ギリシャ神話随一の英雄ヘラクレスはご存知でしょう。
数多くの怪物を退治したヘラクレスですが、では彼が初めに倒した怪物は何か、ご存知ですか?
今回のテーマはそれで行きたいと思います。
今回は英雄ヘラクレスにちなんだ逸話から、一匹のモンスターをご紹介したいと思います。
ネメアの獅子と言われてピンときましたか?
多分そういう方は少ないのではないでしょうか。
ヘラクレスが行った「12の功業」の中でも有名なのはヒュドラ退治やケルベロス捕獲でしょう。
しかし最初の冒険で退治したのはこの「ネメアの獅子」でした。
というわけで、このネメアの獅子、皆様の創作アイデアに役立つ部分が当然ございます。
是非、最後までお読みいただけると幸いです。
ギリシャ神話全体についてはこちらの記事からどうぞ!
□【ザ・神話オブ神話】5分でわかるギリシャ神話の世界【サーガレビュー第1回】
そもそもネメアとはなんぞや?
その前に何故ヘラクレスがこの怪物退治をする羽目になったのか。
実はヘラクレスは全能の神ゼウスが人間の娘と不倫してできた子供です。
なのでゼウスの正妻である女神ヘラはヘラクレスが嫌いでした。
成人して子をもうけたヘラクレスにヘラは呪いをかけ、ヘラクレスは自らの手で我が子を殺してしまいました。
妻も自殺してしまい、正気に戻ったヘラクレスは神に贖罪を請います。
その答えが12個の難題をクリアーすることだったのです。
▽より詳細は以下の記事をどうぞ▽
□超英雄ヘラクレスの生涯を知っていますか?【ヒーローレビュー第1回】
さて、その12のミッションの最初が「ネメア谷の人食いライオンの皮を持ち帰る」でした。
ネメアとはネメア谷という場所の事なんですね。
ネメアはギリシャの左下、ペロポネソス半島北東部の山間にあります。
少し南に下ると有名なアルゴスという都市国家がありました。
ネメアの獅子、ネメアのライオンは、怪物の母エキドナとその夫テュポーン、もしくは息子である双頭の犬オルトロスの間に生まれました。
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人間や家畜を襲う獰猛な怪物で、分厚い皮に覆われ、皮膚の下は甲羅のように固い筋肉でした。
ヘラクレス対ネメアの獅子
さて英雄ヘラクレスのデビュー戦です。
相手は防御も硬く、爪や牙による攻撃力も高いライオンです。
まずは弓矢による遠隔攻撃を試みましたが、固い体を貫くことは出来ませんでした。
あまりの硬さに刃物は通じないと判断したヘラクレス。
ならばと今度は棍棒を持ってブッ叩きにまいります。
「斬耐性」が高いので「打撃」に切り替えたわけです。
しかしこの目論見も破綻しました。
「打撃耐性」も高かったのです。
ここからトランプのクラブのマークは三つ葉になったそうです。
どちらもクラブと言いますでしょう。英語では。
さて斬っても叩いてもダメとなれば、脳筋のヘラクレスに出来ることはもうアレしかない。
そう「締め技」です。
ネメアの獅子の首を絞め殺しにかかります。
しかしそこは怪物。
ヘラクレスをもってしても三日三晩、締め続けないと退治できないほどでした。
こうしてヘラクレスの最初の冒険は勝利で終わります。
戦利品として剥いだ皮は鎧になり、頭部は兜としてヘラクレスの象徴となりました。
モンハンみたいですね。
星座になったネメアの獅子
ギリシャ神話は星座と切っても切り離せない関係にあります。
ネメアの獅子の亡骸はゼウスが、あるいはヘラが、あるいはヘラクレスに12の功業を与える役目を負ったアルゴスの王エウリュステウスが、獅子の亡骸を夜空へと舞いあげました。
皆さんご存知の黄道十二宮「しし座」です。
しし座の元ネタはこのネメア谷のライオンなんですね。
古代メソポタミア初期、シュメール人の時代(紀元前3000年)にはすでに獅子の形として認識していたらしいです。
しし座と言えば「獅子座流星群」ですね。
何年も前に話題になって、都内住みの私はそのころ初めていくつもの流れ星を肉眼で見れて感動したのを覚えています。
あれ以来なんとか流星群ってよく聞くようになりましたね。
いいことだと思います。
ネメアの獅子が出てくる作品
あんまりなさそうですよね。
特徴としてはライオンだし。
ちなみに古代ギリシャ南東部ではライオンは普通によくいたそうです。
今回は変わり種を二つご紹介。
『ジルオール』
この作品には多くのNPCが登場するのですが、その中でもパッケージにまで採用されたのが英雄ネメアです。
長い金髪に漆黒の鎧、仰々しい槍を持つまさに英雄といった風格のあるキャラです。
魔王を倒した英雄であり、半分魔族であり、皇帝に就いた後は全世界に宣戦布告するけれど、英雄です。
物語内で12の難業を成し得たといわれており、モチーフは完全にヘラクレスですね。
でも名前はネメア。
『HUNTER×HUNTER』
カキン王国の王位継承戦で初登場時の第一王子ベンジャミンは、トレーニングジムで巨大な獅子の首を締め落としながら第四王子ツェリードニヒに電話をかけてます。
このビジュアルイメージはまんまネメアの獅子を絞め殺したヘラクレスですよね。
この一枚でベンジャミンがどういうキャラとして扱われるのか、強く印象付けられました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
いまいち覚えのないモンスターなのであまり登場作品はありませんが、ヘラクレスの最初の相手、しし座の元ネタ、となればなかなかのステータスではないですか?
創作においてこれほど美味しいネタもないのではないでしょうか。
あなたの手でさらなる新解釈を開拓してみませんか?
その時は是非教えてくださいね。
それではまた!
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