【パンドラの箱】まさに最終兵器彼女【アイテムレビュー第7回】

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なぜ開けるな、と言われた箱を開けてしまったのか。
そしてその結果、いったい何がどうなったのか。

災いをもたらすもの」だとか「触れてはいけないもの」などを表す慣用句として使われる「パンドラの箱」。
皆さんもこの言葉を聞いたことはあると思います。

ここで勘違いしてはいけないのが、この箱の名前がパンドラではありません。
この災いの箱を開けてしまった女の名前こそが、パンドラなのです。

パンドラとはギリシャ神話に登場するキャラクターで、人類最初の女と言われます。

そしてこのパンドラが開けてしまった箱の事をパンドラの箱といいます。

さてその箱の中には一体何が入っていたのでしょうか?
そして開けた結果、一体何が起きたのでしょうか?

今回は災いを呼ぶパンドラの箱についてご紹介させていただきます。
皆様の創作の参考になれば幸いです。

ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!

目次

そもそもパンドラとはなんぞや?


パンドラは最高神ゼウスの命令で、神々が協力して作り上げた人類最初の女です。

時は青銅の種族の時代
それまでの人間には男しか存在せず、しかもこの時代の人間は武器を手に争いを繰り広げる野蛮人に成り下がっていました。

  • ギリシャ神話における人類史は5つの時代に分かれます。
    • 黄金の種族の時代は平和で争いもなく、豊かな時代。
    • 銀の種族の時代は人々が神を敬うことを忘れ、作物が実らない冬の季節が生まれました。
    • 青銅の種族の時代は武器を扱うことを覚え、人々は戦争を始めました。
    • 英雄の種族の時代は半神の者が英雄として活躍した時代。
    • 鉄の種族の時代は現代まで続く我々の事です。

そしてこの時はまだ青銅の種族の時代。
最も人々が野蛮で救い難い時代だったのです。
プロメテウスなど人間の味方をしようとする神もいましたが、ゼウスは青銅の種族を滅ぼすことに決めます。

そのために作られたのがパンドラ。
まさに最終兵器彼女決戦人型兵器といったところでしょうか。

  • パンドラの作り方
    • 鍛冶の神ヘパイストスが土をこねて女の形造り、声と体力を注ぎます。
    • 美の女神アフロディーテが自らを着飾る美意識と、男を惑わす至高の魅力を与えます。
    • 太陽神アポロンが音楽や芸事の才と、人々を癒す治療の才を与えます。
    • 戦女神アテナが機織りの技術を与えます。
    • 最後に盗人の神ヘルメス好奇心を植え付けました。

パンドラの名前の由来はパンが「すべて」ドラが「贈り物」。
神々により全てを与えられた者、という意味があります。

こうして完成したパンドラに最後はゼウスが命を吹き込み、そして地上へと下ろしたのです。
決して開けてはならないと言い含めた「」を持たせて。

これが後の「パンドラの箱」です。

古代ギリシャの伝承では「箱」ではなく「壺」でした。
それが後の時代に壺から箱に表現が変わり今に至ります。
言われてみれば紀元前、箱より壺の方がポピュラーだったかもしれませんね。
令和の日本人からすると逆に壺の方が馴染みがないでしょうけど。

人間を滅ぼすゼウスのパンドラ計画


ゼウスは何故に人間を滅ぼそうとまでしたのでしょうか?
これは以前、プロメテウスによるゼウスへの造反に原因がありました。

元々プロメテウスはゼウスたちオリュンポス神族と敵対していたティタン神族です。
戦況の不利を悟るやゼウスに寝返ったのですが、真に忠誠を誓ってはいませんでした。
虎視眈々と復讐の時を待っていたのです。
当然ゼウスは百も承知。
そしてある時、人間に肩入れするプロメテウスがゼウスを陥れようとしたことが発覚。
それに腹を立てたゼウスはプロメテウスに罰を与えました。

コーカサス山の山頂に磔にし、毎日大鷲に肝臓をついばまれる責め苦を与えたのです。
不死であるため死ねないプロメテウスは、その後3万年もの間、ついばまれ続けました。きついですね。

