【美の女神アフロディーテ(ヴィーナス)】美で全てを手に入れる最上の女神【ヒロインレビュー第10回】

神といえばなにがしかの超常的なチカラ、特殊スキルなどを持っているものですが、このアフロディーテは違います。

ヴィーナスと言えば察しがつくでしょうか?

この女神は自らの美しさでその地位を手にした無敵のヒロインなのです。

ヒロインレビュー第10回は愛と美の女神アフロディーテです

アフロディーテはご存知ですか?

ギリシャ神話における愛と美の女神ですが、ローマ神話に書き換えられた後の名前の方がピンと来るでしょうか。

ローマ神話ではウェヌス、英語読みでヴィーナスのことです。
西洋絵画の古典において最も描かれた女神ではないでしょうか。

彼女は雷を発することも、海に嵐を巻き起こすことも出来ません。
武に長けているでも、知恵が回るわけでも、鍛冶スキルが高いわけでもありません。

彼女が操るのは「」です。
それ故に最恐なのです。

今回も皆さまの創作の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもアフロディーテとはなんぞや?


アフロディーテとはギリシャ神話における愛と美の女神のことです。

この世界を最初に支配した天空神ウラノスは、息子クロノスの反逆に遭い、鎌で性器を切り飛ばされます。それが壮大なギリシャ神話の序章と言えます。

ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!
【ザ・神話オブ神話】5分でわかるギリシャ神話の世界【サーガレビュー第1回】

その性器はエーゲ海を漂ううちにたくさんの泡を吹き出し、その泡からアフロディーテは生まれました

有名な「ヴィーナス誕生」て奴です。

アフロディーテはギリシャ語で「」を表す「アフロス」から来ています。

ただし異説としてゼウスと樫の木の女神ディオーネから生まれたというものもあります。

海で誕生し、海を漂ったアフロディーテが最初に流れ着いたのはキプロス島と言われ、そこはアフロディーテの聖地とされています。
なんでも彼女に魅せられた西風がここまで運んだのだとか。素敵ですね。

その後オリュンポスに連れてこられたアフロディーテですが、その美しさに男神はみな心奪われます。
そして(男神の)満場一致で彼女はオリュンポス12神に加わることになりますが、ゼウスの二親等以内に含まれない唯一の12神なのです。

こうしてその高い地位を手に入れたアフロディーテですが、その美しさと比例するように、自身も愛に奔放過ぎたがため、数々の問題を引き起こしてもくれたのです。

旦那に浮気の現場を晒された


あっという間にギリシャ世界の人気者となったアフロディーテですが、夫となったのは意外にも鍛冶の神ヘパイストスでした。

ヘパイストスはゼウスの妻ヘラの子ですが、実は神界一の醜男という評価でした。

当然アフロディーテにとっても望まぬ結婚です。

ヘパイストスはヘラの子でありながら、その醜さから一度ヘラによって海に棄てられた過去があります。
運良く海のニンフたちに拾われ育てられたヘパイストスは、成長すると鍛冶技術の才能を発揮し始めます。
そこで、座った者を拘束する黄金の椅子を作り、ヘラに贈りつけました。
がんじがらめに縛られたまま長いこと放置されたヘラは観念してヘパイストスの名誉を回復し、彼の願望を聞くことに。
その願望がアフロディーテを妻にすることだったのです。
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さすがにアフロディーテもヘラの命令(懇願)には逆らえず、ヘパイストスと結婚したのですが、それで愛の女神が大人しくはなりません。
当然、恋に奔放、派手好きでパリピなアフロディーテは、寡黙で醜い職人気質のヘパイストスには満足せず、結婚後も浮気のし放題。
なかでも1番の愛人となったのが、ヘパイストスの兄である軍神アレスでした。

