ギリシャ神話のラストを飾るトロイア戦争はヒーローヒロインの宝庫です。
物語の題材としても幾度となく使われてきました。
今回はその中から最強の占い師にして哀しき姫君カッサンドラを取り上げたいと思います。
ファンタジーの知識があれば、より楽しい!
今回も皆さまの創作活動やゲームプレイなどの参考になりますよう。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもカッサンドラとは誰ぞ?
カッサンドラとはギリシャ神話の終盤に登場するトロイア王国の姫です。予言の力を持っています。
ギリシャ連合軍と小アジアに位置する城塞都市トロイアの間に紀元前1250年ごろ戦争がありました。
「トロイの木馬」として有名なトロイア戦争です。
きっかけは三人の女神(ヘラ、アテナ、アフロディーテ)による意地の張り合いでしたが、この戦争は10年続き、結果多くの悲劇と時代の変遷を促すことになりました。
結果的に戦争はトロイア王国の敗北(滅亡)で終わりますが、カッサンドラはそのトロイア王国の王女でした。
父王プリアモス、母ヘカベーの間に生まれました。
兄にトロイアいちの英雄ヘクトール(トランプの♦️Jのモデルになった人)、戦争のきっかけとなった「パリスの審判」でお馴染みのパリスなどがいます。
ちなみにヘカベーは19人産んだそうです。多産。
さらにちなみにプリアモス王は娘だけで50人はいたそうですよ。
カッサンドラはそのなかでも長女だそうです。双子という説もありますが。
その長女であるカッサンドラですが、美貌も一番であったとか。
そこでトロイア王国の守護神を務めていたオリュンポスきっての大スター、太陽神アポロンが近寄ってきます。
彼はギリシャ神話界いちのスター選手!
イケメン、スポーツ万能、間違いなくスクールカースト頂点に君臨するキャラクターです。
そのアポロンがカッサンドラに囁きます。
「君に未来を見通す予知能力を授けよう。絶対に外れない未来視だ。スゴいだろ? その代わりに僕と付き合ってくれるね?」
「え? ちょっ、待っ……」
戸惑うカッサンドラの返事も待たず、アポロンはさっさと予知能力を与えてしまいます。
彼女の顔に光が射し込むと、しかしその途端、彼女は悲鳴をあげました。
彼女には見えたのです。
嫌気がさしたアポロンに自分が冷たく捨てられるシーンです。
「イヤァッ」
カッサンドラのその態度に凄まじい拒絶を感じ取ったアポロンは激高します。
「なんて恩知らずな女だ! これほど目にかけてやったというのに僕を拒絶したな! 恥をかかせおって。呪ってやるぞ」
そしてアポロンはカッサンドラに呪いをかけます。
「もはや誰ひとりお前の声に耳を傾けてくれることはない。誰もお前を信じることはない呪いをかけてやったわ」
「そんな、ひどい」
お察しの通り、実はアポロンは残念イケメンなんです。
恋愛イベントはことごとくしくじる奴なんですよ。
詳しくはアポロンのページをご覧くださいませ。
予言の数々
そうしたわけで望まぬ予知能力を授かり、そのせいで誰からも話を聞いてもらえなくなってしまったカッサンドラ。
彼女の受難はこれからです。
兄パリスが外交のためスパルタへと赴く際、王国滅亡となるトロイア戦争のきっかけとなる不倫、略奪愛をパリスがしでかす事を予知。
パリスに行くなと言いますが聞いてくれるわけもなく。
結局戦争は始まり父も兄も戦死。
10年も続いた戦争も、ギリシャ軍が浜辺に置いていったトロイの木馬を皆が城内へ入れようとするところを「それはダメ!」と忠告するも聞き入れられず。
挙げ句、敵の総大将アガメムノンに戦利品としてギリシャに連れ去られてしまいます。
そこで自分の死期を予知します。
ギリシャに着いて早々、アガメムノンの妻とその愛人にアガメムノン共々殺されてしまうのです。
実はアガメムノンは10年前、トロイアへ出兵する際に娘を生け贄に捧げていました。
娘のことを根に持っていた妻に帰国後暗殺されるのです。
カッサンドラは巻き添えでしょうか。
当然自分を連れ帰るのを止めるよう懇願しましたが、アポロンの呪いに加え彼女の美しさがその願いを聞き入れさせませんでした。
ギリシャへと向かう船倉で、他の多くの連れ去られるトロイアの女たち。
彼女たちの泣き腫らす顔を見てカッサンドラは何を思ったでしょうか。
避けられない死を間近にしつつ、自分の言葉に耳を貸さなかったこの者たちを蔑む? もしくは憐れんでいたでしょうか。
どちらにしろ、哀しき運命に翻弄されたヒロインに違いありません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
未来を確実に視る事のできる力。
それは必ずしも幸せには繋がらないのかもしれません。
だから占いは漠然とした示唆に留め、気付きや自戒に役立てる程度としておく方が良いのかもしれません。
古今東西、確実な未来視を扱った創作でハッピーエンドな作品をあまり知りませんしね。
それではまた!