【戦女神アテナ(ミネルヴァ)】苛烈な女神は戦争よりも女に厳しい【ヒロインレビュー第3回】

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アテナとアテネ、よく混同しがちですよね。

女神と言われて最初に思いつくのって結構この方だと思うんですけど、どうでしょうか?
ギリシャ神話でも屈指の有名さを誇ると思います。
ですが意外にも、ゲームなどではあまりメイン級な扱いを受けていないイメージ。
それがこの「知恵と戦の女神」アテナです。

ギリシャの首都アテネの名にもなっているこのアテナ。
今回ズズッとご紹介させていただきたいと思います。

というかこの女神よりも持っている盾の方が今は有名かもしれない。

有名ゆえに逆に知らない女神アテナ、創作の糧に知っておいて損はないと思います。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもアテナとはなんぞや?

アテナとは、ギリシャ神話に登場する「戦の女神」にして、アテネの街の守護神です。

  • 全能の神ゼウスの娘にして、オリュンポス12神の筆頭に数えられます。
  • 戦のみでなく機織りにも精通し、数多くの英雄を庇護する母性愛も兼ね備えます。
  • アテナには知と技芸を司る聖なるフクロウが象徴として付き従います。
  • アイギスという攻防最強の盾を持ちます。
  • ゼウスの一番のお気に入りである彼女は、生涯処女神を貫きました。
  • 後の「ローマ神話」では「ミネルヴァ」として同一視されました。

以上がアテナの概要です。

ちなみにギリシャにある有名なパルテノン神殿こそ、女神アテナを奉る神殿なのです。
ただしアケメネス朝ペルシアに占拠された際、アテナの女神像は神殿ごと破壊されてしまいました。
その後ペリクレス(紀元前495年? – 紀元前429年)により神殿は再建されました。
(破壊された時は未だ建設中だったそうです)

さらにちなみに「パルテノン」とは「処女宮」という意味で、処女神であるアテナを意味しているのではないかと思われます。

さらにさらにちなみに「パルテノン神殿」はギリシャ神話が忘れられ、キリスト教が席巻していた中世以降では聖母マリア教会として、15世紀になるとオスマン帝国に支配されたのでイスラム教のモスクとして改修されました。
17世紀になるとオスマン帝国は神殿に弾薬などを貯蔵して要塞化
ヴェネチア軍による砲撃で爆発炎上してしまいました。
今あるパルテノン神殿は、19世紀にようやく独立したギリシャが「古代ギリシャ」っぽくなるように修復したものになります。
というのも、元々の古代ギリシャの神殿は白一色などではなく、赤青緑と派手な色彩で、なんとなく東洋、中東、エジプトっぽさがあったようなのです。そんなのイメージに合わない、と今の形に修復し、我々のイメージする白い神殿が出来たそうです。

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古代ギリシャでは「海」は「青色」ではなくワイン色と言う。 なぜなら古代ギリシャ語には「海」も「青」も表す単語がないからだ! なぜなのか?

雄々しき出生

アテナの母はゼウスの最初の妻、知恵の女神メティスです。
彼女はなんにでも化けられる変身能力の持ち主で、その力でティタン神族との戦い(ティタノマキア)でも大活躍しました。
しかしゼウスは「メティスから生まれた男神にその座を奪われる」という予言を信じ、恐れから妊娠したメティスを丸飲みにしてしまいます!
この辺り、やっていることはゼウスの父クロノスと全く同じですね。

「お前の変身能力が見たい」と偽って、水滴に変身したところを飲み込んでしまったのです。

しかしそれからというもの、ゼウスは止まない頭痛に悩まされることになります。
ある日我慢できなくなったゼウスは、鍛冶の神ヘパイストスに命じて自らの頭を斧でカチ割らせてみました!

