【オデュッセウス】ギリシャ神話最後の英雄【ヒーローレビュー第9回】

オデュッセウスはギリシャ神話終盤、トロイア戦争で活躍した英雄です。

トロイア王国とギリシャ連合の間で10年に渡る戦争が繰り広げられました。
オデュッセウスはイタケ国の王であり、総大将アガメムノンの要請により、ギリシャ側に味方して参戦しました。

多くの英雄が筋肉でモノを言わせるなか、知謀知略でもって、英雄アキレウスを参戦させたり、トロイの木馬を発案し、戦争終結に導いたりもしました。

トロイア戦争に関するオデュッセウスの活躍については、以下の記事を参照ください。
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今回ご紹介するのはトロイア戦争後の話。
オデュッセウスが主役を張ったホメロスの英雄叙事詩『オデュッセイア』にまつわる部分を取り上げたいと思います。

今回も創作やファンタジーを楽しむ一助となるかと思います。
是非最後までお付き合いくださいませ。

目次

サイクロプス(キュクロプス)の国


トロイアでたくさんの戦利品を船に積み込み、オデュッセウスは故郷イタケへと出航します。
しかし船が嵐に遭い、航路は大きく南へ外れ、予定外のリビアへ漂着してしまいます。
その地で食べたナツメが船員たちにうつ病を流行らせ、みな無気力状態に。
なんとか全員を船に押し込み出航するも、またしても航路を大きく外れ、なんと一つ目の巨人サイクロプスの住む島へと流れ着きます。

この地でポリュペモスというサイクロプスにより、洞窟に閉じ込められたオデュッセウスたちだが、持っていた酒でサイクロプスを酔わせ、一つ目に削った丸太を突き刺し脱出します。
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しかしこのサイクロプスが海神ポセイドンの子であったらしく(養子かな)、以後、怒り狂ったポセイドンによる妨害を受け続ける事になります。

魔女キルケの住む島


サイクロプスの島を脱出したあとは、風の神アイオロスの島で西風ゼピュロスを革袋に詰めてもらい、順調な航行を続けるも、人食い巨人ライストリュゴン族の島で12隻あった船がことごとく沈められ、とうとうたったの1隻になってしまいました。

そうして次に辿り着いたのが、魔女キルケの住む島です。

先行して偵察に出た部下が誰も戻ってこず、ようやくひとり戻ったと思えば、なんと全員が魔女によって動物に変えられてしまったと言います。
オデュッセウスが魔女のもとへ向かおうとすると、そこにオリュンポス12神のひとり、旅人の神ヘルメスが現れ、オデュッセウスに秘薬を授けます。

キルケのもとへ行くと歓待されお茶を出されました。
それを飲み干すとキルケは不思議そうな顔をします。

なぜ動物に変わらない?

秘薬のお陰で魔女の薬を無効果したのです。
それに感心したキルケはオデュッセウスに惚れてしまい、謝罪の上、部下も治し、ここでなんと1年を過ごしてしまいます。

居心地よかったんでしょう。



冥界へ


しかしさすがに望郷の念に駆られ、キルケに暇を告げます。
名残惜しむも了承したキルケでしたが、その前に冥界へ行きテバイの予言者テイレシアスの霊魂に会うよう勧めます。
冥界と聞き尻込みするも、正しい順路と手順を教わり、オデュッセウスは冥界へ赴きます。
冥界は西の果て、昼と夜の境界にあるヘスペリアの地下にあります。

ヘスペリアにはヘスペリデスの園という黄金の林檎が生る果樹園があり、そこをラドンというドラゴンが守護しています。ヘラクレスも訪れましたね。
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冥界の川を下り、目的の地で穴を掘り、蜜を混ぜた乳や葡萄酒、祈願を込めた羊の血を注ぎます。
こうすることで亡霊が寄ってくるそうです。

目的のテイレシアスが来るまでにオデュッセウスの部下だった者や母親の霊魂が来ます。
しかし彼らを退け、テイレシアスを待ちました。
やがて現れたテイレシアスが羊の血を飲み干すと、オデュッセウスにこれから先の航海で気を付けるべき点を教えます。

例えば太陽神ヘリオスの家畜に手を出すな
帰郷してもすぐに城へは行くな。等々です。

テイレシアスが消えても見知った顔がやって来ます。
それはアガメムノンやアキレウスです。
アガメムノンが死んだことに驚いたり、アキレウスと未練について語ったり。

色々な想いを乗せて、オデュッセウスはキルケの島へと戻りました。

歌声で魅了するセイレーン


魔女の島へ戻ると、キルケがこの先の航路を示してくれます。
セイレーンの島は美しい歌声で船乗りを海に引きずり込む恐ろしい女怪が棲息している。
だが蜜蝋で耳栓をしていれば歌声は届かずやり過ごせる。
セイレーンは力ずくで引きずり込みはしない。

船員全員に耳栓をさせ、オデュッセウスは船のマストに自身を縛り付け、耳栓をしませんでした。
どんな歌声か興味があったのもそうですが、船員が歌声に魅了され正気を失うオデュッセウスを見つつ、無事に冷静さを取り戻すまで船をこぎ続けるための目安にもなったのです。
賢いですね。

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ちなみに古代ではセイレーンは女の首を持つ怪鳥でしたが中世以降、人型や人魚にモデルチェンジします。
大航海時代とルネサンスが影響しているのかもしれませんね。

