圧倒的ヒロイン! 美しき森の民エルフ【モンスターレビュー第25回】

モンスターレビュー

エルフにはヒゲが生えません!

モンスターレビュー第25回は絶対的ヒロインエルフです

エルフが嫌いな人いますかいませんね!

最早説明不要なエルフですが、その成り立ちはご存知でしょうか?
どこの地域出身で、どうして耳が長いのか?

そんなの知ってるよという方も多いでしょうが、今回はファンタジーを語るうえで避けては通れないエルフについて、真正面からまとめてみたいと思います!

最後までお読みいただけると幸いです。

そもそもエルフとはなんぞや?


令和の日本にお住いの皆さんが想像する一般的なエルフっておそらく、

・人間よりは背が低く華奢
耳が長い
・肌が白く金髪で美しい
森に住み精霊と仲良く自然を愛する
・弓と魔法が得意
・森を破壊する火が嫌い
寿命が長い、あるいは不死
・プライドが高い
・よくヒロイン枠として扱われる

こんなところでしょう。

このイメージの源泉は言わずもがな、イギリス人作家J・R・R・トールキン先生による『指輪物語』です。
ロード・オブ・ザ・リング』としても有名ですね。
で、も、『指輪物語』のエルフも今皆さんの知るエルフとはやはりちょっと違いませんか?

たしかにこのファンタジー小説の中で著されたエルフ像が今日のエルフの基礎となっているのは否定できません。
それは別にどちらも間違っていないし、これはこれで正しいです。
しかしその後エルフのイメージはさらに変化したのです。
というよりも、エルフというのは時代を経るに従いどんどんとその解釈が変化していくものなのです。

それではエルフの始まりから見ていきましょう。
場所はみんな大好き北欧です。



北欧から生まれたエルフ


そのまえにまず、エルフというのは「妖精」の総称なのである。というような事を聞いた覚えのある方もおいででしょう。
その通りです。
ブラウニーニクスドワーフトロールも、ゴブリンホブゴブリン全てエルフなんです。
ゴブリンやホブゴブリンまで含めてエルフというのは抵抗ある方もいますでしょう。
でもそうなんです。

ではエルフが全部の妖精を代表した呼び名かと言うと違います。

妖精と聞いて真っ先に思い浮かべる呼び名は「フェアリー」じゃないですか?
フェアリーは英語なんです。

ということはエルフは英語ではないんですね。

ちなみに、妖精は地域で分けるなら大きく三種に分けられます。
・北欧(ゲルマン民族系)が「エルフ
・ギリシャ神話系は「ニンフ
・ケルト系は「シー

どれも聞き覚えありますでしょう?
ゲームなどでは全て別個体で登場しますしね。

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エルフは北欧系の妖精を表す総称です。
その語源は古代ノルウェー語のアールヴという言葉で、意味はそのまま「妖精」です。
エルフはノルウェー出身なんですね。知りませんでした。フィヨルド以外にスゴイもの持ってた。

北欧神話によるとアールヴには「リョースアールヴ(白い光の妖精)」と「デックアールヴ(黒き闇の妖精)」という2種類がいるようです。
ただ普通にアールヴと言えばそれはリョースアールヴの方を指すのが一般的だそうです。

これってエルフとダークエルフまんまじゃないですか?

光のアールヴと闇のアールヴ


アールヴは北欧神話で勝者となるアース神族(オーディンとか)に敗れたヴァン神族に次ぐ勢力であるそうです。
太陽より美しいとされる光の妖精リョースアールブは、天にある「アールヴヘイム(エルフの国)」に住んでいます。
性格は善良で高尚、人々の豊作祈願を叶えたりと友好的です。
色白で繊細、見目麗しく、草の上で踊るとまわりの緑はいっそう鮮やかさを増すとまで言われます。
これは「エルフ・ダンス」と言われるのですが、人間がその効果範囲内に入ると病気にかかり、やせ衰えてしまうそうです。

自然を汚すなという戒めでしょうか。

しかしアールヴ・ダンスではなくエルフ・ダンスと呼ばれることから、これは後世に付け加えられた設定かもしれませんね。

闇の妖精であるデックアールヴは逆に地中に住むと言われます。
姿は醜く不格好で、いたずらをしたり病をもたらしたりと邪悪な者もいます。
どちらかというとデックアールヴはドワーフへと変化していきます。