するとそこから完全武装したアテナが雄々しき雄叫びを挙げつつ生まれてきたのです。
すでにゼウスの体内で成人していたのですね。

こうして生まれてきたアテナは女神であったので、ゼウスも彼女を娘としてとても可愛がることになりました。

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アテネの街の人気投票


アテナは海神ポセイドンとアテネを含むアッティカ地方の領有権を巡り対立していました。

そこでどちらを守護神とするか住民に決めてもらうことになりました。

まずポセイドンは自慢の三叉槍(トライデント)を地面に突き立て、そこに塩水の湖を作り出しました。

「どうだオレ様の力! すげぇだろ! 強いんだぞ」

次にアテナも同じように槍で地面を突くと、そこからオリーブの木が生えました。

「住民の役に立つものを用意してやるべきでしょうよ。ったくもう」

住民たちはオリーブを喜びアテナが守護神と決まりました。
ギリシャといえばオリーブですからね♪

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英雄の庇護


アテナは勇者が好きなので、よく人間の英雄を手助けします。

ヘラクレス12の功業に挑んだ際も、大量のステュムバルデスを驚かすために真鍮のシンバルを貸し与えています。
またベレロポンには天馬ペガサスを調教できる黄金のくつわを貸しました。

しかし彼女が最も可愛がったのは英雄ペルセウスかもしれません。
彼が顔を見た者を石と化してしまう恐ろしい怪物メデューサと戦う際、表面を鏡のように磨き上げた青銅の盾を渡し、鏡越しに見れば石化しないと助言を与えます。
こうして見事メデューサを退治したペルセウスは、メデューサの血から生まれた天馬ペガサスを駆り、たまたま帰り道で見かけた、海の怪物へ生け贄に捧げられているアンドロメダ姫をメデューサの首を使い助けてやるという、どうみてもチートな戦法で幸せをゲットしていきます。

これにはアテナもほっこりしてましたよ。

ですが優しいのは英雄に対してであって、女には厳しいのです。



ではその例を二つほど上げてみましょう。

金髪自慢のメデューサ


海神ポセイドンと仲睦まじいゴルゴン三姉妹の末妹メデューサ
美しい金髪をなびかせ、笑うととても素敵で魅力的な女の子です。
ある時ほんの戯れ言でしょうか、「私の髪はアテナよりもキレイ」と言いました。
しかもポセイドンとイチャついていたのがよりにもよってアテナの神殿でだったのです。
何もそんなところで、と思わなくもないですが、これもきっとアテネの守護神になれなかったポセイドンの嫌がらせなのでしょう。

処女を貫く決心でいるアテナに対し、なんとも挑発的な態度と言えます。

これにキレたアテナはメデューサの自慢の髪を生きた蛇に変えてしまいました。
さらに抗議するメデューサの二人の姉も同じようにしてやります。

それだけでは飽きたらず、なんの因果か推しの英雄ペルセウスがそのメデューサを退治するという話になると、アテナは必要な道具から完全攻略法まで余すところなくペルセウスに与えてやったのです。

そして見事ペルセウスがメデューサの首を持ち帰ると、なにを思ったかその首を自分の盾に嵌め込んでしまいます。
これで後述する最強の盾が完成するのですが。
そこまでしますか?
どんだけ苛烈やねん。

機織り女のアラクネ


アテナは戦だけでなく、技芸にも優れた女神でした。
なかでも機織りには定評がありました。
ある日アラクネという人間の娘が「自分はアテナよりも機織りが上手い」と言いました。
確かにアラクネの腕前も並ぶ者なしと謳われるほどでした。

さすがにメデューサはやりすぎたと思ったのか、アテナは老婆に化けてアラクネに近づき、発言を撤回し謝罪するよう促します。
それでもアラクネは態度を改めなかったので、アテナは正体を見せるとそこで機織り勝負をすることになりました。
アテナは12神の荘厳な姿を織りますが、なんとアラクネはあろうことか、ゼウスのセクハラシーンを織っていたのです。

これにキレたアテナはアラクネを蜘蛛に変えてしまいました。

自分の糸で好きなだけ織っているといい。

唯一の例外

生涯処女を貫いた、という文句に偽りはないのでしょうが、実はアテナにはひとりだけ息子がいます。
それはエリクトニオスという半人半蛇で、後にアテナイの王になります。

生まれた経緯はこうです。

アテナと仲良くなりたい鍛冶の神ヘパイストスは、仲良くなろうとしてアテナに向かい射精します。

待って! ひかないで! これ神話だから!

