質問です。
最強の召喚獣と言えば?
バハムートですよね。
船乗りが恐れる海の魔物と言えば?
クラーケンではないでしょうか。
『ファイナルファンタジー』シリーズにおいてほぼレギュラーであり、強力な召喚獣でもある海魔リヴァイアサンですが、なんとなく永遠の二番手という印象がありませんか?
とんでもありません!
「彼女」は創造主である神すらもが恐れる最強の龍なのですよ。
FFのおかげでリヴァイアサンを知ったという方も多いと思います。
まさか『旧約聖書』読んでて興味を持った、なんていう崇高な方がこのブログに目を通すとは思えませんしね。
ということで、今回はリヴァイアサンについて調べてみました。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもリヴァイアサンとはなんぞや?
リヴァイアサンのイメージとしては下記のようなものでしょうか。
- 上から二番目に強い召喚獣です(FFでは)
- 「大海嘯」「タイダルウェーブ」など、希少な水属性攻撃を持ってます(FFでは)
- 大海で船ごと飲み込む巨大な龍
- 同名の悪魔もいたような?
こんなところでしょうか。
とにかく海にいる巨大な龍であると。
しかしそれ以上のことをご存知でしょうか?
リヴァイアサンは『旧約聖書』のヨブ記、詩編、イサヤ書、ヨナ書等に登場する、神の造りし「原初」の怪物です。
創生神話では神が5日目に造ったとされてます。
ちなみに人間は6日目です。
7日目は日曜日なのでお休みです。
体長はおよそ1500キロメートル。
七つの頭に三百を越える目を持つとまで言われます。
けどこの辺はあまりイメージ沸きませんね。
特に聖書で「七つの頭」と書かれると別の竜をイメージしてしまいます。
二重の鎧とか、楯の列などと表現されるほどの固い鱗に覆われ、不死身とされます。
鼻からは煙がくすぶり、灼熱の炎を吐き出します。
これもイメージとは真逆の「炎」です。
水属性なんてどこにもないです。
ドラゴンが炎を吐くというのは原初からあるイメージなんですね。
そしてリヴァイアサンが食べるエサ、主食はドラゴンです。
いますか、そんなの?
「昨夜の夕飯はドラゴンを食べました。一昨日もその前もです」
リヴァイアサンは単なる龍ではなく、ドラゴン種の中でもかなりの上位だとわかりますね。
名の由来はヘブライ語。
「集まり壁をなす」「渦のようにとぐろを巻く」
リヴァイアサン(Leviathan)は英語読みで、他にレヴィアタンともいう。
対の存在ベヒーモス
リヴァイアサンと共に神により造られた最強生物がいます。
「大地の王者」「獣たちの王」ベヒーモスです。
当初神はリヴァイアサンとベヒーモスそれぞれに雌雄、つがいを設けました。
しかしこのような最強生物が増えるのを危惧した神は、それぞれのメスだけを殺してしまったのです。
そのため彼らはこれ以上個体数を増やすことはありません。
なのですが、聖書の外典『エノク書』によると、ベヒーモスはオスでリヴァイアサンはメスであり、両者はつがいなのである、というのです。
こんなカップリング、見たくないでしょう?
当初二匹ともが海で過ごしていましたが、海水が溢れてしまうということでベヒーモスだけ陸へと上がってしまいました。
なので今は二匹別々で暮らしています。
ちなみにこの二匹が造られた理由は「世界終末の日」を迎えた後、生き残った人々のための「食糧」となるためなのです。
二匹が戦って勝った方だとか、神に敵対するリヴァイアサンが頭を砕かれ食べられるとか、諸説あります。
リヴァイアサンはクジラ、またはウミヘビと表現されるので、案外美味しいかもしれませんね。
ところでリヴァイアサンにはなんとモデルがいます。
『旧約聖書』よりも前にモデルとなる怪物がいたのです。
それはシリア西部にあった古代都市国家ウガリットに保存されていた粘土板による「ウガリット神話」からです。
時代は紀元前1450年ごろから1200年ごろにかけて。
そこには「荒れ狂う海の象徴」として、七つの頭を持つ竜の怪物リタンが、豊穣の神バアルに退治されるお話が残されています。
船乗りに恐れられる
『ファイナルファンタジー』において、リヴァイアサンには定番のイベントがあります。
『II』では主人公たちを船ごと飲み込み、腹の中で行方不明だった竜騎士と出会いました。
『IV』では船が襲われ召喚士のリディアが飲み込まれました。
リヴァイアサンと言えばこうして船を飲み込む、船乗りたちが恐れる魔物なのです。
このようなエピソードはきっちりと『旧約聖書』にも書かれています。
『ヨナ書』にて、預言者ヨナがリヴァイアサンに飲み込まれ、腹の中で3日間も過ごしたのです。
神が「吐き出しなさい」と言うと、リヴァイアサンは素直に吐き出しました。
このエピソードは大航海時代にも影響を与え、船乗りたちの恐怖の対象でありました。
ただこれには避けるための対処法があります。
リヴァイアサンは船を飲み込む際、周囲を泳いで巨大な渦を発生させます。
その時に手桶を投げ入れるのです。
するとリヴァイアサンは手桶を船と勘違いし、船ではなく手桶を中心に渦を巻くのです。
こうすることで船は難を逃れることができます。
マジかリヴァイアサン……
悪魔レヴィアタン
中世以降、ヨーロッパでは悪魔学が盛んになります。
一神教であるキリスト教が広まったことで、他地域の神々が悪魔へと堕ちたからです。
その中でリヴァイアサンも何故だか悪魔へと貶められました。
19世紀に書かれた『悪魔の辞典』によると、リヴァイアサン(レヴィアタン)は地獄の海軍を率いる大提督とされています。
しかもキリスト教における「七つの大罪」のひとつ「嫉妬」を司るのです。
嫉妬とは当時は女々しいと思われていたでしょう。
だからというわけではありませんが、やはりリヴァイアサンはメスイキ扱いなんでしょうかね。
この悪魔学によると、リヴァイアサン(レヴィアタン)はとんでもないペテン師であり、特に若い女性に憑りつき詐欺でそそのかしたりするそうです。
最強の割にコスイですね。
ちなみに対を成すベヒーモスは七つの大罪のひとつ「暴食」を司る悪魔ベヘモットとなりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
神をもって最強の生物と言わしめたリヴァイアサン。
なんとなくベヒーモスと対であることに存在意義があるような気もしますが。
海の水が溢れちゃうから陸に上がったベヒーモスに対し、海に居残ったからリヴァイアサンは「海魔」という地位に就いたのでしょう。
それも「悪魔学」が流行る中世以降のこと。
その際に七つの大罪のひとつ「嫉妬」に割り当てられたがゆえにメス竜という設定も付加されました。
あくまで中世の価値観ですからね。
古代にそんな意図はなかっただろうし、現代にあまり当て嵌める考え方でもないでしょう。
それにしても圧倒的な怪物であることは確かです。
海を舞台にする際は是非活躍させてみてください。
いや、海じゃなくてもいいですね。
それこそアレンジは無限のポテンシャルを秘めています。
灼熱の炎ブレスを吐くリヴァイアサンもカッコいいじゃないですか。
それではまた!