【夜の女リリス】一筋縄ではいかない強い女【モンスターレビュー第75回】

リリスをご存知ですか?
妖艶な女悪魔にして、コウモリの翼に蛇を巻き付けた肢体を持つ、まさに魔性の女です。

そしてリリスとは、旧約聖書におけるアダムとイブ(エヴァ)の、そのアダムの最初の妻とされる女です。

しかし遡ればそれよりも前、リリスはバビロニア神話で語られる妖怪の類いでもありました。

今回は謎多き魔性の女悪魔リリスについて。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい。
是非、最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもリリスとはなんぞや?

リリスとは、あのアダムとイブで有名な、アダムの前妻です。

前妻ということは、今は離婚しているということです。
イブとは、アダムの後妻として、彼の肋骨から生まれました。

リリスはイブのことを憎んでおり、蛇に化けて「禁断の知恵の実」を食べるようイブをそそのかしたと言います。

そのためリリスは描かれる時、蛇と共に、または大蛇を身体に巻き付かせたような恐ろしいデザインにされることが多いです。
また、男をたぶらかす妖艶な女悪魔としてのビジュアルイメージも根強いです。
悪魔の羽根を生やした美女というデザインも多く見受けられます。
これはアダムとの間に多くの魔族を生んだという説や、多くの大悪魔との間にたくさんの子をもうけたという話が元にあるためです。

実はリリスとは聖書の時代よりもはるか以前、バビロニア神話にすでに登場するのですが、その名が広く知れ渡るのは8世紀ごろだったりします。
彼女はその長い年月で、女神であったり悪魔であったり妖怪であったりと、様々なイメージの変遷をたどったのです。

それはいったいどういうことだったのか。

リリスの出自

実はその存在は旧約聖書よりも遥か以前、バビロニア神話の頃から見受けられます。
なんとそこではいわゆる妖怪の類いという扱いでした。
リリトゥという嵐を呼ぶ、新生児や妊婦を襲う化物で、8世紀以降の中世で流行った悪魔学により、その名が広まったとされます。
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そのリリスは、夜中にベールで覆われた姿で現れます。
そしてなんと生後間もない男児を食い殺してしまうという。
なんとも恐ろしい「夜の魔女」とされていました。

ですがそのバビロニア神話よりさらに古い昔。
リリスは母権制時代の女神と言われていて、ですがキリスト教という巨大な父権制社会が力を得るとともにその存在は小さくなりました。
母権の社会では「夜、月、死者」という「」のイメージが尊重されました。
しかし父権社会では「日、太陽、生者」という、真逆のイメージが尊ばれるようになります。
故に繰り返しになりますが、リリスは「夜の魔女」と言われるのです。

ところでこの地域一帯で子供を食す恐ろしい怪物といえば、そう、ラミアがいます。
ラミアとは上半身が人間の女性、下半身が大蛇という姿で、「子供を食べる」「大蛇にまつわる」と、なにやらリリスと共通点が見られますね。
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赤子の生存率が著しく低かった時代です。
生後間もない幼児が死亡する様子を悪魔の仕業と擬人化されたのも不思議ではありません。

さらにリリスは後々、子供だけでなく男そのものをたぶらかす存在、と拡大解釈され、これが転じてこの地で勃興したユダヤ教にてアダムの前妻という地位にまで上り詰めました。

なんですが、実はアダムに前妻がいた可能性というのはもっとずっと後の時代、およそ8世紀頃になって考えられたものだそうです。
前述したリリトゥからリリスへと名が知れ渡ったころですね。
アダムに前妻がいた、という衝撃的な事実の根拠は『旧約聖書』創世記にある記述。
神は御自分に象って人を創造された
最初の男と女は神に象られて造られたというのです。
しかしイブはというと、彼女はアダムの肋骨から生まれました。
この事からアダムにはイブ以前に前妻がいたと解釈でき、それがリリスなのだと言うのです。

リリスはもうひとつ、男をたぶらかすという個性から、婬魔サキュバスと似たような扱いを受けることもあります。
そのためサキュバスと同様の対策でリリスを追い返すことが出来るとされます。
それは枕元に牛乳を入れた小皿を置いておくこと。
リリスはそれを精液と間違えて何もせずに持ち帰ってしまうそうです。
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アダムと別れた訳

リリスがアダムと別れた訳はとても時代を反映しています。

それは夜の営みにおいて、アダムが「正常位」でしかしてくれなかったからだというのです。

リリスが上になろうとするのをアダムは極端に嫌がり拒否したという。
正常位は英語ではmissionary positionといい、「宣教師の体位」と訳されます。
要するにキリスト教では父権制社会であり、男が上になる体位のみが唯一公認とされていたのです。
正常位と騎乗位は男女のパワーバランスを意味しており、……まあこれぐらいで言わんとしている事は通じたかと思います。

そういうわけで怒ったリリスはアダムのもとを去ります。
神に訴えてはみたものの、まったく取り合ってもらえなかったためです。
それどころか神はリリスに大人しくアダムの元へ戻るよう、三人の天使を遣わし説得を試みます。
しかしリリスの意志は変わらないと見るや一転、「自分の子供を毎日100人殺される」という罰を与えたのです。
こうしてリリスは失意の中、紅海へと去りました。

それでも、この罰を不服に思うリリスは報復として、夜な夜な男児を食い殺す妖怪へと変じた。
そして神もそれを黙認している。
ただし男児に神の名を記した護符を持たせることで、凶事は避けられると言います。

しかし毎日100人の子供を殺されることが可能なほどの多産だったのでしょうか。
そこの真偽はともかくとして、アダムと別れた以降、リリスは多くの悪魔と契ります。
その相手となったのはいずれも地獄の名だたる大悪魔たち。
ルシファー。サタン。アスモデウスなどなど。
そのため「悪魔の女王」という異名も持ちます。

まとめ

  • リリスはアダムの前妻である
  • ただしその説は8世紀以降に広まった悪魔学によるところが大きい
  • バビロニア神話に登場する新生児を食らうリリトゥが元ネタ
  • ラミアやサキュバスに類似される
  • 多くの大悪魔と交わり、子をもうけた
  • 毎日100人の子供を殺される罰を受けている

いかがだったでしょうか。

ちなみに「清らかな乙女」の象徴ともされる百合の花は「lily」
複数形では「lilies」となるのはなんとも皮肉めいていると思いませんか。

さらにちなみにリリスは「ブラックマリア」として、キリスト教ではサタン、イスラム教ではイブリースという、いずれも強大な悪魔の妻となったという異説も残されています。

さて、なんともまとめるのに苦労したリリスの記事でありますが、それでも幾分とっちらかった印象はぬぐえず、その辺は自分の力不足を痛感しております。
あまり長文になりすぎてもよくないと思い、ある程度簡略化して書いた文章でもあります。
表現に拙い部分、誤認があるやもしれませんが、その辺はどうかご容赦いただきたい。
追記や修正もこの記事に限りませんが、目につくたびに行っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

それではまた!

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この記事を書いた人

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