【アマゾネス(アマゾン)】女だけの戦闘民族【ヴィランレビュー第5回】

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ギリシャ神話から登場する、野蛮な女戦士たちの集団。それがアマゾネス(アマゾン)。
どちらかというと未開の地にいるようなイメージを持たれることが多いのではないでしょうか。
でもそれってもしかしたら、その名から密林やアフリカの奥地みたいに連想しているのかもしれませんね。

で、実際のところどうなのか?

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもアマゾネスとはなんぞや?


アマゾネス(アマゾンの複数形)は、ギリシャ神話にたびたび登場する女戦士の集団です。

現在で言うところのトルコ北部からロシア南部、要するに黒海沿岸地域に棲息していたとされます。
他にも北アフリカ周辺など、ギリシャから見て辺境とされる地域にいたようです。

オリュンポス12神のひとり、軍神アレスニンフのハルモニアを祖とする戦闘民族であります。

アマゾネスの語源は弓を引き絞るのに邪魔な乳房を片方切り落としたという事から来ています。
ただしアマゾネスをモチーフとした絵画や彫刻に、乳房を切り落とした作品がほぼ見当たらないようなので、この説はインパクトを狙った後付けという見方も出来ます。
創作で必ずしも片乳にする必要はないということですね。

武芸については特に弓矢に秀でているが、槍や斧を持って戦うことも得意。
完全なる狩猟生活を営んでおり、そのため月と狩猟の処女神アルテミスを信奉している。

部族の維持には男との性交は必須のため、戦で捕虜とした戦士を使ったり、近隣の集落の男たちと交流したりするのだが、時には強引に連れ去ったりもしたようです。

生まれてきた子供は女の子であれば立派な戦士に養育し、男の子であった場合はさっさと殺してしまうか、奴隷として生涯こき使ったとされます。
ただし多くは短命に終わったようです。環境劣悪そうですしね。

アマゾネスの有名どころ

有名なアマゾネスの女王を2人ほどご紹介。

ヒッポリュテ

ヘラクレスが行った「12の功業」の9番目に登場したアマゾネスの女王。

ヘラクレスは自らの贖罪のため、難易度の高い試練を12回行ったのですが、そのチャレンジのひとつがこれ。
アマゾネスの女王ヒッポリュテの腰帯をゲットせよ、というもの。

ヒッポリュテの持つ「アレスの腰帯」という下着を欲したアドメテ姫のため、ヘラクレスは危険なアマゾネスの集落を訪れる。
しかし予想に反して世界最強である英雄の来訪を女王は歓迎してくれた。
ヘラクレスには一目置いており、あまつさえ彼に惚れてしまったのだ。

ということで難なく腰帯をゲットできたのだが、それではヘラクレスを憎む女神ヘラは面白くない。
そこでアマゾネスの戦士たちに「女王がヘラクレスに誘拐されそうだ」と吹聴し襲うよう煽ったのです。
突然襲われたヘラクレスは、これは女王の罠だったのかと勘違いをし、ヒッポリュテを殺し腰帯を奪って逃げたのでした。

ペンテシレイア

ギリシャ神話終盤のトロイア戦争でもアマゾネスは登場しています。

トロイア王国の大将ヘクトルがアキレウスに討ち取られた後、敗色濃厚なトロイア側に味方したのがアマゾネスです

トロイアは小アジア(現トルコ周辺)の王国で、黒海沿岸に棲息していたアマゾネスは謂わばご近所。
女王ペンテシレイア率いるアマゾネス軍団の活躍で、トロイアは一時持ち直すことができました。
しかしそのペンテシレイアも結局は英雄アキレウスに討たれてしまいます。

ただ殺す直前にペンテシレイアの魅力に気付いたアキレウスは、以後、殺してしまった彼女に恋慕の情を抱き、苦しむこととなったとさ。

サウロマタイ


以上のように、アマゾネスはおおむね敵役として登場してばかりですね。
これはひとつに古代ギリシャでは男尊女卑が当然の世界であった事が挙げられます。
女性の活躍をやっかむ気持ちの現れかもしれません。

またアマゾネスは実は乗馬の技術に長けていました。
これはモデルとなったのが紀元前9世紀から紀元前4世紀ごろに猛威を振るった騎馬民族、スキタイの影響です。
スキタイには女性の戦士も活躍しており、それを目撃したギリシャ人が神話の中にアマゾネスという敵役を創出したのでしょう。

しかし歴史家ヘロドトスによる『ヒストリエ』では、後にスキタイを滅ぼす騎馬民族サウロマタイこそ、アマゾネスの子孫であると説いています。

ギリシャとの戦に敗れ、捕虜として連行されるアマゾネスたち。
しかし船上で反乱を起こし、黒海へと落ち延びます。
その地にはスキタイ人がおり、始め彼らと対立するも、お互いの若者同士が惹かれあい、交流が芽生え、共に東へと流れ行きます。
やがてその若者たちの子孫がサウロマタイとなり、現在で言うところのウクライナ辺りで暴れまわったそうです。

ちなみにスキタイ人の先祖は英雄ヘラクレスであると神話ではなっています。
怪物ラミアとの間にできた子がスキタイを治めたとかいう話です。

登場作品例

ティリス=フレア
ゴールデンアックス』(1989年/セガ)
ファイアウッド王族の生き残り
サーラ
マジックソード』(1990年/カプコン)
ボウガンの使い手
フィリア
バトルブレイズ』(1992年/サミー)
太陽を意味する「マスラ」、月を意味する「トゥラ」
2本のダガーの使い手
シンディ
デスブレイド』(1991年/データイースト)
23歳。ファンタジー世界のプロレスゲー。

まとめ

  • 女だけの戦士集団アマゾネスはギリシャ神話に登場
  • おおむね英雄の敵役として使われる
  • 乳房を切り落とした話は後付け設定の可能性あり
  • 女は戦士に、男は殺すか奴隷

いかがだったでしょうか。

昔はアマゾネスという呼び方が多かったと思いますが、現在ではアマゾン、またはアマゾーンと表記される事の方が一般的なようです。

スキタイやサウロマタイに関しては、スキタイそのものがアマゾネスのモデルである説や、スキタイと交わったアマゾネスの子孫がサウロマタイであるなど、答えはひとつではないようです。

ただ元々あまり馬を使わないギリシャから見たら、スキタイという騎馬民族は異様に映ったでしょうし、スキタイには女戦士も多くいたそうなので、男尊女卑の強かったらしい古代ギリシャ視点では敵役として格好のモチーフだった、というのは容易に想像出来ますね。

とはいえ現代でもいいように使われまくるアマゾネスというコンテンツ。
是非見かけたらこのようなあらましがあるんだな、と思い返していただければ幸いです。

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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