残念、ダークエルフではないんですね。

けれど闇のアールヴが後のドワーフと言うならば、エルフとドワーフは仲が悪いという基本設計もうなづけますね。

アールヴは光も闇も寿命が長く、不死に近いと言われています。



そして妖精の総称へ


このようにまず北欧などでは妖精としてアールヴという存在がいました。
このアールヴがエルフと呼ばれるようになり、妖精全般がエルフと呼ばれるようになりました。
だからブラウニーニクスドワーフトロールも、ゴブリンホブゴブリン全てエルフなんです。

さて皆さんは妖精というとどんな姿をイメージしますか?
人間とほぼ同じ背格好で、長生きでプライドが高い森の民ですか?

おそらく多くの方が「手のひらサイズの小人で背中に羽根が生えた可愛い女の子」を想像しませんか?
まさしくフェアリーですよね。
ゴブリンがエルフって言われてもピンとこないですよね。
ドワーフはドワーフだし、トロールはトロールですよね。

このころから北欧だけでなくイギリスなどのケルト系も含めて妖精=小人みたいなイメージが一般化していきます。
それは大変ないたずら好きな生き物としてです。
何か現象が起こると「妖精の仕業」となる感じです。
日本だと「妖怪」ですよね。

アイスランドの妖精はパンやミルクを盗み出す。
イギリスの妖精は吹き矢を飛ばして小さな傷をつくる。「エルフ・ショット」というらしい。
ドイツの妖精は悪夢を見せたり家畜を病気にしてしまう。

ちなみに全般的にエルフは友好的で愛らしいのですが、ドイツだけは悪鬼や邪悪な一面を押し出してきます。
ドイツは妖精に悪いイメージを持っているんでしょうかね。

トールキン先生の登場


エルフとはあくまで北欧地域の妖精の呼び名にすぎませんでした。
しかしこのエルフという名を固有の種族名にしてしまった人が現れました。
トールキン先生です。
『指輪物語』などの一連の作品に今日我々が思い描くエルフを現出せしめたのです。

トールキン先生はデンマークの英雄譚『ベオウルフ』研究の第一人者です。
そこからオークというモンスターを生み出したことは当ブログでもオークの記事で書いたとおりです。

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北欧の神話や叙事詩に強いのですから、エルフというよりアールヴについても詳しいはずです。
そこでエルフのイメージをこのアールヴに強く寄せたのではないでしょうか?

森の妖精、魔法を使う強靭な戦士。
そしてとがった耳です。

エルフの特徴とも言える尖った耳は、トールキン先生の作中での表現が元となっているそうです。
見た目に人間と差異を設けたかったのか、「葉っぱのような形」という表現から尖った耳が生まれました。

ちなみに『指輪物語』にはダークエルフはいません。
それはエルフの敵はオークだからです。
オークはエルフが苦しい拷問の末に堕ちた姿とされています。
だからオーク語をエルフが解読できるのも当然なんですよね。

そしてこのエルフ像が瞬く間に世界を駆け巡ったのです。



そして様々なエルフがゲームから生まれる


人間と並ぶ勢力を持つエルフという存在は特にゲーマーに広く受け入れられました。
ゲームという性質上でしょうか、人間やドワーフとの違いを演出するため、『指輪物語』のエルフよりも魔法に特化した存在へとなっていきます。
逆に腕力や体力は低めに設定されたり、神を信じる信仰心が低めで魔術師は多いけど司祭はいないなど。
弓に優れ、重たい武器よりレイピアやショートスピアといった軽装を好むなども。

さらにゲームという媒体を通してエルフには様々な亜種が生まれます。

ウッドエルフはより一般的なエルフです。寿命が長く1000年ほど生きます。
ハイエルフは上位種。不死に近く、より高慢です。
ハーフエルフは人間とエルフのハーフ。通常人間からもエルフからも迫害されます。
ダークエルフは闇のエルフ。暗黒に近い存在で邪悪とされています。
・ほかに水中で活動する「海エルフ」やウッドエルフにちなんで「丘エルフ」なんてのもいます。もちろん訳し方次第ですからシーエルフとかヒルエルフとかでもいいはずです。

