【冥王ハデス(プルート)】くじが外れて冥界の支配者に【ヴィランレビュー第3回】

ハデス、またはハーデスというと死者を統べる冥界の支配者のイメージ。
確かにそうです。
そしてそれ故にとかく悪役嫌われ役にされていると思いませんか?

イメージ的には悪のラスボスとしても遜色ないキャラクターかとは思います。
しかし本当の彼は実は真逆の性格の持ち主なのです。

ゼウスのように好色でなければ、ポセイドンのように荒々しくもありません。
妻と二人、静かに暮らす真面目な優等生だったのです。

ということで、
名のある悪役を取り上げる

ヴィランレビュー第3回は冥王ハデスです

ギリシャ神話を題材にしたとき、よく悪役として使われるハデスです。

ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!
【ザ・神話オブ神話】5分でわかるギリシャ神話の世界【サーガレビュー第1回】

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもハデスとはなんぞや?


ハデスはギリシャ神話における冥界の支配者であり、ゼウスとは兄弟であります。

彼の父は先代の支配者クロノス、母はレア

姉に炉の女神ヘスティア、大地の女神デメテル、結婚の女神ヘラ
弟に海神ポセイドン、最高神ゼウスがいる。

実はハデスは長男です。
なので順当に行けば次期支配者はハデスとなるはずでした。
しかし現実はゼウスが支配者となります。

先々代のウラノスを追放し、支配者となったクロノスは、自分も同じように我が子に追放される日を怖れていました。
そのため生まれてくる子をその都度、丸飲みにしていたのです。
それが6番目の子であったゼウスの時、母レアにより難を逃れたゼウスは、やがて5人の兄妹を救出するまでになります。
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【ゼウス】ギリシャ神話の最強主人公【ヒーローレビュー第3回】

この時飲み込まれた順を遡るように吐き出されたので、1番最初に飲まれた長女ヘスティアは最後に出てきました。
順番を言えばポセイドン、ハデス、ヘラ、デメテル、ヘスティア。
これで兄妹の順序も逆転したとする向きもあります。

加えて戦功を挙げたゼウスが最高神に就くことに異議を唱えられる者はいなかったのです。

くじ引きで支配地域を決定


見事クロノスを退けた後、戦後処理について話し合いました。

その結果ゼウス、ハデス、ポセイドンの3人で三界、いわゆる天空、海、冥界の支配を分け合うことに。
担当は公平にくじ引きで決められました
こうして天空はゼウス、海はポセイドン、そして冥界、死者を統べる地底の世界をハデスが治める事となったのです。

冥界というと禍々しい印象を持たれるかと思います。
確かにそうかもしれません。
また、次期支配者の地位から転落したとも受け取れるハデスのこのイメージから、しばしば彼は創作物の悪役、ヴィランに設定されることが多いようです。
陰鬱とした死者の世界に籠っていては、どんなポジティブシンキングもやさぐれたとて仕方ないでしょう。
また、死者の世界は遠く、ハデスも神々のおわすオリュンポス山に常駐しなかった為、ゼウスの兄(弟)でありながら栄光あるオリュンポス12神には数えられないという事も悪の設定に拍車をかけていますね。

しかしですね、本当の彼は人を慈しみ、芸術に感動する大変に優しい性格の持ち主なんです。



竪琴に落涙し、ルールを曲げる


竪琴の名手オルフェウスは、あのアルゴノーツの一員としてセイレーンとも渡り合った英雄です。

そんな彼の妻エウリュディケが毒蛇に噛まれ死んでしまう。
嘆き悲しむオルフェウスは、ゼウスの許しを得てハデスの治める冥界へと赴く。
冥界には死者しか入れない。
なぜなら地獄の番犬ケルベロスが生者は入らないように見張っているからだ。

だがその地獄の番犬もオルフェウスの奏でる竪琴の音色を聴くと大人しくなってしまう。
妻を想い奏でるその美しい旋律にハデスもいたく感動し、特例として妻を連れ帰る許可を与えてしまうのだ。

ただしひとつ条件が付いた。

「生者が地上へ戻る道すがら、決して後ろを振り返ってはならない」

オルフェウスは喜び妻を連れて家路を急ぐ。
しかし道のりは長い。
次第に後ろをついてくるはずの妻が気になりだす。

「妻よ。ちゃんとついてきているか?」
「…………」
「変わりはないか?」
「…………」

背後に異常はないだろうか。
オルフェウスは気になって仕方がありません。
皆さんもどうですか?
長い帰り道、1度も後方確認せずに帰宅するのは難しいと思いませんか?

