悪魔と言えば魂の契約。メフィストフェレスは悪魔観を変えた【モンスターレビュー第29回】

「悪魔」と聞いて、あなたはどの悪魔を連想しますか?

単に天使に対するイメージとしての悪魔でしょうか?
ゲームやマンガに詳しい方は「サタン」とか「ルシファー」とか「アスモデウス」とか「アモン」とかですか?

でもどうでしょう。
悪魔メフィスト」って聞いたことありませんか?
なんとなくのイメージですが、黒いスーツをビシッと着て、人間界に現れて「魂の契約」を交わす。
ドラマにもありそうなこの悪魔のイメージ、メフィストという名前。
どこかで聞いたことある人も多いんじゃないでしょうか?

でも実はよくわからないこのメフィストという悪魔の立ち位置。
今回はこれについて調べてみましたよ。

モンスターレビュー第29回は
時間よとまれ。お前は美しい」悪魔メフィストフェレスです

悪魔というとコウモリの羽に尻尾があって、牙があって恐ろしい形相で、体もデカくて野獣のようで、邪悪で恐ろしいイメージですよね。
でも現代社会に現れて、いわゆる「魂の契約」を交わすような悪魔って、外見はジェントルマンのような人間の姿で出てくることもしばしば見かけませんか?
そんなイメージの最前線にいるのが今回取り上げる「メフィストフェレス」です。

創作で「悪魔」「人間」「社会」をテーマに取り扱うなら色々と参考になると思います。

是非、最後までお読みいただけると幸いです。

目次

そもそもメフィストフェレスとはなんぞや?


ドイツの伝承に現れる悪魔です。
漆黒の体にあごひげ、額に二本のツノ、コウモリの羽と脚はロバの蹄。
まるで獣じみた、鬼のような、ザ・悪魔といった感じの風貌です。
正体は「グリフォン」もしくは「ドラゴン」のようとも言われるそうですが、あまりそのイメージは描かれません。
二匹のドラゴンに馬車をひかせるというイメージも語られたりします。

性格は冷淡で皮肉屋。
辛辣な道化師のように人の涙をあざ笑う。
意地悪で、美徳とされるものを非難し、才能あるものには侮辱を、栄光を手にした者は中傷する。
高尚なものに対しては軽口で茶化し、からかい、相手を凹ませるためには論点をすり替えてでもマウントを取ろうとする。
世の中を斜め上からバカにすることで本人は「世直し」をしているとでも思っている。

あれ? これって現代でもネットの中でよく見かけるな
メフィストフェレスは今も活動中なのか。

メフィストフェレスは強力な悪魔であるのは確かであり、「地獄の七大支配者のひとり」「サタンの代行者」などとされている。

能力的には「未来予想」ができ、天文学占星術気象学に長け、人間の心理を読み取り誘惑する術を心得ている

変身能力も有しており、人前に現れる時は「猫背で鷲鼻の男」「旅する学生」「スペイン貴族」、また犬の姿で共に旅をすることもあったという。

直接的な戦闘能力というよりも、社会の中で人間を翻弄するタイプですね。
アクションよりもサスペンス向きなキャラですね。



ファウスト博士とメフィストフェレス


ではそのメフィストフェレスが一躍有名になったのはいつ頃なのか。

これは誰がメフィストフェレスと魂の契約を交わしたのか、というお話に繋がります。

時代は16世紀ごろ。
場所は神聖ローマ帝国(現ドイツ)。
ここに魔術錬金術に長けたひとりの老人、ファウスト博士という人物が実在しました。
若かりし頃、教師を生業としていたファウストは、後にポーランド南部の都市クラカウにて魔術に傾倒していきます。
机に蛇口を付けてワインを注いだり、ギリシャ神話の英雄を呼び寄せて見せたりしました。

しかし性格は傲岸不遜で、同時代の宗教改革家マルティン・ルターに言わせれば「彼は悪魔と契約した妖術使い」とのことだそうです。
実際悪名高い人物だったようで、彼曰く「神聖ローマ帝国が戦争に勝ったのは自分のおかげ」「空を飛んだり、なんなら悪魔を犬にして連れ歩いてる」などとのたまい嫌われていたそうです。

今ならこれぐらい普通に言う奴多そうですけどね。
当時は実に不遜な態度ととられたのでしょう。

このファウスト博士、実は死にざまが凄惨でして、錬金術の実験中に爆発を起こし、バラバラになった血の海の中で、二つの目玉と無数の歯だけが残っていたというのです。

この悪名高い有名人ぶりと、凄惨な死の結末が、格好の題材となり、すぐに多くの詩や文学、戯曲といったテーマとして採用されるようになりました。

そこでメフィストフェレスの登場です。
ファウストの裏には魂の契約を交わした悪魔の存在がある。
この設定が大流行したというわけですね。

当初出版された本ではメフィストフェレスという名はなく、単に「悪魔」としかなかったそうです。
しかし後に出版された『実伝ファウスト博士』という作者不詳の本にて初めて「メフォストフィレス」という名が出た。
ちょっと読みが違いますが、最初はこうだったようです。
次第に「メフィストフィレス」と変化していったようです。

