【鍛冶の神ヘパイストス(ウォルカヌス)】彼は拘束具ばかり作る【ヒーローレビュー第7回】

ダイの大冒険』で言えば魔剣工ロン・ベルク
ドラゴンボール』で言えばブルマ
名探偵コナン』で言えば阿笠博士

主人公が活躍する裏にはそれを支える秘密道具の開発者がつきものです。

強すぎる力に耐えることのできる剣を作ったロン・ベルク。
後半は7つ探す手間すら省略されるほどの高性能なレーダーを作ったブルマ。
犯人を押さえるため非力な身体を補う道具をこさえてくれた阿笠博士。

このような人物は創作上において枚挙に暇がありません。

それは神話の時代からそうなのです。

ヒーローレビュー第7回は、鍛冶の神ヘパイストスです

ヘパイストスはご存知でしょうか。

ギリシャ神話ではあの神々の伝令ヘルメスと並ぶくらいの名脇役なのですが。

ではではギリシャ神話一の職人気質、ヘパイストスについて、今回は取り上げたいと思います。

ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!
【ザ・神話オブ神話】5分でわかるギリシャ神話の世界【サーガレビュー第1回】

それでは今回も皆様の創作の参考になるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもヘパイストスとはなんぞや?


ヘパイストスとはギリシャ神話に登場する鍛冶の神であり、オリュンポス12神のひとりです。

父はゼウス、母はヘラ
兄に軍神アレス、妹に出産の女神エウレイテュイアとヘラクレスの妻となる女神へべがいます。

神統記』ではヘラが単身身籠ったとされますが、一般的にはゼウスとヘラの子とされます。

生まれは申し分のないエリートなのですが、実はヘパイストスは神界一の醜男として有名で、自ら生んだ我が子のその事実に堪えかねたヘラはなんと、生後間もないヘパイストスを海に投げ捨ててしまいます。

運良く海の女神テティスに拾われ、ヘパイストスはニンフたちの手ですくすくと育てられました。
その過程で類稀なクラフトワーク、ハンドメイド、DIYといった、要するに鍛冶技術の才を発露させるのです。

実はヘパイストスはもともとは小アジア(現在のトルコ周辺)の火山神として崇められていました。
しかしこの荒々しい山神もギリシャ神話に取り入れられると、鍛冶職人として新たなキャラ付けがされたのです。

なぜなら火山は炉の象徴とされ、例えばあの一つ目の巨人サイクロプスも腕のいい鍛冶職人としての面を持つほどなのです。

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そのため、ヘパイストスはローマ神話に取り入れられた頃にはヴォルカヌスと名を変え、この名は火山(ヴォルケーノ)の語源となりました。
ちなみに英名はバルカンです。

こうして立派に成長したヘパイストスは、育てのニンフたちに美しい宝石細工やアクセサリーなどを礼として贈り、そしていよいよもって天空に住まう女神ヘラへの復讐を誓うのです。

12神、そして美の女神を娶る


ヘパイストスは自分を捨てた母である女神ヘラに、自らこさえた黄金の椅子を贈りました。

それはもう見事な椅子で、ヘラは喜んで座ったのです。
すると椅子から拘束具が飛び出して、座ったままのヘラは全身がんじがらめに拘束されてしまいました。

この拘束具に関しては「黄金の鎖」「不可視の鎖」など様々な表現がされます。

身動きできないヘラの拘束を解けるのはヘパイストスだけです。
すぐにオリュンポスへ出頭を命じますが、彼は一向に現れません。
当然です。これは彼による復讐なのですから。
全身拘束されたまま、目一杯放置してやるつもりなのです。
さすがに見かねた酒の神ディオニュソスが仲介に入り、酒に酔ったヘパイストスをオリュンポスまで連れてくることに。
ヘパイストスは拘束を解く代わりに自分を認知し、そして美の女神アフロディーテ嫁にする事を希望します。
渋々その条件を飲んだヘラにより、ヘパイストスは晴れてオリュンポスへと引っ越し、アフロディーテを嫁にし、さらに鍛冶の才を認められオリュンポス12神に名を連ねる事となったのです。

実力でこの地位を勝ち取ったのはヘパイストスとアフロディーテ、ヘルメスぐらいかもしれません。
あとのメンバーはゼウスの縁故採用に近いですし。

美女を縛るのが好きな鍛冶職人


晴れて地位と嫁を手に入れたヘパイストスですが、結婚生活はあまり楽しくはありませんでした。

もともと母親ですら顔を背けるほどの醜男です。
美の女神アフロディーテが心を許すはずもなく、しかも鍛冶仕事に真面目な職人気質のヘパイストスとは気が合うはずもありません。

