【テュポーン】ギリシャ神話の最凶ラスボス【モンスターレビュー第59回】

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最も有名な神話といえばギリシャ神話でありましょう。
そのギリシャ神話で最も有名な神といえばゼウスでありましょう。

ではそのギリシャ神話のゼウスと戦ったラスボスがどういったものか、ご存知ですか?

それこそがまさしく今回取り上げる怪物テュポーンであります。

テュポーンはゼウスが戦った「3度の大きな戦い」の中でも最後にして最大の強敵です。
そのテュポーンがどれぐらい強敵かというと、今現在でも人類を悩ませる大災害、「台風(typhoon)」の語源となったぐらいであります。

今回はそんな太古のラスボスについて調べてみました。
あわせて「ギリシャ神話」の全体像を把握したいとお思いでしたらこちらの記事もどうぞ。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもテュポーンとはなんぞや?

テュポーンとは、ギリシャ神話最凶のラスボスで、ゼウスを倒すために生みだされた怪物です

  • 天をつく、宇宙へも届かんとするほどの巨体
  • 両腕を伸ばせば世界の端から端へと伸びる
  • 上半身はヒト型だが、腿から下は大蛇
  • 両肩や首回りからは数百の蛇、もしくは竜の首が生えている
  • 瞳からは烈火の炎を発する

そのあまりの恐ろしい姿にオリュンポスの神々は動物の姿にくらましエジプトまで逃げたと言われます。
その姿を見たエジプトの人々が、エジプト神話の神々の頭部を様々な動物の形に表した、という設定まであるほどです

それほどの怪物を前にして、けれどたったひとり逃げずに立ち向かったのがゼウスでした。


ですが残念なことに、ゼウスはこのテュポーンとのタイマン勝負に敗れてしまいます。

テュポーン誕生


テュポーンはどうしてこの世界に生まれ落ちたのでしょうか?
それは大地母神ガイアがゼウスを懲らしめるために用意したのです。

「ティタノマキア」というティタン神族との大戦で、父である農耕神クロノスを倒したゼウスは、この世界の支配者の地位に就きました。
こうしてゼウスに対し反逆したティタン神族は奈落のタルタロスに幽閉し、自身は各地の美女という美女を手当たり次第に口説いてまわり、我が世の春を謳歌していたのです。

その態度に大地母神ガイアはキレました。

ゼウスはガイアの孫にあたりますが、同時にゼウスが懲罰を与えるティタン神族もまたガイアの子らであったからです。

ガイアは新たにギガンテスという「神の攻撃無効化」というチートスキルを持つ巨人たちを生み出し、ゼウス率いるオリュンポスの神々に戦いを仕掛けます。
これがゼウス2度目の大戦「ギガントマキア」です。
ギガンテスには神の攻撃が一切通じません。
そこでゼウスは各地の美女に産ませた我が子の中でも最強の英雄へと育ったヘラクレスを呼び寄せます。
神と人間のハーフであるヘラクレスの攻撃はギガンテスにも有効で、ゼウスはこの戦いにも勝利を収めます。

掴みかけた勝利を逃したガイアは、最後の手段として奈落のタルタロスそのものと交わり、最凶の怪物を生み出します。
それがテュポーンなのです。

ラストバトル


テュポーンの強さは圧倒的で、ひとり残り戦ったゼウスは敗れてしまいました。

敗れはしましたが神であるゼウスは不死の存在です。
いかにテュポーンが強大であってもゼウスを殺すことは出来ません。
そこでゼウスは手足の腱を奪われ、身動きできないままデルポイの近くにある「コリュキオンの洞窟」に閉じ込められてしまいます。
それを救ったのはオリュンポス12神のひとり、「神々の伝令役」であるヘルメスでした。

テュポーンもまた深傷を負い、ガイアのもとへ退避していました。
そこへ「泥棒の神」でもあるヘルメスは忍び込み、奪われたゼウスの手足の腱を取り戻すと洞窟へ戻りゼウスを救出したのです。