ゲーテによる『ファウスト』


それではこのファウスト博士にまつわる物語とは一体どういったものだったのでしょうか。

一番有名であり、今では定説に近い扱いを受けているのが、19世紀、ドイツの文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによる戯曲『ファウスト』でしょう。
彼はなんと60年の歳月を注ぎ、この『ファウスト』を書き綴り、書き上げた翌日に82年の生涯を閉じたのです。

ゲーテの最期の言葉が「もっと光を!」だったそうですが、実はメフィストフェレスの名の意味が「光を嫌う者」というのだから驚きです。
もしかしてゲーテもメフィストフェレスに憑りつかれていた?

しかし大長編を書き上げて逝くってのは作家冥利に尽きる、のかな。

ゲーテによる『ファウスト』をかいつまみますと、

長年研究に没頭し年老いたファウストは、その自身の生涯を悔いていました。
そこに悪魔メフィストフェレスが現れ賭けを申し出ます。

若返り、人生をやり直させてやる。
ただし人生に満足したとき、合言葉を言うと、魂はメフィストフェレスの物になる。

といった感じです。
この賭けに乗り若返ったファウストは、メフィストの力も使役して、どんどんと出世していきます。
愛する女性も出来ましたが、彼女は非業の死を遂げるという悲劇もありました。
しかし神聖ローマ帝国の官僚になり、功績を上げ、財産も築き、実に満足いく人生を謳歌していました。

そこでつい、合言葉を口にしてしまうのです。

時間よとまれ。お前は美しい

何で言っちゃうかなあ。
まあ何十年もたってれば忘れるし調子乗っちゃったかな。

さあ魂を頂こうとするのですが、そこで奇跡が起こります
非業の死を遂げた愛する彼女に導かれ、ファウストの魂は無事に神の御許へと向かい、メフィストフェレスのものにならなかったのです。
じつはメフィストフェレスはファウストに会う前、この神と賭けをしていました。
ファウストを正しく導こうとする神と、それを邪魔したいメフィストフェレスの賭けだったのです。
結果はファウストが愛する女性を得たことで神の勝ちとなりました。

なんだかハッピーエンドじみてますが、これはゲーテの『ファウスト』の話です。
元になったほかの様々な物語ではファウストは悲惨な最期を迎えています。

なお、他のファウストを扱った作品では細かい部分が違っており、例えば、

・最初にサタンを召喚して従者であるメフィストフェレスを使役する権利を得る。
・その期間は24年間で、24年後に魂を渡す約束となる。

といった違いもあります。
なぜ24年間なのか?
1日が24時間だからかもしれませんね。

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メフィストフェレスが出てくる作品

『魔界医師メフィスト』
菊地秀行作品における『魔界都市〈新宿〉』を扱った作品では至る所で登場しています。
死人を生き返らせる以外何でも治せる医師であり、魔界都市〈新宿〉で最も敵に回してはいけない魔人のひとりです。
黒い長髪に白衣、メスや針金を用いて戦う事もあり、女が嫌い。
彼が主役のシリーズもありますが、準レギュラーとして多くの作品に出ずっぱりです。
厳密には悪魔メフィストフェレスではありませんが、メフィストの名を冠する代表例であります。
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『悪魔くん』
水木しげる先生のマンガ『悪魔くん』は主人公が十二使徒と呼ぶ悪魔を使役する物語です。
エロイムエッサイムと唱える呪文が有名ですね。
この中のリーダー格がメフィスト二世。
シルクハットにスーツ姿の悪魔です。
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その他の登場例
『ウルトラマン』
初代ウルトラマン第33話「禁じられた言葉」で登場するメフィラス星人はメフィストフェレスに由来しているそうです。

他にもいくつか登場例があるようです。
この項目は追加できるよう、今後もメフィストフェレスを追ってみたいと思います。

まとめ


いかがだったでしょうか。

メフィストフェレスの一番の功績は中世において人々の悪魔観を変えたことにあります。
人間を誘惑し、社会で惑わせ、魂の契約を交わす。
単に敵対者として立ちはだかるのではなく、人間の弱い心に付け込んで堕落させる。
契約という社会のルールを逆手にとって甘い汁を吸わせようとする。
狡猾で恐ろしい悪魔像を浸透させたのです。

結果、現代でも悪魔と言えば凶暴な破壊者でありつつも、誘惑を促す悪魔のささやきという面も併せ持つ存在となりました。

こういう価値観を変えるキャラクターというものを生み出すことが出来るのも、物語の創作による力だと思いますね。

みなさんもぜひ、そんな創作を目指して頑張ってください。
メフィストフェレスのような悪魔を生み出せたら、その時は是非教えてくださいね。

それではまた!

 

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この記事を書いた人

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