ヤンキーなアレスとパリピなアフロディーテという、古代も現代もなんも変わらないカップリングですが、二人の間柄を黙って見過ごすほどヘパイストスも甘くはありません。
こっそりとベッドに細工を施します。
それは二人がベッドで痴態をさらけ出すと同時に発動。
拘束具が飛び出し二人をそのままふんじばってしまいました。
そこへ神々を呼び込んだヘパイストスによって、二人は晒し者となり笑われたのです。

とはいえ愛と美の女神アフロディーテからすれば、これもまた数あるエロハプニングのひとつに過ぎず、実際恥ずかしさのあまり裸で逃げ帰ったアレスとは違い、アフロディーテはベッドの上で微笑んだといいます。テヘペロ。


これに懲りず、その後もアフロディーテは浮気を繰り返します。
アレスとの間には「恐怖」「敗走」を司るフォボス、「恐慌」を司るデイモス、「調和の女神」ハルモニアをもうけます。
フォボスとデイモスはアレスの従者として戦場を駆け回りました。
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他にも神々の伝令ヘルメスとは「生殖と田園の神」プリアポス、両性具有の神ヘルマプロディトスを。

人間の羊飼いアンキセスとはトロイア戦争最後の英雄アイネイアスをもうけています。

また恋のキューピッドでお馴染みのエロスも後々アフロディーテの子であるという設定変更がなされたとか。

ちなみに夫であるヘパイストスはというと、いつしかアフロディーテよりも戦女神アテナの方を好きになり、彼女に対して不敬(未遂?)をやらかしてます。

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懲らしめた女の息子に恋をした


アネモネの花言葉をご存知ですか?
儚い恋」です。
そして赤い花のアネモネは「あなたを愛する」。

恋多く、男を惑わすアフロディーテだが、自身の蒔いた種で悲嘆にくれた事もあります。
始まりはアフロディーテの聖地、キプロスの王キニュラスの娘スミュルナが、アフロディーテを軽んじる発言をしたことから。

「アフロディーテを奉るお祭りなんてめんどくさーい」

誰もが自分を姫扱いしなくては気が治まらないアフロディーテは、ブチ切れてスミュルナに呪いをかけます。

それは彼女の父親に恋する呪いです。
恋愛の使い手ですからね。
しかし古代といえど流石に倫理観が邪魔をしたのか、スミュルナは叶わぬ恋に苦しむのです。
アフロディーテの目的はこの時点で達成されていたはず。
しかし見かねたスミュルナの乳母が動いた事で事態は予想外の展開を見せます

祭りの日の夜、乳母がキニュラス王を部屋に呼び、娘であるスミュルナの想いを遂げさせたのです。
部屋を暗くし、決してベールで覆った女の顔を見ないことを条件に。

王は変わった女もいるもんだな程度に思っていたのですが、そのような情事が数日間に渡って続くと流石に相手の事が気になり出します。
そしてついに約束を破り顔を見てしまうのです。

「ス、スミュルナ!」
「お父様……」

禁忌の行為に怒った王は剣を振りかざします。
慌てて城から逃げ出したスミュルナは悲しみのあまり一本の木になってしまいました。

そこでアフロディーテの予期せぬ事が起こります。
スミュルナはすでに身籠っていました。
そして木になったスミュルナから美少年アドニスが生まれてきたのです。

その美少年にアフロディーテは本気の恋をしてしまいます。
しばらくの間、冥界の女王ペルセポネにアドニスを預けた時期もありますが、成長したアドニスを片時も離さず毎日一緒に過ごしていました。

それに気分を害したのが軍神アレスです。
すっかりアフロディーテが自分を忘れていることに腹を立てたアレスは、大きな猪に化けてなんとアドニスを殺してしまいます。

アドニスの流した赤い血が地面に染み渡ると、そこから赤いアネモネの花が咲いたそうです。
風が吹くだけで散ってしまう、アドニスのように儚い花でした。

ちなみにスミュルナが変わった木はシュルラという防腐剤の役割を持ち、古代エジプトでミイラ作りに使われたそうです。



人妻を他国の王子に与え大戦争を引き起こした


アフロディーテ最大のやらかしがこの話。
トロイの木馬で有名な「トロイア戦争」です。

ギリシャの英雄が終結した大乱闘アルゴノーツの航海というお話の登場人物でもある戦士ペレウスと、海の女神テティスの結婚式がありました。
大勢の神々が招待されたのですが、ただ一人、不和の女神エリスだけ呼ばれませんでした。

