【大淫婦バビロン(マザーハーロット)】黙示録最後の悪魔【ヴィランレビュー第6回】

聖書の最後に出てくる悪魔をご存知でしょうか? いわゆる物語上のラスボスです。

『旧約聖書』『新約聖書』と2冊で構成されるキリスト教。
その最後に書かれているのが「ヨハネの黙示録」、滅びの預言です。

西暦80から90年ごろ、12使徒のひとり、ヨハネが神により見せられた人類の未来。
それは凄惨なる人類死滅の光景でした。

そんな預言書のラストに登場する悪魔が今回ご紹介する大淫婦バビロンなのです。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
創作の参考に、物語の没入感の一助に、今回も是非、最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもバビロンとはなんぞや?

バビロンとは古代メソポタミアに存在した古都の名称でした。
そこではかつてユダヤ民が捕虜として過酷な労働を強いられていたと言います。
華やかなりしバビロンですが、ユダヤ民からすればその名は忌むべきものであったと言えましょう。

そのバビロンでは愛と美の女神イシュタルが信奉されていました。
イシュタルの神殿では訪れた巡礼者に対し、巫女による「奉仕」が行われていました。
それはとても神聖なものとされていました。
神聖であるが故、かの地に生まれた女子は生涯に一度、神殿にて見知らぬ男性に奉仕することが義務付けられていたと言います。
繰り返しますが、それはとても神聖な行為であるとされていたのです。

そういうわけで、このような事情から後世、禁欲的なキリスト教からバビロンは「背徳の都」として蔑まれることにもなりました。
ですがもちろん、時代が変われば常識や倫理観は変わります。

ではでは大淫婦バビロンとはなんぞや?

さて、以上のような前知識があるとして、大淫婦バビロン。

彼女は『新約聖書』のラスト、「ヨハネの黙示録」第17章にて登場します。

七つの鉢を持つ七人の御使いの一人が来て、私に話しかけて言った。
「来なさい。多くの水の上に座っている大淫婦に対する裁きを見せよう。地上の王たちはこの女と姦淫を行い、地上に住む者たちはこの女の淫行のぶどう酒に酔っている」
御使いは、御霊に感じた私を荒野に連れて行った。私は一人の女が緋色の獣に乗っているのを見た。その獣は神を冒涜する名で覆われ、七つの頭と十本の角を持っていた。この女は紫と緋の衣を着、金と宝石と真珠で身を飾り、忌まわしいものや穢れで満ちている金の杯を手に持っていた。その額には意味が秘められた名が書かれていた。すなわち「大いなるバビロン、淫婦どもと地上の憎むべき者たちの母」である。

バビロンは人間の女性の姿をしており、地上の王たちをたぶらかす程のたいへん蠱惑的な悪魔であったようです。
緋と紫の衣、黄金や宝石、真珠の装身具、手には自らの淫らな行為で集めたキリスト教徒の血が満ちた金の杯を持っています。
そして額には金の板に「淫婦と憎むべき者たちの母」と書かれています。

水の上にて黙示録の獣の背に乗っています。

七つの首と十本の角を持ち、その体は赤い鱗と「神を冒涜する名前」で覆われています。
この獣は魔王サタンにより力を与えられたとされ、姿は赤い竜とされたりもします。
そしてこの獣を崇拝する者には獣の数字「666」が刻印されます。

七つの頭は、女が座っている七つの丘で、七人の王である。五人はすでに倒れ、一人は今、王位にあり、もう一人はまだ現れていない。現れてもしばらくの間である。かつてはいたが今はいない獣について言えば、彼は八番目であるが、七人のうちに数えられ、やがて滅んで行く。あなたが見た十本の角は十人の王たちで、彼らはまだ王位を受けていないが、ひとときの間、獣と共に王として権威を受ける。彼らは一つの計画を進め、自分たちの力と権威をその獣に与える。

<中略>

あなたが見た水、あの淫婦が座っているところは、さまざまの民族、群衆、国民、国語である。あなたが見た十本の角と獣、その者たちは淫婦を憎み、その女を荒らして裸にし、その肉を食べ、火で焼き尽くす。