スキュラとカリュブディス


さらにイタリアのメッシーナ海峡の両側にある岬にはそれぞれ怪物がいました。
渦巻きを起こすカリュブディスと、下半身が6匹の獣であるスキュラです。

渦は船を粉々にしてしまい全滅の恐れがあるので、スキュラ寄りを航行します。
すると岬の洞窟から獣の首が6本伸びてきて、それぞれ1人ずつ船員をつかんで引きずり込みます。
その瞬間を見逃さず、オデュッセウスは船を全速で離脱させます。

全滅するくらいなら6人の犠牲で突破する事を選ぶ。
なんとも非情な采配です。

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太陽神ヘリオスの島


トリナキエ島に漂着します。
ここは太陽神ヘリオスの島。
キルケにも、テイレシアスにも避けるよう忠告されていた島です。
オデュッセウスもそのつもりでしたが、疲れた船員たちは一晩陸で休息したいと求めます。
(スキュラの非情采配の後なので)仕方なく了承するもこの島の家畜はヘリオスの物。決して手を出すなよ、と厳命します。

しかし翌朝からパタリと風が止み、それからおよそ1ヶ月も足止めを食らうことに。
持っていた食糧も底をつき、ついに部下が禁を破って牛を食べてしまいました。
すると風が吹き始め、みな慌てて船を出します。

その途端、ゼウスの懲罰が下ります。
雷霆(らいてい)の一撃が船を撃ち抜き、たった一隻残っていた最後の船までが沈没したのです。

船員はみな散り散りになってしまいました。

カリュプソの愛人として


オデュッセウスはひとりで9日間漂流した後、オギュギエ島に流れ着きます。
そこで助けてくれたニンフのカリュプソに見初められ、彼女の愛人として7年をここで過ごします。
7年……。

大人になると月日が経つのは早いもの。
オデュッセウスのニート生活も7年目に突入してしまいました。

その頃オリュンポスの神々の間で、そろそろオデュッセウスを許してやってもよくないか、と話題になります。
特に女神アテナが懇願してくれた事でアテナに甘いゼウスも了承。
カリュプソにオデュッセウスを帰してやるように告げます。
カリュプソもゼウスには逆らえないので、オデュッセウスを船に乗せ見送りました。

ですがただひとり、ポセイドンだけはまだ彼を許していなかったのです。
嵐を起こし、またしてもオデュッセウスは遭難してしまいます。

もう何度目……。

バイアケスの王女ナウシカア


バイアケス人が住む島の浜辺に全裸で倒れていたオデュッセウスを助けたのは、この島の王女ナウシカアでした。

自分の正体を知ればこの島の人々も神の呪いを受けてしまう。
そう思い、名乗らないオデュッセウスでしたが、それでも王は歓待してくれて、宴まで催してくれます。

その席で吟遊詩人デモドコスが歌ったのはトロイア戦争の歌
その歌を聴いたオデュッセウスは我知らず涙を流し、ついにその歌われているのは自分の事である、と素性を明かします。

そしてこれまでの航海の事を語るのです。

オデュッセイア』では、この島に流れ着いたオデュッセウスが回想する形で、ここまでの冒険譚を語るという構成になっています。
したがってナウシカアの登場は序盤、別れは終盤という事になります。

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こうして人の良い王が用意してくれた船に乗り、故郷イタケへと帰り着きます。
戦争10年、航海10年。
久々の帰郷です。

しかしそこに待っていたのは妻の危機的状況でした。

王として返り咲く


およそ20年もこの国を留守にしていたのです。
王不在の間、オデュッセウスの妻ペネロペは、言い寄る多くの男どもからなんとか身を守り続けました。
しかしいよいよそれも限界。
仕方なく新たな夫に相応しい者を決める条件を発表します。

それは柄を外した12個の斧を縦一列に並べ、柄を通していた細く空いた斧頭の丸い穴部分に夫の残したこの強弓で貫通してみせよ、というものでした。

その弓は力が強い者しか引くことができず、引けても12個の穴を通す技量の持ち主は現れません。
そして最後に残ったのはみすぼらしい格好をした乞食でした。
誰も期待しませんでしたが、彼が弓を引くと見事に12個の斧頭に空いた穴を貫通してみせたのです。

その者こそまさしくオデュッセウス。
彼はアテナとテイレシアスの助言を守り、密かに城へと舞い戻り機をうかがっていたのです。

突然のオデュッセウスの登場に納得がいかない求婚者たちは一斉に襲いかかります。
それを強弓で全て仕止め、晴れてオデュッセウスの冒険は終わりを告げたのでした。

まとめ

いかがだったでしょうか。

オデュッセウスは強いしモテるし賢いのですが、他の英雄に比べて怪物から逃げたり罠にはまることが多いですよね。
剣を持って怪物退治、とはなかなかいかないようです。
まあ筋肉マッチョや不死身の英雄はこれまでにたくさんいましたからね。

さて、カオスからガイアが生まれ、神々が争い、人々を導き、そして時に滅ぼす。
英雄や怪物、恋愛に戦争。
そうした長いギリシャの神話もこのサーガで幕引きです。

もしギリシャ神話にご興味をお持ちになりましたら、まずはこちらの記事から全体の概要を掴まれてはいかがでしょうか?
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そして時代はこの後ローマへとうつろい行きます。
けれどそれはまた別のお話。

それではまた!

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この記事を書いた人

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