
その攻撃にアテナやアレスといった他の神々も続きました。
対してガイアは最強の怪物テュポーンを産み落とし反撃します。
この怪物に打つ手はなく、神々は動物の姿に身を変え逃げます。
最終的には一度は敗北したゼウスの超パワーアップでテュポーンを撃破し、ゼウス達オリュンポス神の時代は続くことになりましたとさ。
テュポーンが生まれる前の話だから、ヘラクレスが「12の功業」を終えるより以前の話なのかもしれませんね。
ヘラクレスの最期
このような英雄的戦いを他にもいくつもこなしていたヘラクレスですが、やがて再婚し美しい妻を娶ります。
都市国家カリュドーンのオイネウス王の娘ディアネイラです。
ディアネイラを連れて旅をしている時でした。
エウエノスという大河に差し掛かり、ヘラクレスは問題なく渡河しましたが、妻のディアネイラには無理でした。
そこに渡し守をしているケンタウロスがいたので彼女を頼むことになったのです。
ディアネイラを担いで渡り始めたそのケンタウロスですが、中州に着いたところで突然ディアネイラに襲い掛かりました。
慌てたヘラクレスがヒュドラの毒矢を放つと、そのケンタウロスは絶命し、事なきを得ました。
だがケンタウロスは死の淵でディアネイラに囁きます。
「もしヘラクレスの愛が冷めそうになったら、私の血を使うといい」
若いディアネイラはゼウスの血を引くヘラクレスの移り気に不安を感じていたのです。
それからしばらくして、戦から帰ったヘラクレスが女の奴隷を連れ帰りました。
もしやと思ったディアネイラはヘラクレスの衣服にもらった血を塗ります。
するとヘラクレスの皮膚が焼けただれ、苦しみ始めました。
ヒュドラの毒だったのです。
渡し守のケンタウロスは名をネッソスといい、エリュマントス山の大イノシシ退治の時に逃げて行ったケンタウロスだったのです。
殺してくれと苦しむヘラクレスですが、彼を殺せる者などいません。
自ら薪を並べ火をくべると、猛火の中に飛び込みました。
しかし半神ゆえになかなか死ぬことも出来ず、苦しみは長い時間続きました。
あわれに思ったゼウスがヘラクレスを天上に招き、そして彼は神へとなったのです。
ここでようやく女神ヘラは彼へのわだかまりを捨て、仲直りしました。
そしてヘラの娘ヘベと結婚し、神の列へと加わったのでした。
ヘラクレスが出てくる作品
そんなの枚挙に暇がなさすぎる!
ヘラクレスを主人公にしたゲームやマンガは特定のものに限るけど、映画に関しては本当にたくさんあります。
昔TVでもよく放送してましたよ。
超B級なテレビ映画まで。
でも結構印象深い作品も多かったです。
リアルに蛇なヒュドラとか出てくるヘラクレスの映画、あれなんだったんだろう? もう一回見たいな。
そういえばあのアーノルド・シュワルツェネッガー氏もヘラクレスやってましたしね。コメディだったけど。
『ヘラクレスの栄光』
データイーストの看板RPG。
1作目、ファミコンの『闘人魔境伝ヘラクレスの栄光』は最もヘラクレスらしいヘラクレスです。
有名で人気なのは3作目、『神々の沈黙』ですかね。
これは私もクリアーしましたが、いずれもう一回やりたいですね。
DSの『魂の証明』も好きでした。
戦闘は全オートでやりましたが。
他、『Fate/stay night』のバーサーカーとかね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
英雄のクセにヒュドラの毒ばっかり使ってるし、主人公が毒に頼るのってどうなの? って今だと感じちゃうかもしれませんね。
ヘラクレスはこの他にも本当に多くの戦いを経ているので、皆さんの創作にもガンガン役立つと思います。
創作においてこれほど美味しいネタもないのではないでしょうか。
あなたの手でさらなる新解釈を開拓してみませんか?
その時は是非教えてくださいね。
それではまた!