<中略>

あなたが見た女は、地上の王たちを支配している大いなる都の事である。

バビロンは預言者ヨハネの見ている前で神により裁かれるのです。
その身を引き裂かれ、業火で焼かれてしまうのです。
彼女に魅了されていた王たちは嘆き、彼女と取引をしていた商人たちも嘆きます。
そして彼らがこの場を立ち去ると、そこは悪魔や獣の巣窟となります。
しかしキリストによる直接統治により、至福の千年王国(ミレニアム)が生まれるのです。

ローマ帝国の擬人化

バビロンという名はキリスト教にとっても、ユダヤ民にとっても忌むべき名でありました。
そして大淫婦バビロンは神の裁きを受けた「大いなる都」のことである、と黙示録には明示されています。
となると、これはバビロンという都を擬人化した悪魔と思いそうですが、解釈としてはどうやらローマ帝国のこととする説が有力のようです。

ご存知のようにローマ帝国は当初キリスト教を迫害していました。
それが一転、これ以上民衆を抑えることができなくなり、ついに公認されたのは西暦313年、さらに国教に定められたのは西暦392年の事です。
『新約聖書』が現在の形に成立したのも四世紀ごろ。
まさに時代が変わろうとしていた時期でした。

七人の王とは七人のローマ皇帝を指します。
すでに倒れた五人」とは初代から五代までのアウグストゥス、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロです。
今王位にある」のはウェスパシアヌス。
まだ現れていないが、現れてもしばらくの間」なのは二年の治世で病死したティトゥス。
八番目であるが、七人のうちに数えられる」のは、ティトゥスの後に皇位に就き、ネロの再来と言われたドミティアヌス。

とまあこんな具合です。

ローマ皇帝の名前って、なかなかに憶えづらいですよね。

それだけに暴君ネロだけは覚えやすいという。

そもそも迫害を受けていた当時のキリスト教徒たちは、表立ってローマ帝国を批判することなど出来るはずがありません。
そこで符号のようにやがて来る神の裁きと帝国の滅亡を記したのが黙示録です。

なぜか20世紀末、ノストラダムスの大予言と合わせてこのヨハネの黙示録が日本の、それも創作界隈で流行りましたが、なにも20世紀の我々のために書かれたモノではありません。でもまあ、世紀末思想なんてのは毎回流行るものなのでしょうがね。実際面白かったですし。

余談ですが、何故バビロンは淫婦、女の悪魔として描かれたのでしょうか。

それは封印が解かれ、神による人類粛清が行われる際、額に印を受けた14万4千人が生き残ることになります。
内訳はイスラエルの子ら12氏族からそれぞれ1万2千人。
全て女性と交わったことのない、すなわち穢れていないとされる子らです。

この世界観では女性=穢れた存在という事になるようなのです。

またバビロンの額にある金の板には「淫婦と憎むべき者たちの母」と銘打たれていました。
これもローマ時代の娼婦が額に自分の名を記した金の板を付けていたことに由来します。
つまりはそういう世界観なのです。

まとめ

  • 大淫婦バビロンは『新約聖書』ヨハネ黙示録に登場する。
  • 七つの頭と十本の角を持つ獣に乗っている。
  • 神の裁きを受け、肉体を引き裂かれ、火で焼き尽くされる。
  • キリスト教を迫害したローマ帝国の事を背徳の都と蔑んだバビロンの名で書いていると思われる。

大淫婦バビロンは『真・女神転生III ノクターンマニアクス』に登場します。

無印版に追加要素が足されたマニアクス版では、ルシファーの余興として主人公は「ヨハネの黙示録」に登場する御使いたちと戦うことになるのです。
その中にバビロンは魔人マザーハーロット(淫らな女の母)の名で登場します。

他にも登場するゲームなどあるようですが、大体がバビロンではなくこのマザーハーロット名義が多いようですね。
なかなか取り上げるのもデリケートな悪魔なのかもしれません。

それではまた!

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この記事を書いた人

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