オークはどうやって生まれてくるのか、ご存知ですか?
紳士であられる皆様は、オークという存在はもちろんご存知でしょう。
なぜか近年、オークはコボルトやゴブリンを差し置いて、急速にファンタジー界隈を席巻するほどの一大勢力となりました。
一時期、主に同人界隈においてはそれはもうオーク、オーク、オークと一大ジャンルになっていましたね。
「クッころ」とか、「姫騎士」とか、オークとは切り離せない言葉も生まれました。
なんというかオークの存在感はもう、ファンタジー界隈ではドラゴンに匹敵するほどにアイコニックなモンスターへと昇華されたのではないでしょうか。
というわけで今回は、ファンタジー界の雑魚戦闘員、オークについて調べてみました。
その結果、衝撃の事実が判明しました!
上記の同人世界におけるオークはあながち間違いでもなかったんです!
さすが、日本の創作はレベルが高い。
根拠のない所に〇ロは生まれないというわけですよ。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもオークとは何ぞや?
ブタの顔した雑魚モンスターでしょう。
そういうイメージですよね?
そうです。それでいいんです。そのために生まれたような怪物なのです。
生みの親はイギリス人作家J・R・R・トールキン大先生。
原典はファンタジー界の元祖『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』です。
そう、オークは神話や民話伝来ではなく近代のファンタジー小説から生まれました。
ホビットと同じです。
なのでオークは指輪物語の舞台「中つ国」由来となります。
オークは『指輪物語』由来ではありますが、もちろんトールキン先生が着想を得るための源流はあります。
これが色々あって複雑なんですよね。
オークの源流
トールキン先生がオークというモンスターを生み出すための源流はいくつか説があります。
その1 ローマの死の神オルクス説
ローマ神話に登場する死の神オルクスは髭を生やした巨人で、敵を打ち倒し、逃げる者は蹴倒し、死者を食べてしまうといわれます。
後の時代にはギリシャ神話に登場する冥界の神ハデスと同一視され、その影は薄れてしまいますが、丁度その頃はブタ顔に黒い羽の生えた悪魔とされていました。
実はオルクスはギリシャの神ポルキュスをラテン語読みしたものです。
ポルキュス(Porcus)の意味は雄ブタです。ブタ、出てきましたね。
さらにこのポルキュスは元々はバビロニアの女神ポルキスでした。
時代の移り変わりで女神崇拝が禁止され男性化したのがポルキュスなのです。
この女神ポルキスはブタ顔であったとされます。
女神なのに頭がブタの理由は、ブタが生贄に捧げられていたからだそうです。
オークの源流がバビロニアの女神だなんて、信じられます?
その2 ベオウルフに登場する怪物グレンデル説
『ベオウルフ』とはデンマークを舞台とした英雄叙事詩です。
このベオウルフに登場する怪物グレンデルは「オーク=ナス」という種族で、そこからとられたという説になります。
グレンデルとは恐ろしい外見に残忍な性格をした巨人です。
勇者ベオウルフにより退治されます。
ちなみにトールキン先生はこの『ベオウルフ』研究の第一人者だったそうです。
こんな本も出ています。
『ベオウルフ』については映画で観るのもいいかもしれませんね。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『フォレスト・ガンプ/一期一会』のロバート・ゼメキス監督作品です。
ちなみにオークという名前についてですが、古英語、いわゆるアングロサクソン語で「地獄のような」という意味がオークという言葉にはあるそうです。
古い言葉の意味で邪悪な感じからオークと名付けたのではないでしょうか。
外見的特徴としては死の神オルクス。
生物的特徴としては『ベオウルフ』の怪物グレンデル。
この辺りからオークの着想を得ているのではないかと言われています。
オークというひとつの怪物を設定するのにも、あらゆる箇所から調べ上げている好例ですね。
創作を志す者として、この姿勢はあやかりたいものです。
オークのつくりかた
さて、では実際にオークを用意して戦争をおっぱじめたいとお考えの方もおられることと思います。
そういう方のためにオークのつくり方を簡単にご説明させていただきます。
オークは自然発生的に生まれたのではありません。
ある邪悪な方法で人為的に生み出されたのです。
そのための材料集めから始めねばなりません。
まずはみなさん、 何処でもいいので森の妖精エルフを 捕獲してきてください。 | |
次にそのエルフを暗い地下に監禁してください。 | |
さらに拷問してください。 | |
そのエルフがオークになります。 |
そうなのです。
なんとあの邪悪で醜怪なオークという怪物は、元々は拷問の果てに堕ちたエルフなのです。
なのでオークも妖精と言えます。
理知的で魔法的なエルフですが、苦痛と絶望から粗暴で脳筋なオークに成り果てることが可能なのです。
ちなみにオークになると魔法は使えません。