このようなエルフは最初のファンタジーRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ですでに登場しています。

ハーフエルフについて


人間とエルフの間に生まれた子は「ハーフエルフ」と言われます。
ハーフエルフにはいくつか特徴があります。

・見た目はエルフのように「とがった耳とアーモンド形の目」をしているが、肉体はエルフより強靭。
・男ならエルフには生えない髭が生える
・寿命はエルフほど長くはない。人間よりは長い。しかし寿命を全うできるほど平和な生活は送れない。
・クォーターエルフを見かけないのはハーフエルフに生殖能力がないからという説もある。
・母親がエルフというのが大多数。

いくつかショッキングな項目がありますよね。
妖精の総称としてのエルフであったころは、女のエルフは美しいが、男は老人や小人しかいないという風潮が強かったのです。
妖精は美しい女という固定イメージがありますしね。
またプライドの高い高慢なエルフという設定上、より上から目線でマウントを取りたがる男エルフが人間の女と恋に落ちることはそうありませんでした
実際ハーフエルフを忌み嫌うのは男のエルフであることが多いです。
特に戦場などで活躍することを命題とする男からすると、半端な存在は忌み嫌われるのです。
ただし面倒くさいのがそうは言ってもエルフは光の側であり善良であるという点。
思いやりには欠けるけど、悪人ではないのです。

ただやはりこの「迫害」というイメージはコンプライアンス的に近年ではあまり前面に出てこなくなりましたね。
ハーフの何がいけないというのか。
むしろTRPGをプレイする際には率先してプレイヤーキャラクターに選んでましたよ。

ダークエルフについて


ダークエルフは敵キャラとしてよく見かけますね。

・浅黒い肌に銀髪が多い。
邪悪な存在とされる。
・女性のダークエルフは間違いなく妖艶なキャラ設定。

闇の属性を持つとされるダークエルフですが、こちらも徐々に変化しています。
肌の色を黒くして敵役とするのはコンプライアンス的にどうでしょうか。
近年では肌の色も黒ではなくちょっと変わった色味みたいになってきてます。
黒い肌でなく「褐色」と表現したりね。
夏、って感じがするけども。

日本のエルフは耳が長い


これはもう超有名な話なのでサクッと流しますが。

海外作品のエルフは「尖った耳」をしていますが、日本のエルフは「長い耳」をしています。
まあ近年ではだいぶ差がなくなった印象もありますが、この現象を生み出したのは『ロードス島戦記』です。
ロードス島戦記は日本にファンタジーとTRPGを普及させた功績のある作品です。
小説として有名ですが、最初は「戦うパソコンゲームマガジン」『コンプティーク』という雑誌で『D&D』のリプレイ記事用として生まれた設定でした。
6人のプレイヤーキャラクターのひとり、精霊使いのディードリットは140歳のハイエルフという設定でした。
ちなみにプレイヤーは当時グループSNEに所属していたSF作家の山本弘先生です。
そしてこのディードリットのキャラクターデザインを出渕裕氏が描いたのですが、そこで初めて長い耳のエルフが生まれたのです。
「ロバのような耳」という文章表現から長い耳を描いてしまったようです。
これがまあ違和感なく「そういうものか」と当時の少年たちに刷り込まれ現在に至ります。

エルフの出てくる作品

枚挙に暇がない!

