エオスはギリシャ神話に登場する、夜明けを告げる女神。
とても恋多き女神で、それゆえに業を背負う事になります。
今回は女神のコイバナです。
皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
ティタン神族からオリュンポス神族の時代へ
エオスはティタン神族であり、先代太陽神ヒューぺリオンの娘です。
朝焼けを思わせる白い翼と、太陽の炎のごとき赤い髪の女神です。(金髪という設定も聞きます)
世界はゼウス率いるオリュンポス神族が覇権を握る以前、クロノス率いるティタン神族が牛耳っていました。
しかしゼウスが世界を統べるようになると、多くのティタン神族は冥府のタルタロスへと幽閉されてしまいます。
そして空席となった様々な役職にオリュンポスに連なる神々が就く事になったのです。
しかしながら必ずしも全てのティタン神族が幽閉されたわけではなく、なかには引き続きゼウスの支配のもと、その役職を継続できた者もいます。
エオスもそのひとり。
彼女の役目は夜の闇が明け始める頃、東の果てにある自分の神殿から、太陽を先導するために夜空を西へと駆けることでした。
夜明けを告げる。
それが初代太陽神ヒューぺリオンから受け継いだ役目です。
エオスには兄姉がいます。
二代目太陽神ヘリオスと、月の女神セレネです。
太陽の光に関する業務を三人で分かち合っていました。
真面目に毎日夜明けを告げる仕事を黙々とこなすエオス。
そのためゼウスに受け入れられたのです。
ですが彼女にも欠点があります。
恋多き乙女なのです。
エウロラを英語読みにするとオーロラです。
オーロラの語源となったのは彼女、エオスなのでした。
エオスの愛した男たち
エオスとコイバナで有名な三人をご紹介します。
巨人オリオン
1人目はポセイドンの息子でもある巨人オリオン。
冬の星座オリオン座になったあのオリオンです。
彼はとても狩りが上手い豪放磊落な巨漢です。
そんなオリオンに恋したエオスは、彼を自分の神殿に住まわせ一時も離れませんでした。
夜明けを告げる仕事だけは続けましたが、彼に会いたいので手早く済ませます。
そのため彼といる間は夜明けが短くなるそうです。
エオスの雰囲気を怪しんだ月と狩猟の女神アルテミスは、エオスの神殿にいるオリオンの事を知ります。
そこでなんと同じ狩りが趣味ということで二人は急接近。
エオスはオリオンに捨てられてしまいます。
その後のオリオンがどうなったかは下記の記事をご参照ください。
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軍神アレスにホレられる
エオスを気にした者の中に厄介な神がひとり。
軍神アレスです。
彼もエオスが気になって仕方ありません。
そのアレスと愛人関係にあったのは愛と美の女神アフロディーテ。
エオスはアフロディーテの恨みを買ってしまったのです。
女の敵は女というやつですね。
アフロディーテはエオスを懲らしめてやろうと呪いをかけます。
人間の男だけが攻略対象
エオスはアフロディーテの呪いによって、人間の男しか愛せなくなったのです。
恋多きエオスはそれ以後、気に入った人間の男を見つけるや、自分の神殿に連れ去り共に過ごすようになったのです。
しかし、不死である自分とは違い、人間には寿命があります。
何人もの恋人が老いさらばえて死んでいくのを見届けました。
それはとても辛いことでした。
トロイアの王子ティトノス
それは、いつものように東から西へと太陽を先導していた時のこと、トロイアという国の王子ティトノスを見初めてしまいます。
エオスは人間の振りをして近づくと、彼もエオスの美しさに惹かれ、やがて二人は恋に落ちました。
けれどエオスはもう悲しい思いをしたくありません。
そこでゼウスに懇願します。
「どうか愛するティトノスに不死をお与えください」
オリュンポス時代にゼウスの権威を増すために改竄されたのかもしれませんね。
ゼウスはエオスの願いを聞き入れます。
喜んだエオスはティトノスに自分が女神であること、一緒に永遠を過ごして欲しいこと、そのためにはトロイアを出なくてはならないことを告げます。
ティトノスはその全てを飲みます。
彼もエオスを愛していたのです。
エオスの神殿に入ったティトノスは無事に不死となり、共に永い年月を過ごすこととなりました。
が、エオスはひとつミスを犯しました。
不死の願いを聞いてもらいましたが、不老とは言わなかったのです。
年月と共に老いていくティトノス。
それは人間の寿命の限界を越えてなお、老いるのです。
決して死ぬことの出来ない、不死の老化現象。
エオスはついにそんな変わり行く恋人の姿を見ていられなくなり、彼を石の部屋に閉じ込め外から鍵をかけてしまったのです。
不死ですから、水も空気もなくても生きてます。
そうして彼の発する声だけを聞いて過ごしましたが、やがてその声も聞こえなくなります。
ティトノスは粉にまで崩れ落ち、消え去りました。
そしてそこには「エオス、エオス」と鳴くセミが一匹いたという話です。
まとめ
・アフロディーテに人間の男しか恋しない呪いをかけられた
・ティトノスを不死にしたが不老ではなく、最期は消えてしまった
いかがだったでしょうか。
エオスのようにティタン神族でありながらゼウスの支配下で存続し続けた神もいます。
しかしながらどことなく閑職に追いやられている感は拭えませんね。
さてティトノスの件ではやらかしてしまった訳ですが、確か神々は神酒ネクタルを煽ることで不老を維持していたような気も。
それにゼウスの正妻ヘラは、若さを保つために毎年カナトスの泉で沐浴をしていたような気もします。
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神と言えどアンチエイジングは欠かさないのであれば、ティトノスも救われた可能性があったのではないでしょうか。
それともやはり、そこはオリュンポス神族の特権であり、エオスや、まして人間には手が出ないものだったのかもしれませんね。
可哀想ですが、そういう運命というオチだったのかも。
みなさんは永遠の愛、信じますか?
それではまた!