結果、アフロディーテはヘパイストスの兄である軍神アレスと浮気三昧の日々を送ります。

よりによって軍神アレス、神界一の嫌われ者です。

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毎日毎日ヘパイストスが仕事へ出掛ける度にアレスはやって来て、二人の時間を過ごしていました。
しかしそれを黙って許す僕らのヘパイストスではありません。
こっそり二人のベッドに細工を施すと、いつものように仕事へ出掛けるふりをします。

やがて招き入れられたアレスとアフロディーテがベッドで絡み合うと突然、不可視の蜘蛛の糸が飛び出し、あられもない姿のままの二人をがんじがらめに拘束してしまったのです。

ここでは拘束具として「蜘蛛の糸」という表現を多く見かけます。
どちらにしてもヘパイストスは女を縛るのが好きなようです。

そして神々を呼び寄せ二人を晒し者にし、溜飲を下げたというわけです。

とはいえ、アフロディーテの愛に奔放な性格は変わりようもなく、いつしかヘパイストスも美の女神ではなく、戦の女神アテナの方が気になりだします。
しかしアテナは処女神です。
彼女はそのような感情、欲望を一切持ちません。

 

処女神に唯一の子をもうけさせる


その日もアテナは自身のカブトの調子を見てもらおうと、ヘパイストスの職場を訪れていました。
しかしついに、溢れるマグマを押さえられず、ヘパイストスはアテナに手を出してしまうのです。

ですが戦の女神に力で敵うはずもなく、あわれ、彼はひとりで彼女の足にブッかけて果ててしまいます。
素早く毛皮で拭き取ったアテナでしたが、そこからエリクトニオスという半人半蛇が生まれてしまいます。
仕方なく、アテナはこのエリクトニオスを庇護し、後にアテナイの王にまでしました。

なので三大処女神(アテナ、アルテミスヘスティア)であるアテナにとって、唯一例外的に子をもうけさせたのが、この鍛冶に全スキル振り切ったヘパイストスただひとりという事になるのです。

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恋が下手なヘパイストス。
でも彼の生み出す作品群はどれも素晴らしいものばかりですから。

ヘパイストスの一番の作品


数多くの神器を作ったヘパイストス、彼の作品でもっとも有名なのは人類最初の女パンドラでしょう。

鍛冶をするための存在であるヘパイストスの作品は無数にあります。
まずなにより神々のおわすオリュンポスの山頂、そこに佇む黄金の宮殿それ自体がヘパイストス作です。

日用品や装身具、乗り物、武具に至るまで、ほぼほぼ彼の手によるものです。

アポロンやアルテミスの使う弓矢も、アテナの持つ最強のアイギスの盾もです。

そんな彼のもっとも有名な作品こそがパンドラです。

パンドラの箱」という決して開けてはならない箱(古代ギリシャでは実は壺でしたが)を開けてしまったことで有名な、あのパンドラのことです。

「青銅の時代」と言われる頃の人間は戦いに明け暮れ、ゼウスは罰として人間から「」を奪いました。
しかしプロメテウスという神がゼウスを欺き、こっそり人間に火を与えました。
その事を許せないゼウスが人間に更なる罰を与えるため、地上に遣わしたのが最初の女パンドラです。
何故最初かというと、その頃の人間には男しかなく、女は存在しなかったのです。

ヘパイストスが土と水をこねてパンドラを形作り、ゼウスが命を吹き込みました。
そして開けてはならないとされる箱(壺)を持たせて地上へ下ろしたのです。

結果は皆さんご存知のように、パンドラは好奇心に負け箱を開けてしまいます
その結果、中から様々な災厄(疫病や貧困、悲嘆、怨念など)が世界中に撒き散らされ、慌てて蓋を閉めたのですが、時既に遅し。
人々はあらゆる苦痛を伴いながら生きていかねばならなくなってしまったのです。そうでしょう?

ただ、箱の中にひとつだけ残されたものがあります。
それは「希望」あるいは「予兆」もしくは「絶望」です。
これが残されたおかげで、私たちは今もこうしてなんとか生きることが出来るのです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

最後のパンドラについてはまた別記事を用意ししっかりとご紹介させていただこうと思っています。

始まりは不遇なヘパイストスの復讐から成功へのドタバタ喜劇なようでしたが、実は人類にとってなかなかに密接な関係を持つ外せない神であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

そんなヘパイストスはどちらかというと名脇役のポジションにいます。
あらゆる創作物において主人公を手助けする存在、そういうキャラクターに近いかと思います。

という割には、実はオリュンポス12神の中でもひときわキャラが立っていると思うのですが、皆さんはどう思われましたか?

それではまた!

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