さて、反撃にたぎるゼウスは再びテュポーンに戦いを挑みます。
今度はそう簡単にはやられません。

ゼウスの雷霆(らいてい)とテュポーンの炎が激しくぶつかります。
特に雷撃はすさまじく、ハデスの地下宮殿にまで雷鳴が轟き揺れ動きます。
負けじとテュポーンの炎も大地を溶かし、煮えたぎるマグマで満たします。

気合の入ったゼウスに苦戦するテュポーンは、「運命を司る女神」モイライ三姉妹を脅し、あらゆる願いが叶うという「勝利の果実」を奪います。
この果実は食べた者のあらゆるステータスをアップさせる強化アイテムです。

しかしなんと、食べた果実は真っ赤なニセモノ。
「勝利の果実」とは真逆の性質を持つ「無常の果実」だったのです。
知らずに食べてしまったテュポーンは、みるみる能力値が下がっていきます。
「無常の果実」の効果は「デバフ(永続)」というエグいモノだったのです。

力の弱くなったテュポーンに対し、ゼウスは大岩を投げて下敷きにしてしまいます。
こうしてテュポーンは封じられたのです。
その場所が現在のイタリア南西部にあるシチリア島であり、その大岩が島の東部にあるエトナ火山なのです。

神同様に不死であるテュポーンはまだ生きており、彼が足掻く度にエトナ火山は噴火を繰り返すとされています。

決着がつくとガイアもいよいよ観念し、これ以降ゼウスに戦いを仕掛けることはなくなりました。

ちなみに、テュポーンはぶちギレたガイアがタルタロスと交わり生んだことになっていますが、異説もあります。

  • 浮気の治らないゼウスにキレたヘラの訴えを聞き入れ、ガイアはゼウスの父クロノスからもらった卵を孵化させテュポーンを誕生させた説
  • もうひとつは、浮気の治らないゼウスにキレたヘラがひとりでテュポーンを生み出した説

どちらにしてもゼウスの慢心と驕りが原因なんですよね。

テュポーンの生んだ怪物たち


テュポーンは同じく半蛇の怪物エキドナを妻として、二人で多くの怪物を生み落としています

以下がその主なモンスターたちです。

  • 冥界の番犬ケルベロス
  • 黄金の林檎を守るラドン
  • ネメアの獅子
  • プロメテウスの内臓をついばむワシ
  • コルキスで金羊の毛皮を守る龍
  • 下半身が獣である美女スキュラ
  • ゲリュオンの怪犬オルトロス
  • レルネーの水蛇ヒュドラ
  • 獅子と山羊の頭に蛇の尾キマイラ
  • 人頭に獅子の胴、鷲の翼スフィンクス

これ以外にもさすが台風の語源だけはあるというか、モンスターだけでなく、多くの「荒々しい風」も生んでいます。

テュポーンとは「風と炎を操る巨大な蛇神」なのです。かっこいいですよね。
まさにラスボスの風格があるじゃあありませんか。

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まとめ

  • テュポーンはゼウスと戦ったギリシャ神話のラスボスである
  • 台風の語源にもなった強大なモンスターである
  • エキドナと二人で多くの怪物を生んだ
  • 今もエトナ火山の下敷きになっている

いかがだったでしょうか。

ラスボスらしくスケールの大きい怪物だったのではないでしょうか。

ひとつ疑問があるとすれば、テュポーンの前に生んだギガンテスのように、「神の攻撃無効」というチートスキルを搭載しておけば負けなかったのではないかと思うのですが。

あのスキルを貫通するためにゼウスは人間であるヘラクレスに援護を願い出たわけです。
ガイアはギガンテスに持たせられたのだから、テュポーンにも可能だったのではないかと思うんですよね。

メタ的にはゼウスの勝ち目が無くなるからだとしても、創作者ならそこに巧い後付けを考えてやりたいものです。

例えば、テュポーンには代わりに「不死」をつけた、というところでしょうか。
その結果、今もエトナ山の地下で足掻いているのだとしたら、不死も考えものですがね。

このテュポーン戦以降、ギリシャ神話は神々による日常回を挟み、人間たちによる戦争の話へと移りゆきます。
よろしければ他のギリシャ神話の記事もお楽しみいただければ幸いです。

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
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