ネメシスはギリシャ神話における神罰の代行者です。
大変に美しい女神で、粛々と神罰を下す怖い女神様でした。
そしてギリシャ神話クライマックスのある重要人物の生みの親でもあります。
今回はそんなネメシスをご紹介。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもネメシスとはなんぞや?
ネメシスとは、ギリシャ神話における「神々の怒り」を司る女神です。
名前の意味は「義憤」
正当なる復讐や、正義感から来る憤りを現した女神です。
ネメシスは「大地母神」ガイアと並ぶ原初の神のひとり、「夜の女神」ニュクスから生まれたとされます。
そのため兄弟が多く、例えば「死の神」タナトス、「眠りの神」ヒュプノス、「運の女神」テュケなど多くいます。
実はある頃、神々は人間に対して憤りを覚えていました。
理由のひとつ目は、人間が道徳を守らない。
あまりの民意の低さが目に余ったとのこと。
もうひとつ、神々よりも裕福な暮らしをする者が現れだしたことです。
このような憤りに対し、神罰として人間に罰を与える代行者の役を担ったのがネメシスなのです。
裕福になったら罰せられるのではたまったものじゃない。
そうして金持ちはネメシスや神々に多くの貢ぎ物を献上したようです。
ネメシスは「神罰の代行者」なので、決して私怨で復讐をしたりはしません。
ところが姉であるテュケとよく行動を共にするのですが、テュケは運の女神。
気に入った者には幸運を、気に入らない者には不幸を与える気まぐれの強い女神なのです。
また仮に幸運を与えられても、その恩恵を周囲に還元しない、独り占めするようではネメシスからの神罰が高確率で落ちること間違いありません。
道徳心の欠如が見える者に神罰を下す。
それがネメシスの役割だからです。
卵を産み落とす
ネメシスは美しい女神です。
どれほど美しかったかと言えば、あの最高神ゼウスが手を出したぐらい美しかったのです。
ネメシスは拒否するのですがゼウスはしつこく迫ります。
ガチョウに変身して逃げますが、白鳥に変身したゼウスに追い付かれ、交わります。
また異説として、白鳥の姿のゼウスがネメシスの股の間に入り込んだという話も。
こっちならまだしもかな。
でもゼウスなら前者がらしいかな。
こうしてネメシスは卵を産み落とします。
鳥のまましましたからね。
その卵を羊飼いが拾い、スパルタの王妃レダが育てることに。
その卵から生まれたのが、後に大戦争を呼び起こすきっかけとなる「絶世の美女」ヘレネでした。
ヘレネとは3美神(ヘラ、アテナ、アフロディーテ)により引き起こされた、トロイア戦争の切っ掛けとなった姫のこと。
誰が一番美しいか決めろと迫られたトロイアの王子パリスが、絶世の美女をくれてやると約束したアフロディーテを選んだという話です。
その時ヘレネはスパルタの王弟の妻だったのに、パリスのもとへ駆け落ちしてしまいます。
まあアフロディーテの手引きで、ですが。
そのヘレネを取り戻すため、ギリシャ中の勇士がかき集められ、その後10年に及ぶ有名なトロイア戦争が勃発するのです。
そのヘレネなのですが、実のところゼウスと卵を育てた王妃レダの娘とされています。
実際ゼウスとネメシスの子ではヘレネは女神ということになりますし、あくまで人間として絶世の美女と評されているわけで。
もしヘレネが女神とあれば、美の女神を謳うアフロディーテが黙っていないでしょう。
まあその場合ネメシスはこの話にまったく関係ないことになりますがね。
まとめ
- 神々の義憤から神罰を下す代行者
- 私怨で復讐は絶対にしない
- 鳥となってゼウスとの間にヘレネをもうけた
いかがだったでしょうか。
ゼウスたちオリュンポス神族は大地母神ガイアの系譜ですが、それとは別、夜の女神ニュクスの系譜に連なるのがこのネメシスです。
別にゼウスたちと敵対している気配はありませんが、創作アレンジとしては平和になった世界で新たな眷属として登場するニュクスの一派、などと無駄な構想をしてしまいます。
それではまた!