最も有名な神話といえばギリシャ神話でしょう。
最も有名な神といえばゼウスでしょう。
ではそのギリシャ神話のゼウスと戦ったラスボスがどういったものか、ご存知ですか?
テュポーンはゼウスのが戦った3度の大きな戦いの中でも最後にして最大の強敵です。
それはどれぐらいかというと、今現在でも人類を悩ませる大災害、「台風(typhoon)」の語源となったぐらいです。
今回はそんな太古のラスボスについて調べてみました。
是非皆さんの創作の参考に、読書やゲームを楽しむ味付けに、ご活用ください。
ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!
□【ザ・神話オブ神話】5分でわかるギリシャ神話の世界【サーガレビュー第1回】
そもそもテュポーンとはなんぞや?
テュポーンとはギリシャ神話最凶のラスボスで、ゼウスを倒すために生み出された巨神です。
・両腕を伸ばせば世界の端から端へと伸びる
・上半身はヒト型だが、腿から下は大蛇
・両肩や首回りからは数百の蛇、もしくは竜の首が生えている
・瞳からは烈火の炎を発する
そのあまりの恐ろしい姿にオリュンポスの神々は動物の姿にくらましエジプトまで逃げたと言われます。
そのためエジプト神話の神々は動物の姿をしているとかいう設定まであります。
その怪物にたったひとり、逃げずに立ち向かったのがゼウスでした。
しかしゼウスはこのタイマンに敗れます。
テュポーン誕生
父クロノスを倒し、支配者の地位に就いたゼウスは磐石の体制を築きつつあった。
反逆したティタン神族を奈落のタルタロスに幽閉し、自身は各地の美女という美女を手当たり次第に口説いていた。
その態度に大地母神ガイアはキレた。
ゼウスはガイアの子ではあったが、同時にゼウスが懲罰を与えるティタン神族もまたガイアの子らであったからだ。
ガイアは新たにギガンテスという「神の攻撃無効化」というチートスキルを持った巨人たちを生み出し、ゼウス率いるオリュンポスの神々に戦いを仕掛ける。
しかし「ギガントマキア」と呼ばれるこの戦いも人間である英雄ヘラクレスの活躍でゼウス側の勝利となる。
掴みかけた勝利を逃したガイアは、最後の手段として奈落のタルタロスそのものと交わり、最凶の怪物を生み出します。
それがテュポーンです。
ラストバトル
テュポーンは圧倒的でゼウスすら勝てませんでした。
しかし不死である神々は殺すことはできません。
手足の腱を奪われ、身動きできなくなったゼウスは、デルポイの近く、コリュキオンの洞窟に閉じ込められます。
そこを救ったのは神々の伝令役ヘルメスでした。
深傷を負ったテュポーンもガイアのもとへ退避していましたが、そのテュポーンから腱を奪い返すとゼウスを救出したのです。
反撃にたぎるゼウスは再びテュポーンと戦います。
今度はそう簡単にはやられません。
ゼウスの雷霆(らいてい)とテュポーンの炎が激しくぶつかります。
特に雷撃はすさまじく、ハデスの地下宮殿まで雷鳴が轟き揺れ動きます。
テュポーンの炎も大地を溶かし、煮えたぎるマグマで満たします。
苦戦するテュポーンは、運命を司る女神「モイライ三姉妹」を脅し、あらゆる願いが叶う「勝利の果実」を食しステータス強化を計ります。
長女はアトロポス、次女ラケシス、三女クロートー
この三姉妹により人間の寿命は決められてるというのです。
しかし渡された果実はニセモノで、真逆の性質を持つ「無常の果実」でした。
知らずに食べたテュポーンは、みるみる能力値が下がっていきます。
なんとその果実は「デバフ効果(永続)」というエグいモノだったのです。
ゼウスはテュポーンに大岩を投げて下敷きにしてしまいます。
その場所が現在のイタリア、シチリア島であり、その大岩が島の東部にあるエトナ火山です。
今も不死であるテュポーンは生きており、彼が足掻く度に噴火を繰り返すとされています。
決着がつくとガイアも観念し、これ以降ゼウスに戦いを仕掛けることはなくなりました。
ちなみに、テュポーンはぶちギレたガイアが生んだことになっていますが、異説もあります。
どちらにしてもゼウスの慢心と驕りが原因なんですね。
テュポーンの生んだ怪物たち
テュポーンは同じく半蛇の怪物エキドナを妻とし、二人で多くの怪物を生み出しました。
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□多産の母! 多くの怪物を生んだエキドナ【モンスターレビュー第22回】
以下がその一例です。
・黄金の林檎を守るラドン
・ネメアの獅子
・プロメテウスの内臓をついばむワシ
・コルキスで金羊の毛皮を守る龍
・下半身が獣である美女スキュラ
・ゲリュオンの怪犬オルトロス
・レルネーの水蛇ヒュドラ
・獅子と山羊の頭に蛇の尾キマイラ
・人頭に獅子の胴、鷲の翼スフィンクス
個別記事のあるモンスターもいらっしゃいます。
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□怪獣じゃない! 黄金の林檎を守護する竜ラドン【モンスターレビュー第23回】
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これ以外にもさすが台風の語源だけはあるというか、多くの「荒々しい風」をも生んだとされています。
カッコいいですね。
「風と炎を操る巨大な蛇神」
ラスボスの風格あるじゃないですか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ラスボスらしくスケールの大きい怪物だったのではないでしょうか。
ひとつ疑問があるとすれば、テュポーンの前に生んだギガンテスのように、「神の攻撃無効」というチートスキルを搭載しておけば負けなかったのではないかと。
あのスキルを貫通するためにゼウスは人間であるヘラクレスに援護を願い出たわけですが。
ガイアはギガンテスに持たせられたのだから、テュポーンにも可能だったのではないかと思うんです。
メタ的にはゼウスの勝ち目が無くなるからだとしても、創作者ならそこに巧い後付けを考えてやりたいものですよね。
代わりに「不死」をつけた、というところでしょうか。
その結果、今もエトナ山の地下で足掻いているのだとしたら、不死も考えものですね。
それではまた!