出てこない作品探す方が早いぐらい(言い過ぎ)
『指輪物語』以外でいくつかご紹介します。

『ドラゴンランス戦記』
マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンによる『D&D』世界を扱ったファンタジー小説です。
8人パーティーのリーダーを務める本作の主人公タニスはなんとハーフエルフです。
エルフの里で育った彼は人間やドワーフ、ケンダーの仲間たちと冒険者として過ごしています。
剣と弓の腕前に秀で、冷静沈着な頼もしいリーダーです。
半分エルフであることをコンプレックスと感じているのか、髭もじゃを生やしているのを知った昔なじみのエルフからなじられたりします。
ローラナというエルフの王女に好かれていますが神経質で安全志向のタニスはそれがまた悩みの種だったりもします。
『ロードス島戦記』
やっぱり外せないディードリットはエルフヒロインの元祖と言っていいでしょう。
典型的なエルフで、長命な種族において140歳という設定はまだまだ少女に近いものです。
印象的には人間でいう14歳ぐらい。
ロードス島は最初の本編だけでも15年ぐらい時間が経過しますがそれでも165歳。
しかも彼女はハイエルフなので1000年は生きる予定です。
長い金髪とエルフと言えば若草色のチュニック、というイメージを我々に植え付けた戦犯です。
またOVA先行でピロテースというダークエルフが敵ヒロインとして登場します。
ダークエルフのイメージまで決定づけた偉大な作品です。
『ドラゴンクエストIV 導かれしものたち』
国民的RPGドラクエにもエルフは登場します。
特にこの4作目では勇者の幼馴染としてシンシアというエルフの少女がいます。
第5章冒頭イベントにて衝撃的なモシャスを見せてくれます。
装備できない羽根帽子を捨てれずに最後まで持っていたプレイヤーも多いでしょう。
『ファイナルファンタジー』
意外なことにFFではエルフの印象があまりありません。
1作目、ダークエルフの王アストスにより眠ったままのエルフの王子が登場します。
王子を眠りから目覚めさせると「神秘のカギ」がもらえて「ニトロの火薬」が手に入ります。
『ソードワールドRPGリプレイ第3部バブリーズ編』
ソードワールドTRPGリプレイ第3部のプレイヤーキャラクター、精霊使いのスイフリーはエルフです。
パーティーの司令塔として小賢しい活躍を見せてくれます。
精神点ボーナス+4のダークエルフと比較してエルフをレッサー(下位)だと愚痴ったり、後にルール改定を促す卑怯なインビジブル戦法を編み出したりと大活躍です。
付け耳、肌は白粉の疑惑もあるこのキャラのプレイヤーは『ロードス島戦記』の作者水野良先生でした。
ソードワールドのエルフは赤外線暗視能力を持っています。
男の精霊使いのみバルキリーの魔法が使えます。
『BASTARD 暗黒の破壊神』
少年ジャンプでファンタジーの認知度を上げた作品として功績のあるバスタ。
雷帝アーシェス・ネイはダークエルフのハーフエルフという黎明期にして凝った設定のヒロインです。
とにかく雷関係に特化した魔法戦士で、それまでの華奢なイメージの強かったエルフを変えたキャラでもあります。
さらにこの世界ではエルフは超文明を持つ先史代の存在で、今は巨大な方舟で眠っていたりします。
ちなみにあずMは単行本15巻95ページ4コマ目のエルフが好きでした。
『エルフを狩るモノたち』
このマンガ好きでした。
現代人が異世界で無双する、なろう系に近いコメディであり、深夜アニメを確立させたマンガでもあります。
異世界に召喚された3人の日本人が日本に帰るため、各地に散った呪文の欠片を刻印されたエルフを探して脱がしまくるマンガです。
てことでエルフがいっぱい出てきます。



まとめ

いかがだったでしょうか。

もう絶対情報量多くて書くの大変だと今まで避けてきたのですが、やはりエルフは無視できません。
気合入れてあれこれ書いてみましたが、なにかしらのお役に立てたでしょうか。
必要なことのみを書くようにしたのでまだまだエルフについては足りないかもしれません。

ハーフエルフやダークエルフは個別記事にしてもよかったかもしれませんね。

ファンタジー作品においてのヒロイン枠としては「お姫様」と双璧を成すのがエルフかもしれません。
近年ではエルフも一般的な存在となり、同時に固定観念を払拭し、新しいエルフ像も多く生まれています。

しかもエルフは時代ごとにその性質が変化しています。
最近では現実世界にいるエルフやアイドルを目指すエルフなんてのも普通にいますしね。

まだまだまだまだ変化の途上にあるかもしれないエルフ。
あなたの手でさらに新境地を開拓してみてはいかがですか?

その時は是非教えてくださいね。
それではまた!

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