【東洋の龍】なぜ神龍は願いを叶えてくれるのか【モンスターレビュー第102回】

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2024年は辰年です。
辰(たつ)とは皆さんご存知の通り、龍のことです。

とても縁起の良い神獣です。
中国では皇帝は龍の化身とされ、現代でも開運の御利益に預かろうと人々に奉られています。

さらに国民的大ヒット漫画『ドラゴンボール』では、そのタイトルにもなった「願いを叶えてくれる神龍」ももちろんこの龍ですよね。

十二支にただひとつだけ選ばれた空想上の生物であるこの龍について、今回は調べてみたいと思います。

ファンタジーの知識があれば、より楽しい!

今回も皆さまの創作活動やゲームなど、没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそも龍とはなんぞや?

龍とは古代より中国を中心とした地域にて奉られた神獣であり、西洋のドラゴンとは似て非なるモノです。

ドラゴンという存在は世界最古の文明であるシュメール以前からすでにありました。
しかしヨーロッパ圏でのいわゆるドラゴンというのはなかなかその姿が定まらず、中世ルネサンス期の頃になってようやく現在の我々が夢想するドラゴンに似通ってきます。
しかしながら東洋の龍の姿についてはおよそ1800年ほど前の漢王朝の頃には定まっていたようです。

三停九似」、すなわち「頭部から上腕まで」「胸部から後足まで」「尻尾」と身体の長さは三等分、さらに九種の動物の特徴を併せ持ちます。

  1. 頭は「ラクダ」
  2. 角は「シカ」
  3. 目は「鬼」
  4. 耳は「ウシ」
  5. 胴体は「ヘビ」
  6. 腹は「蜃(しん)
  7. 鱗は「コイ」
  8. 爪は「タカもしくはワシ」
  9. 手のひらは「トラ」

長い髭(ひげ)と鬣(たてがみ)があり、81枚の鱗のうち、喉の下の1枚だけは逆さま。それがまさしく「逆鱗」であり、龍の弱点ではあるが下手に触ろうものなら暴れ狂い人の手には負えなくなります。
上司や目上の人を怒らせる表現によく使われますよね。

龍は鱗を持つ366種の生物の長とされ、蛇、トカゲ、魚類、カニ、亀、貝類などを従えます。
水を司る水神で、神通力で空を飛び、嵐や竜巻をも巻き起こす。
水害を与える荒神である半面、水という恵みを与えてもくれる、人間などちっぽけな存在をいちいち考慮しない善悪を超越した存在です。
ただし中には水害をちらつかせることで乙女を生贄に捧げよと要求する俗っぽい事例も見られます。
また変身能力も有しており、大きくなったり小さくなったりとサイズを変えること、または蛇や人間に化けることなども出来ます。

しかし龍は西洋のドラゴンとは違い、邪悪な存在などでは決してなく、神に近い存在として崇拝されました。
中国では龍が現れる度に新しい皇帝が生まれる前兆とされ、そのため皇帝の玉座のことを「龍座」、皇帝の顔を「龍顔」、そもそも皇帝自身を「龍の子」と呼び、なにからなにまで龍を冠するようにしています。

『ドラゴンボール』の神龍はなぜ願いを叶えてくれるのか?

星の入った七つの球を集めると、龍が出てきてどんな願いも叶えてくれる。

言わずと知れた大人気マンガ『ドラゴンボール』の神龍(シェンロン)です。
この「七つの球」と「神龍」と「願いを叶える」という設定はなぜ生まれたのでしょうか?
これはおそらく龍の持つ「如意珠(にょいじゅ)」または「如意宝珠(にょいほうじゅ)」と呼ばれる玉にあるのでしょう。

神々しい龍の姿を思い浮かべたとき、その手に丸い玉を持っているイメージを浮かべることはありませんか?
それが龍の持つ「如意珠」というモノで、実は願いを叶えてくれる不思議な力を有しているのです。
この玉は海、雨、霧、稲妻、火、光などの自然現象、それと成長と再生という現象を支配しているそうです。
それらの概念をこねくり回してあらゆる願いを叶えてくれるのでしょう。

『ドラゴンボール』は星の入った七つの球というアレンジはしていますが、発想の出発点はこういった龍の基本設定から来ているんですね。
ちなみに『ドラゴンボール』の直接の元ネタとなった『西遊記』の孫悟空は龍から伸縮自在の武器「如意棒」を奪い取ったとされます。

『西遊記』だから、中国だから、龍について調べる。実に理屈にあったアイデアだと思います。

ところで皆さんだったら神龍にどんな願いを叶えてもらいたいですか?
劇中では誰かを生き返らせるとか、若さとか不死身とかそういうものが多かったですが。

私もさんざん悩みましたが今は答えが出ています。
それは「強靭なメンタルが欲しい」ですね。
これさえあればどうとでもなる。そんな気がしませんか?

龍についてあれこれ

そもそも龍とはどのように生まれるのか。

伝承によれば龍は子を産みますが生まれてくるのは龍ではないそうです。
「龍生九子」と呼ばれ、9種類(と言っても内容は定まっていない)の龍に似た子供を産むとされます。

では龍はどのように生まれるのか。
別の生き物から変化して龍になるのだそうです。
簡単に書くと、

  • 水蛇が500年生きると蛟龍(ミズチ)になる。
  • 蛟龍が1000年生きると龍になる。

ここで龍になりますが続きがあります。

  • 龍が500年生きると角の生えた角竜という上位種になります。
  • 角竜が1000年生きると翼の生えた応龍になります。
  • 応龍が頑張って生き続けるといつか龍の最高位である黄龍になれます。

出世魚みたいですね。
カバがベヒーモスだったり、ジュゴンが人魚だったり、二股に分かれた根菜がマンドレイクだったり、台風がテュポーンだったりするのがファンタジーの正体です。
蛇が龍だなんて普通すぎるぐらいでしょう。

出世魚と言えば「鯉の滝登り」。
黄河の竜門を多くの鯉が登ろうと試みたが、登れたのはわずか。
そのわずかな鯉が龍になったということから「登竜門」という言葉が今もメジャーデビューの関門として表現されますね。

他にも龍と言えば「河」の現身というのがメジャーですね。
川の水の色は龍の体色と言われるほどですが、これは要するに黒い色の川や緑色の川をそのまま龍の体に見立てているのでしょう。
他にも天に伸びる竜巻を龍と見た人もいますし、この辺りはヤマタノオロチにも通じるところですね。

というわけで「龍が住む祠」があればそこには必ず池や泉、河といった水辺がセットで配置されるものです。
創作する際にはその辺をちゃんと設定するかしないかで作者の知識、技量が計られたりもしますよ。

まとめ

いかがだったでしょうか。

じつのところ干支である十二支になぜひとつだけ空想上の生物である辰(龍)が入っているのかは不明です。

古代中国の人々にとっては龍は空想上の生物ではなく現実にいたのかもしれませんが、少なくともそう信じられていたのでしょうね。

龍は今日でも大変人気のある神獣です。
時々でも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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