それを必死に避けたアテナでしたが、精液は足にかかってしまいました
すぐに羊の毛皮で拭き取り投げ捨てたのですが、そこからエリクトニオスが生まれたのです。
望んだ子ではなかったかもしれませんが、アテナは彼を庇護し王にまでしたのでした。

最強の盾


アテナの持つ「アイギスの盾」こそ、ギリシャ神話最大の神器と言えましょう。

元々はゼウスの持ち物だったこの盾ですが、お気に入りのアテナに進呈されました。
制作は鍛冶の神ヘパイストス。
Fate/stay night』ではアーチャーがランサーとの戦いで披露していましたね。

  • 物理防御力は最硬レベル。
  • 邪悪、災厄、呪いを防ぐ破邪の耐性付き
  • 形状は諸説あり。主に丸型盾(ラウンド・シールド)で描かれることが多い。
  • ペルセウスから受け取ったメデューサの首を嵌め込むことで後に石化能力も付与された

アイギスは英語読みでイージスです。
ファイナルファンタジー』シリーズでは「イージスの盾」として登場しますね。

イージスと言えば米海軍のイージス艦を想起します。
イージスとは米国の開発した「艦隊防空システム」の名称です。
多数の飛行物体やミサイルなどの攻撃に対処すべく、目標の探知、迎撃判定までを自動化した対空システムです。
世界最高峰の防衛機能を誇りますが、莫大な経費もかかるため、誰でも使える代物ではありません。
もちろん名前の由来は「アイギスの盾」です。

ちなみにギリシャ神話に出てくる神器という名のマジックアイテム類ですが、「武器」よりも「防具」の方が豊富だったりします。この辺、他の国の神話とは趣が違って面白いですね。

アテナが出てくる作品

『聖闘士星矢』

かつて少年ジャンプで連載されていた、ギリシャ神話をモチーフに聖衣(クロス)という鎧を身に付けて戦うファンタジーマンガです。
ヒロインの城戸沙織は女神アテナの化身であり、主人公星矢たちが彼女を護るため奮闘するお話です。
腐女子層に人気のある作品のため、彼女の存在は薄いです。

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『アテナ』

SNK開発のアクションゲーム。
元はアーケードゲームですが各機種に移植されました。
厳密にはギリシャ神話のアテナではありませんが、登場するキャラやアイテムの名称は神話由来が多く、充分アレンジの範囲内でしょう。
後年、主役のアテナ姫の子孫という形で麻宮アテナというキャラが『KOF』シリーズに参戦。
他にもサイコソルジャーとしての設定を活かしたスピンオフ作品が結構あります。

『機動戦士Zガンダム』

パプテマス・シロッコが設計し、レコア・ロンドが搭乗するグリーンボディのMSパラス・アテネ。
全高21.6m。重量65.0t。
多数のビーム砲やミサイルを装備し、単機での敵艦隊攻撃、及び長距離からの味方機支援に特化した機体。
その分、機動性が犠牲となっており、接近戦は不得手である。

HGUC 1/144 PMX-001 パラス・アテネ (機動戦士Zガンダム)

『タイタンの戦い』

特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼン監督作品。1981年。
英雄ペルセウスの物語を原案にした特撮映画です。
メデューサやペガサスなど多くの怪物が登場しますが、ペルセウスの冒険を手助けしてくれるのがブリキのフクロウであるブーボです。
フクロウは聖鳥としてアテナに付き添うのですが、ゼウスの要請で渋々とブーボを貸し出すことに。
この作品では鍛冶の神ヘパイストス制作という事になっています。
ちなみにこの映画は2010年にリメイクされまして、このブーボも王城の宝物庫で埃をかぶった姿で登場します。
特に活躍の場は与えられませんでした。
2010年版をベースとしたゲームも発売されています。

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まとめ

いかがだったでしょうか。

戦の女神といいつつあまり戦いに関するエピソードがありませんが、それは彼女が基本、専守防衛の立場だからに他なりません。
こちらから攻めいることはせず、人々を守護することに重きを置いているのです。
だからこそ彼女の神器は武器ではなく、アイギスという名の最強の盾なのであります。

この設定を生み出した人は天才だと思いますね。

さて設定というともうひとつ、女神アテナに関しては議論の余地が残っているようです。
上でパルテノン神殿は元々は派手な色彩で、中東やエジプトの影響があったと述べました。
であることから、女神アテナも我々のイメージする金髪美人像ではなくて、よりアフリカ系に近い容貌をしていたとする考えがあるようです。
これについてはまだ論争に決着はついていないようですが、ギリシャ神話を題材にして近年ヒットしたハクスラゲーム『HADES』に登場するアテナは黒い肌をしていましたね。

好みは人それぞれですが、あなたはどう思いますか?

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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