海神ポセイドンは有名でしょう。
ギリシャ神話において主神ゼウスに次ぐナンバー2の神様です。
当然ゼウスを助ける活躍もしているのですが。
しかしながら今回悩みました。
彼をヒーローのカテゴリーに入れるべきかどうかを。入れましたけどね。
今回は海神ポセイドンについてまとめました。
調べる前はですね、主神ゼウスと並ぶほど有名な神ですし、それはもう素晴らしいエピソードいっぱいだろうなぁなんて思っていたのですよ。
とんでもない!
彼を素直にヒーローカテゴリーに入れていいのか頭を悩ませる事になろうとは。
立場的にはヒーローでしょうが、紹介されるエピソードがどれもこれも利己的で。
しかもその結末が酷いこと酷いこと。
とりあえずひとつ例を挙げるなら、見た者を石に変える怪物メデューサ、牛頭の怪物ミノタウロス。
これらを生んだ原因はポセイドンです。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもポセイドンとはなんぞや?
ポセイドンとは、ギリシャ神話における海の神です。
父はクロノス、母はレア
姉にヘスティア、デメテル、ヘラ
兄にハデス、弟にゼウスがいます。
ギリシャ神話の重鎮がそろい踏みした家族ですね。
ゼウスがティタノマキアと呼ばれるティタン神族との戦いに勝利した後、ハデスとゼウスと三人によるくじ引きの結果、ポセイドンは海を支配する権利を得ました。
支配地域は海だけでなく泉や川といった水に関係する場所全体を差します。
武器はサイクロプス三兄弟が作ってくれた三ツ又の矛トライデント。
これで海をかき回すとたちまち嵐を呼び起こすことが出来ます。
ゼウスのいかずちを呼ぶ雷霆(らいてい)と相性がよく、ティタン神族との戦いで活躍しました。
またポセイドンが怒り狂うと地上に大地震が起きるということから、特に船乗りたちに恐れ敬われていたそうです。
海神ネレウスの娘、アムピトリテを妻とし、二人の間に下半身が魚であるトリトンという子がいます。
ポセイドンが海で大きな顔ができるのは、海神ネレウスの後ろ楯が大きいという話です。
実はポセイドンの求愛を嫌がったアムピトリテは、一時その行方を眩ましたことがあります。
その彼女の居場所を突き止めたのが一匹のイルカでした。
そこでポセイドンはイルカを天に上げ、イルカ座として星座の仲間入りをしてあげたそうな。
ここまでして妻にしたアムピトリテでしたが、実はポセイドンもゼウスに劣らず大変な好色だったのです。
競馬の守護神ネプトゥス
ポセイドンは妻アムピトリテ以外にも、結構な数の女に手を出しています。
そのひとりが姉でもある大地の女神デメテルです。
デメテルの気を惹こうとするポセイドンにデメテルは言います。
「私は美しいものが好き。美しい動物を作れたら考えてもいいわ」
そこでポセイドンは様々な動物を作り出します。
最終的に最も美しい動物として「馬」を生み出すのですが、その過程で失敗作とされたのが、例えばキリン、カバ、シマウマ、タコ、クラゲなどがそうです。
シマウマは馬でよくない?
ところでポセイドンはローマ神話ではネプトゥス、英名はネプチューンですが、彼は「競馬の守護神」としてとても有名です。
また、異説として、牝馬に化けて逃げたデメテルを、牡馬に化けて追いかけ、そのまま交わった結果、後に名馬としてあの英雄ヘラクレスの乗馬にもなったアリオンが生まれたといいます。
恐ろしき怪物メデューサを生んだ元凶
美しきメデューサを怪物にしてしまった原因もポセイドンにあります。
蠢く無数の蛇の髪、見た者を石にする怪物メデューサは、元は美しい金髪が自慢の可愛らしい娘でした。
そのメデューサとイチャついていたポセイドンですが、そこはなんと三大処女神のひとり、戦女神アテナの神殿内でした。
実はポセイドンとアテナは仲が悪いです。
アテナイの街の守護神を決める話があり、ポセイドンとアテナが立候補しました。
どちらが守護神となるか住民に決めさせようということになり、アテナはオリーブの木を与え、ポセイドンは塩水の泉を与えました。
住民は満場一致でアテナを選び、結果に納得がいかないポセイドンとは以来犬猿の仲となりました。
さらにポセイドンはアテナイに津波まで起こして無理矢理岬の突端に自分の神殿を建てさせましたからね。
そのアテナの神殿で、こともあろうにポセイドンが連れ込んだ女(メデューサ)が、
「私の美しい髪を見て! あのアテナよりも素敵でしょ」
と、のたまいます。
この発言にブチ切れたアテナは、メデューサを皆さんご存知の怪物に変えてしまったのです。
ちなみにポセイドンは見て見ぬふり。
後にメデューサは英雄ペルセウスに首をはねられ退治されますが、その血溜まりから天馬ペガサスと黄金の剣を持つクリュサオルが生まれたので、これらもポセイドンの子ということになります。なるんです。
ちなみに上記のメデューサの記事でも書いてありますが、メデューサはギリシャ神話が作られる前、先住民ペラスゴイ人の信奉する大地の女神でした。
そしてその夫の名はポセイドン。
やがて他民族に制圧され、神話は現在知られるギリシャ神話に改変されます。
大地の女神だったメデューサは怪物とされ信者を失います。
神話も歴史の一種です。
そして常に歴史は勝者に都合のいい様に、民を操作するために、造り変えられていくのです。
もしかしたら、この先何百年か後、メデューサが美しい女神に戻る日が来るかもしれませんね。
ミノタウロスもポセイドンのせい
クレタ島のミノス王はポセイドンに頼み込み、白く立派な雄牛を借りました。
しかし後で返すよう言われていたミノス王が、レンタル期間を過ぎても一向に返却に現れません。
待ちくたびれてブチ切れたポセイドンは、
「それならばお前の妃パシパエをその雄牛に恋させてやる」
呪いを受けた王妃パシパエは、なんと雄牛と交わることで牛頭の怪物ミノタウロスを生んでしまったのです。
超有名モンスターをいくつも誕生させるきっかけを作ったのはこのポセイドンだったんですね。
あまり好ましくはない話ばかりですが。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ポセイドンはほとんどの時間をオリュンポスではなく海底にある自分の宮殿で過ごします。
呼ばれた時のみ、黄金のたてがみに青銅の蹄の白馬四頭が引く戦車に乗って登城します。
冥界に住むためオリュンポス12神に加われないハデスとは違い、これだけの自由を与えられながらもオリュンポスNo.2の座を維持しているポセイドンの影響力は大したものでしょう。
実際彼も多くの子をもうけました。
妻であるアムピトリテとはトリトン、白い巨人アルビオン、ロードス島の女神ロデ、海の女神ペンテシキュメ。
大地の女神デメテルとは名馬アリオン。
怪物に変えられたメデューサとは天馬ペガサスに黄金の剣を持つクリュサオルと、なかなかのラインナップです。
さらに馬やキリン、カバなど多くの動物も彼の作品という事で、世界に与えた影響力はなかなかのものだったのではないでしょうかね。
それではまた!