ああ、美女に抱かれた海の藻屑
大海原を行くと、やがて美しい歌声が聞こえてきた。
君たちはその歌声に魅了され、いつのまにやら乗っていた船は難破し、どうにか陸に上がった君たちはセイレーンに貪り食われるのであった。
そういう事ってよくありますよね。
ボクも船乗り時代、よくそんな場面に遭遇しました。
海を行く船乗りたちを歌声で魅了し、ボ~っとしてる隙に船を破壊し船員を食べちゃう恐ろしい幻獣です。
このモンスターに遭遇したらどうすればいいのか?
弱点? 対処法?
この記事を最後までお読みいただければ、明日からあなたも安心して、船舶免許を取りに行くことが出来ます。
または創作のネタとして、新たな物語を生み出すきっかけにもなるかもしれないですね。
是非最後までお付き合いいただければ嬉しいです。
そもそもセイレーンとはなんぞや?
令和のわが国で一般的に知られるセイレーンとは、
・もしくは半人半魚である(マーメイドと混同?)
・歌で魅了して船を難破させる
・間違いなく美女ぞろい
といったところでしょうか。
上にも書きましたが、モンスター的には貪り食うさまが【ハーピー】ぽく、海で魅了するさまが【マーメイド】ぽくもありますね。
要するにいろいろとごちゃ混ぜされちゃってる感があるんです。
なぜそうなったのか?
それってやっぱりその原因は彼女のルーツとなった逸話にあるのですかね。
セイレーンはギリシャ神話のモンスター
・セイレーン(SIREN)は国によって呼び名が違うようです
・セイレーン、サイレン、シレーヌなどと呼ばれます
・意味はギリシャ語で「縛る」「くっつける」だそうです
・ちなみにホラーゲームで有名なあの「SIREN」の警報という意味もここから来てるようです
セイレーンの逸話で最も有名なのは、トロイア戦争で活躍した英雄オデュッセウスの帰還を描いた「オデュッセイア」です。
船員には耳栓をさせ、自分は興味本位で体をマストに縛り付け、耳栓を外してしまいます。
案の定、歌に聴き入ったオデュッセウスは魅了されますが、マストに括り付けられていたので事なきを得たそうです。
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□【オデュッセウス】ギリシャ神話最後の英雄【ヒーローレビュー第9回】
他にも「アルゴ探検隊」の逸話では竪琴の名手オルフェウスが歌で真っ向勝負をして打ち負かしたエピソードもあります。
結局このモンスターの攻撃方法は、歌で気を逸らして過失運転を誘発するという、自らの手を汚さずに事故で処理しようという狡猾な戦法なのかもしれませんね。
このころはまだ半人半鳥が主流なのですが、13世紀ごろから人魚に変わるようです。
海なんだから魚じゃね? て感じなのでしょうね。理に叶ってるというか、夢がないというか。
ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!
□【ザ・神話オブ神話】5分でわかるギリシャ神話の世界【サーガレビュー第1回】
創作の世界ではどんな扱いか
歌声で誘惑する美人モンスターです。使わない手はないでしょう。
舞台が大海原になればまず高確率でテーマにしたくなりますよね。
これかクジラ(あるいは海竜)に飲み込まれるのがファンタジーというものです!
セイレーンが登場すれば恋愛ものに発展するケースが多いでしょう。
ただしその場合は鳥タイプより魚タイプになる傾向が強いです。
そこからバトル要素を抜いたのがアンデルセンの「人魚姫」なんでしょうか。
セイレーンが登場する作品
船の墓場のような場所に漂流する序盤のエピソードで中ボスとして登場します。
正しくセイレーンを演じているようで好感が持てますね。
対比として男だと思っているファリスにドキドキしてしまうシーンを入れているのも面白い所。
永井豪先生の代表作品「デビルマン」の妖鳥シレーヌはまんまセイレーンですね。
シレーヌはフランス語読みです。
屈指の人気キャラだけに我が国に於けるセイレーンの認知度を飛躍的に押し上げてくれました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
世間的にはあまり馴染みがないかもしれませんが、歌声で人を惑わす能力はアーティストなら誰もが憧れる存在と言えるのではないでしょうか。
海を舞台にした場合、セイレーンは是非使ってみたいネタだったと思われませんでしたか?
突き詰めればまだまだ多くのバリエーションを生むことが出来るかもしれません。
あなたのファンタジーな創作にひとつ、登場させてみてはいかがでしょう?
そのときは是非教えてくださいね。
それではまた!
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トカゲ族に滅ぼされた三匹のカエル族、
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