星の数ほど存在する、数多のモンスターの中で最も不可思議な存在。
それが今回ご紹介する魔獣ミルメコレオです。
あまりメジャーではないかもしれません。
なので最初にその姿をお教えします。
前半身がライオン。
後ろ半身がアリです。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
今回も是非、最後までお付き合いくださいませ。
そもそもミルメコレオとはなんぞや?
ミルメコレオとは、前半身がライオン、後ろ半身がアリの姿をした魔獣です。
- 大きさはライオン基準。
- なので後ろ半身がアリにしては巨大ですね。
- 前足の2本がライオン。
- 後ろ足が2本だったり4本だったりがアリです。
ミルメコレオ、ミュルメコレオ、アントライオン等と言われます。
ライオンがアリの卵に精子をかけるなどして生まれるとされます。
アリのように地中で孵化するのですが、その時点で結構な体の大きさらしく、ゆえに地中深くへ埋まっているため、運良く獣などに掘り起こされない限り、そのまますぐに息絶えるそうです。
運良く生まれ出でたとしても、その生涯は短命です。
肉食のライオンが食べた食物を、アリの体が消化できないためです。
というわけで、生まれてもすぐに餓死してしまう。
およそ生命の理にそぐわない、生物の進化として起こり得ない存在。
それが魔獣ミルメコレオです。
なんとも無意味で悲劇的なモンスターではないですか。
これが語り継がれたということは、人間の不安定さ、行く先に待つ滅びの運命、そういった考えが人間の中に今も昔も根強く息づいているということなのでしょう。
誕生は誤訳から
何故このような不可思議な存在が生まれたのか。
原因は聖書の誤訳とされています。
ヘブライ語で書かれた『旧約聖書』をギリシャ語に訳したときです。
ライオンという言葉に対して、アラビア語でもライオンを意味する「ミュルメクス」という言葉が付記されました。
「ミュルメクスライオン」とです。
これでは意味が「ライオンライオン」と、なんで2回言うねん! てことになります。
誰か違和感に気付きそうなものですが。
ギリシャ語訳は「七十人訳聖書」と呼ばれ、イスラエル十二氏族から派遣された、各氏族6人ずつの長老たち(なので実際は72人)が72日間で律法の翻訳を行ったとされます。
それだけの人数がいれば校閲は完璧だろうと思いますよね。
ところがこの「ミュルメクス」という言葉。
なんと都合のいいことに、ギリシャ語では「アリ」という意味があるというのです。
よって、アリライオンという奇形がいるのか、そうなのか。
と、特に疑問に思うこともなく、この誤訳はスルーされてしまったと言います。
真偽のほどは定かではありませんが、面白エピソードだと思いますね。
まとめ
- ミルメコレオはライオンとアリのキメラ
- 肉食だが消化器官を持たないので短命
- 聖書の誤訳から生まれた
いかがだったでしょうか。
複数の動物が掛け合わさったモンスターの代名詞として、キメラ(キマイラ)がいます。
実は多くのモンスターが蛇やコウモリ、ライオンやトカゲなど、複数の動物の部位で表されることが多いので、厳密にはほとんどキメラじゃないか、と思わなくもないのですが。
そんな中でこのミルメコレオはトップクラスに奇怪で不気味なキメラだと思います。
あまり登場例もないマイナーなモンスターになりますが、見つけたらきっと、一生懸命生きているんだな、と見守ってあげてください。
それではまた!
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