【曙の女神エオス】オーロラの語源となった恋多き女神【ヒロインレビュー第20回】

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エオスはギリシャ神話に登場する、夜明けを告げる女神。
とても恋多き女神で、それゆえに業を背負う事になります。
今回は女神のコイバナです。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

ティタン神族からオリュンポス神族の時代へ


エオスはティタン神族であり、先代太陽神ヒューペリオンの娘です。

朝焼けを思わせる白い翼と、太陽の炎のごとき赤い髪の女神です。(金髪という設定も聞きます)

ギリシャ神話のお話です。
世界はゼウス率いるオリュンポス神族が覇権を握る以前、その時代は農耕神クロノス率いる「ティタン神族」が牛耳っていました。
しかしゼウスが世界を統べるようになると、多くのティタン神族は冥府のタルタロスへと幽閉されてしまいます。
そして空席となった様々な役職にオリュンポスに連なる新たな神々が就く事になったのです。

しかしながら必ずしも全てのティタン神族が幽閉されたわけではなく、なかには引き続きゼウスの支配のもと、その役職を継続できた者もいます。

エオスもそのひとり。

彼女の役目は「夜の闇が明け始める頃、東の果てにある自分の神殿から、太陽を先導するために夜空を西へと駆けること」でした。

夜明けを告げる。

それが初代太陽神ヒューぺリオンから受け継いだ役目です。
エオスには兄姉がいます。
二代目太陽神ヘリオスと、月の女神セレネです。
太陽の光に関する業務を三人で分かち合っていました。

真面目に毎日夜明けを告げる仕事を黙々とこなすエオス。
その姿勢が評価されたため、ゼウスに受け入れられたのです。

そんな真面目な彼女ですが、欠点もありました。
恋多き乙女」だったのです。

ちなみにエオスは後のローマ神話ではエウロラと呼ばれます。
エウロラを英語読みにするとオーロラです。
オーロラの語源となったのは彼女、エオスなのでした。

エオスの愛した男たち

エオスとコイバナで有名な三人をご紹介します。

巨人オリオン

1人目はポセイドンの息子でもある巨人オリオン。
冬の星座オリオン座になったあのオリオンです。

彼はとても狩りが上手い豪放磊落な巨漢です。
そんなオリオンに恋したエオスは、彼を自分の神殿に住まわせ一時も離れませんでした。
夜明けを告げる仕事だけは続けましたが、彼に会いたいので手早く済ませます。
そのため彼といる間は夜明けが短くなるそうです。

エオスの雰囲気を怪しんだ月と狩猟の女神アルテミスは、エオスの神殿にいるオリオンの事を知ります。
そこで同じく「狩り」が趣味ということを知り、二人は急接近。
アルテミスのNTRによりエオスはオリオンに捨てられてしまいます。

その後のオリオンがどうなったかは下記の記事をご参照ください。

軍神アレスにホレられる


エオスを気にした者の中に厄介な神がひとり。
オリュンポスいちの嫌われ者、軍神アレスです。
彼もエオスが気になって仕方ありません。
そのアレスと愛人関係にあったのは、これまた面倒くさい愛と美の女神アフロディーテ
エオスはアフロディーテの恨みを買ってしまう形になったのです。
女の敵は女というやつですね。
アフロディーテはエオスを懲らしめてやろうと呪いをかけます。

それは人間の男だけが恋愛対象となる呪いでした。

エオスはアフロディーテの呪いによって、人間の男しか愛せなくなったのです。

恋多きエオスはそれ以後、気に入った人間の男を見つけるや、自分の神殿に連れ去り共に過ごすようになりました。

しかし、神なので不死である自分とは違い、人間には寿命があります。
何人もの恋人が老いさらばえて死んでいくのを何度も何度も見届けました。
それは彼女にとってとてもとても辛いことでした。
恋多きとは言えど、ひとつひとつの恋に対して真剣ではあったのです。

トロイアの王子ティトノス


それは、いつものように東から西へと太陽を先導していた時のこと。
エオスは通りがかったトロイアという国の王子ティトノスを見初めてしまいます。
新しい恋の始まりを見つけた、と、エオスは人間の振りをして近づきます。
すると彼もエオスの美しさに惹かれ、瞬く間に二人は恋に落ちていきました。

ここまではいつも通りの展開です。
このあと不死の彼女を置いて、彼の寿命と共に永遠の別離をいずれ迎えることになります。
けれどエオスはもうそんな悲しい思いをしたくありませんでした。
そこでゼウスに懇願します。

どうか愛するティトノスに不死をお与えください

ちなみにこの部分、ギリシャ神話成立以前の古い神話にルーツがあるようで、そこではゼウスでなく父のヒューぺリオンに頼んだ、とあるそうです。
後のオリュンポス時代にゼウスの権威を増すため改竄されたのかもしれませんね。

「うむ。毎日仕事に励むお前をこのゼウス、ちゃんと見ておったぞ。その願い、聞き届けてやろう」

ゼウスはエオスの願いを聞き入れます。
喜んだエオスはティトノスに、自分が女神であること、一緒に「永遠」を過ごして欲しいこと、そのためにはトロイアを出なくてはならないことを告げます。
ティトノスはその全てを飲みます。
彼もエオスを愛していたのです。

エオスの神殿に入ったティトノスは無事に不死となり、共に永い年月を過ごすこととなりました。

が、エオスはひとつミスを犯しました。

不死」の願いを聞いてもらいましたが、「不老」とは言わなかったのです

年月と共に老いていくティトノス。
それは人間の寿命の限界を越えてなお、老いるのです。
決して死ぬことの出来ない、不死の老化現象。

エオスはついにそんな変わり行く恋人の姿を見ていられなくなり、彼を石の部屋に閉じ込め外から鍵をかけてしまったのです。

不死ですから、水も空気もなくても生きてます。

そうして彼の発する声だけを聞いて過ごしましたが、やがてその声も聞こえなくなります。

ティトノスは粉にまで崩れ落ち、消え去りました。
そしてそこには「エオス、エオス」と鳴くセミが一匹いたという話です。

まとめ

  • エオスは夜明けを告げる曙の女神
  • アフロディーテに人間の男にしか恋しない呪いをかけられた
  • ティトノスを不死にしたが不老にはし忘れ、最期は消えてしまった

いかがだったでしょうか。

エオスのようにティタン神族でありながらゼウスの支配下で存続し続けた神もいます。
しかしながらどことなく閑職に追いやられている感は拭えませんね。

さてティトノスの件ではやらかしてしまった訳ですが、確か神々は神酒ネクタルを煽ることで不老を維持していたような気も。
それにゼウスの正妻ヘラは、若さを保つために毎年カナトスの泉で沐浴をしていたような気もします。
神と言えどアンチエイジングは欠かさないのであれば、ティトノスも救われた可能性があったのではないでしょうか。

それともやはり、そこはオリュンポス神族の特権であり、エオスや、まして人間には手が出ないものだったのかもしれませんね。
可哀想ですが、そういう運命というオチだったのかも。

みなさんは永遠の愛、信じますか?

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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