怒ったエリスは会場内に黄金のリンゴを投げ入れます。
「最も美しい者へ」と書き添えて。

この一文に反応したのがいわゆる「三美神」と呼ばれるヘラアテナ、そしてアフロディーテでした。

自分こそこのリンゴを受け取るに相応しいと一歩も退きません。
ヘラに渡しとけば丸く収まるのにね。

仕方なくゼウスの仲裁で、トロイアの王子パリスに決めさせようとなりました。
早速三美神は裏工作に走ります。

ヘラは「私を選べば絶対的な権力を与える」と。
アテナは「知恵と勝利を与える」と。
アフロディーテは「1番の美女を与える」と言います。

パリスは迷うことなくアフロディーテの申し出を選びました。

アフロディーテは約束通り、パリスに1番の美女であるヘレネという女を与えます。
もちろん恋する力でパリスに惚れさせるアフターケアもバッチリです。

しかしこのヘレネが問題を引き起こします。
彼女はスパルタ教育でお馴染みの戦闘都市国家スパルタの王弟メネラオスの妻でした。
そしてパリスのトロイア王国は海を隔ててペルシャの領土、要は敵国です。
王弟の妻が敵国に奪われたのです。
面子とヘレネを取り戻すため、スパルタの王アガメムノンはギリシャ中に声をかけ、連合軍を指揮しトロイアに攻め込んだのです。

この戦争は紀元前1200年頃に実際にあったもののようであると言われています。
神々の逸話は上手く創作してますがね。

こうしておよそ10年に及ぶトロイア戦争が勃発します。
多くの英雄が現れ、神々も両軍に分かれたこの戦争は、最後は軍師オデュッセウスの考案した「トロイの木馬」作戦でギリシャの勝利に終わります。

ちなみに『機動戦士ガンダム』のホワイトベースが「木馬」と呼ばれるのはこの話から来ています。

が、ギリシャをも征服した後のローマ帝国により、ギリシャ神話はローマ神話へと書き換えられるのですが、そこでこの戦争の後日談が語られます。

アフロディーテはローマ神話ではウェヌス(英語読みでヴィーナス)という美の女神ですが、トロイア側で生き残った英雄アイネイアスは彼女の子でした。
アフロディーテ=ウェヌスは最後まで戦おうとするアイネイアスに、人々を連れて脱出するように言います。
そうしてアイネイアスは苦難の旅の末、ローマに流れ着いたのです。

そう。ローマ人の祖先はトロイア人である。
という締め括りになっているのです。
いや、実際は知りませんよ。

 

まとめ


アレクサンドル・カバネル「ヴィーナスの誕生」(1863)

いかがだったでしょうか。
12星座のひとつ魚座は、ギリシャ神話のラスボステュポーンから逃げるアフロディーテとエロスが魚に化けた姿とされています。

それはともかく、アフロディーテの原型は世界最古の神話メソポタミア神話に遡り、最も古い女神イナンナ、その発展形のイシュタルが起源とされています。

かの地における美の女神は周辺国の多くの女神と混合され、やがてギリシャ神話でアフロディーテとしてまとめられたのです。
そのせいかアフロディーテの誕生はギリシャから見て東方のキプロス、トルコ方面とされます。

くせ者揃いのオリュンポス12神にあってなお、特異な存在であるアフロディーテ。
男にはない、女にとっての最強の力を駆使した存在であったのは間違いない事でしょう。

それではまた!

 

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