怪人のモチーフとして「蛇」と並んで大御所といえるのが「蜘蛛」です。
なんせあの『仮面ライダー』の第1話からして「怪奇蜘蛛男」ですからね。
第1話の怪人がクモなのは東映特撮の伝統なんです。
アラクネをご存知ですか?
ゲームや小説にもたびたび登場しますが、ずばり蜘蛛女です。
ではこのアラクネがどうやって誕生したかはご存知でしょうか。
先に言います。
今回の教訓は、神の怒りに触れるべからず、です。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもアラクネとはなんぞや?
アラクネとは、ギリシャ神話に登場する、下半身、もしくは首から下が蜘蛛の姿をした女の子モンスターです。
- 蜘蛛の糸を使い冒険者を襲う
- 蜘蛛の巣を張り冒険者を待ち受ける
とにかく糸を使う女の子モンスターとしてよく使われます。
中には単に糸を使うだけで、身体は人間の女の子そのものでもアラクネと称するパターンもあります。
こうなると途端にヒロイン枠にも適用できそうですね。
名称、異名が数多くあります。
アラクネの他に代表的なものとして「アルケニー」があります。
ゲームではこちらもよく見かけますが、実は古代ギリシャ語による「アラクネ(arachnē)」は、どうしてもアルケニーとは読まないそうで、実際のところ出典は不明だそうです。
他には「アルクメーネ」「アルキュイア」「アルキュミア」などなど。
こちらも創作で採用するとアレンジ効いて面白いかもしれませんね。
印象として娘の名としては「アラクネ」
ゲームのモンスター名としては「アルケニー」と使い分けてるかもしれませんね。
傲慢が招いた悲劇
アラクネは元々は可愛らしい人間の乙女でした。
機織りに関しては天才的で、しかしそれを鼻にかける性格の持ち主でした。
ある時、彼女は機織りをも司る「戦の女神」アテナに対し、女神よりも自分の方が機織りが上手い、と放言して回ったのです。
それを聞いたアテナは老婆に化けてアラクネに近づき、発言を撤回して謝罪するよう促します。
しかし聞く耳を持たないアラクネに業を煮やしたアテナは、ついに正体を見せアラクネと機織り勝負をすることになったのです。
アテナは「オリュンポス12神」の偉大で荘厳な様を見事に織り上げました。
ふと見ると、アラクネの腕前もなかなかそれに負けず劣らずでした。
その腕前に感心したアテナでしたが、しかしアラクネの織った題材がまずかった。
なんと全能の神ゼウスが様々な女神や王女といった方々に、不埒なセクハラを楽しんでいる様を織り上げていたのです。
ゼウスはアテナの父親であり、アテナはゼウスにたいそう可愛がられてもいました。
これに激怒したアテナはアラクネの頭を小突きます。神の力で。
「調子に乗るな」
「あ、ごめんなさい」
そこでハッとしたアラクネは自身の行いを恥じ、首をくくって自殺してしまいました。
根はいい子だったんです。
憐れんだのか、はたまた死すら生ぬるいと思ったのか、アテナはトリカブトの汁をそこらに撒くと、アラクネを蜘蛛の姿にして蘇らせたのです。
ギリシャ神話は細部が異なる場合も多いのですが、アテナの記事にもこのエピソードを紹介しています。
こちらにありますので、よろしければ覗いてみてください。
それにしても、機織りと蜘蛛の糸を結び付けるこのお話、考えた人も発想がぶっ飛んでますね。
ちなみに別に下半身だけ蜘蛛で上半身は女の子のままとは言われてないんですよね。
あくまで「蜘蛛」として甦ってる。
そこは現代(中世)人の妄想が生み出した部分なのでしょうね。
他の女の子モンスターも大概ですからね。
アラクネが出てくる作品
『真・女神転生』
神話由来となれば頼もしいのがメガテンシリーズです。
ヒロインの精神世界にいるボス敵としてアルケニーが登場。
ほぼ人間体で両手両足の先だけが尖った形状。
ほぼ全裸でお尻から糸を垂らしてぶら下がっている、なんとも攻めたデザインです。
鬼女アルケニーLv48
『私は十代の蜘蛛女だった』
グループSNEによる、現代妖怪もの『妖魔夜行』シリーズの短編小説です。
主人公は16歳の女の子ですが、エッチなことを考えると下半身が蜘蛛に変わってしまうという、少々難儀な体質の持ち主です。
や、あれはアラクネでなく女郎蜘蛛だったかな
まとめ
いかがだったでしょうか。
女の子モンスターとしてカテゴライズされた宿命といいましょうか。
単に蜘蛛として転生したというお話が、下半身だけ蜘蛛のモンスターになってしまったというね。
これも罪深き現代人のサガなのかもしれませんね。
それではまた!