邪魔者のプロメテウスを追いやり、ゼウスは人間にも罰を与えることにします。
それがパンドラ計画です。

実は「先見の明」という意味の名を持つプロメテウスはこの事を案じ、弟のエピメテウスにある助言をしていました。

「弟よ。ゼウスが何か良からぬ事を企むやもしれぬ。よいか。何であれ、奴からの贈り物を受け取ってはならぬぞ」
「あいわかった兄者」

しかしこの弟エピメテウス、その名は「後で考える」「愚鈍なる者」等という意味を持ちます。

案の定、地上に現れたパンドラに強烈な一目惚れをしてしまいます。


そして瞬く間にスピード婚。
しばらくは幸せな結婚生活を送るのでした。

しかしそれも長くは続きません。
エピメテウスが留守の時、ヘルメスによりパンドラに植え付けられた「好奇心」がムクムクと首をもたげはじめます。

「あの箱、何が入っているのかしら」

決して開けてはならないと言われては、逆に何が入っているのか気になるというもの。
大したものでなくとも、確認してひと安心できればそれでいい。

一度気になり出すともうパンドラは「好奇心」を押さえることが出来ませんでした。

そう。
何故パンドラは箱を開けてしまったのか?
それはヘルメスに植え付けられた好奇心のせいなのです。
「怖いもの見たさ」と言いますが、別に怖がりたいのではありません。
確認して、なんでもない、大したことではない、と、安心を得たいのが人間なのです。

人類を滅ぼすのに「好奇心」を刺激すれば事足りる。


パンドラは箱を開けてしまいます。

すると中からそれは勢いよく噴き出します。
箱の中から飛び出したもの、それはありとあらゆる、

災い

でした。

それは例えば、疫病だったり、貧困だったり、犯罪だったり。
憤怒であったり、怨念であったり、嫉妬であったり。
悲哀であったり、困難であったり、憂鬱であったり。

およそ考えられる限りの負の感情、見(まみ)えたくない苦しみの元凶といったものたちです。

驚いたパンドラは慌てて蓋を閉めましたが、時既に遅し。
災厄は一瞬にして世界中に撒き散らされ、それまで苦しみや悲しみを知らなかった人類は、これ以後、あらゆる艱難辛苦と共に生きる事を決定付けられたのです。

そう。
パンドラが箱を開けた結果、どうなったのか?

それは人間が今現在に至るまで、日々苦しんでいるありとあらゆる災難が常態化してしまったという事なのです。
これ以上の災厄があるでしょうか?

ただし、蓋を閉めた箱の中にはひとつだけ、飛び出さずに残ったものがあります。

それは……
それは「希望」、あるいは「予兆」、もしくは「絶望」です。

言葉の違い、用法も違えど、効能にそれほどの違いはなく、

「希望」が残ったおかげで人類は苦しみながらも前を向き明日も生きていけるし、
「予兆」が残ったおかげで人類は先を知らないままに前を向き楽観して生きていけるし、
「絶望」が残ったおかげで人類は真に落ち込むことなく明日もまた生きていける。

皆さんの日々はどうですか?

青銅の時代の終焉


人類に災厄という罰を与えただけでなく、青銅の種族の時代はゼウスにより、滅ぼされることが決まります。

ポセイドンが地震と津波を操り、世界を大洪水が襲うのです。
しかしこの洪水でただ一組、生き残った夫婦がいます。
パンドラとエピメテウスの娘ピュラと、あのプロメテウスの息子デウカリオンの夫婦です。
二人は神を敬う敬虔な精神を忘れずにいたので、ゼウスの命で方舟を造り、それに乗ることで生き延びることを許されたのです。

洪水伝説は世界各地の神話にあります。
どうやら大本はメソポタミアで実際にあった洪水災害のようですが、はたして……

その後、この二人を始祖として、新たな人類の時代、英雄、そして私たち鉄の種族の時代が始まります。

まとめ

  • パンドラはゼウスが人間を罰するために遣わした
  • 箱を開けたのはヘルメスに植え付けられた好奇心のため
  • 箱にはあらゆるネガティブ要素が入っており、今も人類を悩ませている
  • パンドラの娘は洪水を方舟で生き延び人類の始祖になった

いかがだったでしょうか。
ゼウスによる人類抹殺を謀った「パンドラ計画」。
人類を滅ぼすのにちょっとした「好奇心」をくすぐってやればよい。
例えば「化学兵器」や「原子爆弾」なんかもそうかもしれませんよね。

このパンドラの箱というエピソードは実に良くできていると思いませんか?
人間の負の感情というものに着目し、それでも生きていこうとする人類の儚さと尊さを箱という小道具を使い表現する。
人の好奇心という御しがたい産物が引き金となるなど。
正に文学的だと思うのですが。

個人的にはパンドラというと『ハーメルンのバイオリン弾き』がガッツリ絡んでるなと思い出します。
なんせ主人公ハーメルの母親がパンドラであり、開けた箱から出てきた大魔王ケストラーが父親なんですから。
単純明快にして、二番煎じゆえに今後はもう使えないネタであろうとも思っちゃいます。
先取りされてしまった気分ですね。

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皆さんもパンドラの箱をテーマに創作されてみませんか。

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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