彼もそうでした。
後少しで地上へ着く。
そこでオルフェウスは、振り返ってしまうんですね。
我慢できなかったんですね。
その時彼は何を見たのか。

結末は決まっています。
妻エウリュディケとは永遠の別れとなってしまったのです。
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ハデスも沈痛の面持ちだったことでしょう。
なんせ彼にも愛する妻がいるのですから。

ハデスの純愛


心優しく、貧乏くじを引かされるハデスだが、ひとりの女神に恋したこともあるのです。

それは姉である大地の女神デメテルの娘ペルセポネ。
恋愛に奥手なハデスはこの恋をゼウスに相談します。

「そんなに好きならさらっちゃえよ」

ゼウス的にはサプライズデート程度の助言だったかもしれませんが、ハデスは文字通りペルセポネを強引に冥界へと誘拐してしまったのです。

すぐにデメテルがゼウスに抗議しますが、ゼウスも自分の助言が絡んでおり、また少なからずハデスの不満も解消しておかなくてはと考え、まともに取り合いません。
激怒したデメテルは全ての職務を放棄、引きこもってしまいます。

大地の女神が仕事をサボるとどうなるか?
地上に作物が実らず、飢饉が襲うのです。

さすがに不味いとゼウスはペルセポネを返すようハデスに命令します。
しかしハデスも精一杯の勇気を振り絞り彼女をさらったのですから納得できません。
そこで地上へ帰る前にせめて食事を、とペルセポネを誘います。
その席でデザートとしてザクロのの実を食べさせました。

実はザクロは冥界の食べ物。
冥界の食物を口にしたら冥界の住人とならなくてはならない厳然たるルールがあるのです。
ハデスによる精一杯の反抗でした。
デメテルからすれば「何て事してくれてんだ!」という話ですがね。

仕方なくゼウスがまたしても仲介に入ります。
ペルセポネが食べたのはザクロの実を4粒。
そこで1年の3分の1は冥界で、残りは地上で過ごす事で決着します。

ペルセポネが地上にいる間はデメテルの機嫌もよく、作物が実ります。
ペルセポネが冥界にいる間はデメテルはふさぎこみ、作物が実りません。
それが「冬」なのです。
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ちなみにですが、最終的にはハデスの真心を受け入れ、ペルセポネは正式にハデスの妻となりました。

ただ、1度だけハデスは浮気します。
メンテという美しいニンフを好きになったのですが、それを知ったペルセポネによりメンテは草に変えられてしまいます。
それこそがみんな大好きチョコミントのミントなんです。

ハデスの治める冥界とは?


ゼウスの兄としてハデスも先の大戦ティタノマキアでは大いに活躍しました。

ハデスとは「目にみえないもの」という意味があり、サイクロプス(キュクロプス)のこさえた姿隠しの冑を使い先陣をきったのです。
ちなみに後のローマ帝国支配時にはプルートとして冥王星を割り当てられます。
意味としては「富める者」。

名前の意味、地底での生活、その影の薄さはしかし逆に彼にとっては居心地のいいものでもありました。
彼は真面目に冥界での仕事に励んだとされます。
そもそも死んだ者が地上へ戻れてしまっては、やがて地上は人で溢れてしまいます。
そうならないよう世界のバランスを保っているのはハデスなのです。

その冥界。
古代では多くの地域で死者の国は地底にあると考えられてきました。
この冥界には囚人を閉じ込めるあの「タルタロス」や、逆に天国ともいえる「エリュシオン」なども死者の世界なのでハデスの領域に含まれます。
必ずしも暗く、陰惨な世界観ばかりではないのです。
ここを間違えてはいけません。

ハデスの治める冥界は、世界を囲むオケアノスの海の果て、昼と夜の境界ヘスペリアの地下にあります。

5つの川である、

・アケロン川(悲嘆)
・ステュクス川(憎悪)
・プレゲトン川(火炎)
・レテ川(忘却)
・コキュートス川(号泣)

この中心にハデスの館、宮殿が建ちます。
そこへ至る道には地獄の番犬ケルベロスがおり、3つの首はそれぞれ「地上から来る者」「地上へ出ようとする者」「ハデスの領内へ出入りしようとする者」を見張り、または威嚇している。

ハデスの宮殿の前庭はペルセポネのために地上のような美しい景色を作っている。
ポプラ並木や種々の草花が咲き誇るという。

この並木道に沿うようにして、「沈んだ太陽を迎える門」と「夢が住む国」が並び合っている。

この庭の地下に流れる川の先に、白い砂の不毛な大地アスフォデルの野があり、死者たちがそこで行く先の審判を待っている。
生前の行いにより厳正かつ公正な審判がくだされ、死者の行く先はエリュシオン(天国)かタルタロス(冥府)が決定されるのだ。

まとめ

・ハデスはゼウスやポセイドンの兄または弟である
・くじ引きで冥界の支配者に決まった
・芸術を愛で、情に厚く、時にルールを曲げることもある
・妻は誘拐してきたペルセポネ
・死者の審判を厳正に行う物静かで真面目な神

いかがだったでしょうか。

ハデスのイメージが少しは変わったでしょうか?

とかくゼウスに恨み持つキャラ設定であったり、闇を愛する破壊の神みたいなイメージもありますが、割りと荒っぽい逸話の少ない神だったりしましたね。
そしてそのビジュアルイメージなんですが、ゼウスやポセイドンって大体決まってるじゃないですか。
白髪の老人だったり。
しかしハデスは色々あるんですよね。
逆にゼウスと似た白髪の老人にデザインされると違和感があったり。

この辺、まだまだ創作に使う余地がありまくりだと思うんですが、皆さんはどう思われますか?

それではまた!

 

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この記事を書いた人

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