変化は他にもあります。
地下に長くいたため極端に日光に弱くなります。
昼間は暗い森や廃屋に身を潜めねばならないのです。
皮膚が焼けただれてしまいます。
しかし頑健な肉体を得てパワーファイターになれますし、旺盛な繁殖能力も得ます。
ここで面白いのが、長寿で有名なエルフですが、オークは非常に短命なのだという事です。
それは何故かというと、大抵のオークは戦闘員として駆り出されるため寿命を全うする事がほぼほぼ不可能だからです。
でも繁殖力が強いので、オークの数は次々と増えていきます。
そう。別にすべてのオークが拷問の果てにエルフから変化したわけではなく、一度オークになると自分の子供もオークとして生まれてくるという訳ですね。
結果、オーク人口は減少しないのです。
雑魚敵モンスターとして理想的ですよね。
オークの繁殖力
冒頭で現代のオークの使われ方を軽くお伝えしました。
いわゆる「クッころ」や「姫騎士〇ませ」みたいなやつです。
オークは粗暴で知能も低く、しかし繁殖力は旺盛なので見境がないです。
そして元がエルフなので、人間との間に子をもうけることも出来てしまいます。
もしかしたらここがオークの一番恐ろしい部分かもしれませんね。
ハーフオークの生涯は悲惨です。
オークはエルフや人間との間に子供を作ることが出来ます。
そうして生まれてくるのは半分オーク、半分エルフ、または人間。
要するにハーフオークです。
もし彼が人間社会で生きるとすれば、迫害は免れません。
おそらく村を出て放浪することでしょう。
真っ当に生きようとしても、せいぜい冒険者くずれとして蔑まれながら転々とするしかないかもしれません。
それよりも野盗に落ちぶれる方が楽な生き方かもしれないですね。
オーク社会で生きるのはもっと悲惨です。
知能や協調性のないオークは決して半端者の彼を認めないでしょう。
よくて奴隷として生きられるか、大抵はおもちゃのように粗末に扱われておしまいではないでしょうか。
運よく戦場に出れたとしても捨て石のような扱いを受けることでしょうね。
しかし、実はオークにもいくつもの種類があります。
より頑健な上位種である「ウルク=ハイ」や魔法を使えるオークも作品によってはいます。
ハーフオークというのもなかなかにアレンジの利く創作ネタなのですが、実はあまり代表例が見当たらないんですよね。
魔法を使うオークはたまに見かけます。
有名どころでは意外なところで『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』です。
ドラクエでオークの初出は『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』なのですが、ここではあえて5をご紹介。
ちなみにドラクエのオークはブタではなくイノシシですね。
なぜ5かというと、5はモンスターを仲間に出来るシステムが人気なのですが、オークキングというオークの上位種が仲間モンスターとして使えるのです。
しかもこのオークキング、仲間を回復するベホマラーやザオリク、氷雪系最強のマヒャドなど、強力な呪文の使い手なのです。魔法を使えるオークなんですよ。
中盤の冒険でずいぶん彼に助けられたプレイヤーも多いのではないでしょうか。
そしてやはり外せないのは『指輪物語』です。
特に映画版2作目の『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』ではウルク=ハイの大群に包囲される砦の攻防戦がクライマックスになります。
ビジュアル的に大変恐ろしいオークの軍勢がたくさん見られますのでオススメです。
またamazonプライム・ビデオで展開されるドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』も見逃せません。
原作『指輪物語』の前日譚として、中つ国最強のエルフ、森の奥方ガラドリエルを中心に、エルフ、ドワーフ、ハーフット、ヌーメノール人、南方人、そしてオークが暴れまわります。
そしてシーズン1のラストではついに指輪が……。
アマゾンプライム会員であれば視聴無料です。ファンタジーの基礎教養です。この機会に是非ともどうぞ。
まとめ
- オークは『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』発祥のモンスター
- 死の神オルクス、怪物グレンデルが着想の元ネタか?
- エルフが闇堕ちするとオークが生まれる
- 繁殖力が強く、他種族とも子をもうけられる
いかがだったでしょうか。
オークというととにかく雄の特徴を前面に押し出したキャラ設定がなされていますよね。
しかし戦闘力は並の戦士程度、真に脅威なのはその数の多さです。
全滅したって減りません。
したがって雑魚戦闘員として、いいように創作では扱われていますよね。
そんなオーク、まだまだアレンジできる箇所がありそうです。
きっとこれからも新種が生まれてくることでしょう。
それではまた!
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