ナイトメア(night mare)という英単語は「悪夢」という意味である。
寝ているときに見たくもない、恐ろしげな夢のことを悪夢と言います。
おそらくみなさんもそのような認識をお持ちでしょう。
ですが、ゲーマーにとつて、とりわけ古参のベテランゲーマーにとっては、ナイトメアというのは悪夢というよりも、馬のモンスターの印象をお持ちかもしれませんね。
なんとなくですが、近年のファンタジー創作界隈では見かけなくなった、馬型モンスターナイトメア。
なぜ悪夢が馬なのか?
その辺をまとめてみたいと思います。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもナイトメアとはなんぞや?
ナイトメアとは、馬の姿をしたモンスターのことです。
「夢魔」または「夢馬」と表記されます。
夢魔というと、インキュバスやサキュバスといった、いわゆる婬魔の類いを連想しますが、ナイトメアは彼らのように私たち人間に快楽を与えたりはしてくれません。
ナイトメアはただひたすらに悪夢を見せてくるのです。
ナイトメアも元は悪魔の姿をしていました。
古英語で「悪魔」を(mara)と言います。
そして「馬」は(mare)でした。
この似た字並びから混同され、悪夢を意味したナイトメアがそのまま、「夜の馬」となってしまったと思われます。
モンスターのこういった誕生の経緯は他にもいくつも見られます。
例えばバジリスクとコカトリス。
同じ石化能力を得意とするモンスターですが、トカゲ型のバジリスクはともかく、ニワトリと蛇が合わさったようなコカトリスは数多あるモンスターの中でも特異なデザインでしょう。
そもそもコカトリスとは、中世になってリビアに生息するバジリスクが、イギリスで紹介されたのがきっかけで誕生したのです。
その際、バジリコックという名で紹介され、雄鶏が産んだ卵から生まれるという荒唐無稽さが理解されず、名前のコックからニワトリ型モンスターという誤解が広まったというものでした。
<関連記事>
□【バジリスク】そして蛇から鶏へ【モンスターレビュー第50回】
□【コカトリス】誤解から生まれた鶏の怪物【モンスターレビュー第51回】
ということで、晴れて馬型モンスターとして誕生したナイトメアとは、夜を表す黒い身体に長いたてがみを持ち、人語を解する知能の高さもあり、悪夢を見せるために「眠りの魔法」も使う、恐ろしいモンスターとしてデザインされたのです。
ちなみにナイトメアはほぼほぼ牝馬だそうです。
登場作品例
『ファイナルファンタジー』(FC/1987年/スクウェア) ※画像はゲームボーイアドバンス版 | |
『ファイナルファンタジーIII』(FC/1990年/スクウェア) |
まとめ
- ナイトメアはその名の通り、悪夢を見せるモンスター
- 黒馬で牝馬
- 知能も高く魔法も使う
- 言い間違いで悪魔から馬になった
古めのゲームなどではよく見かけたモンスターですが、近年はあまり見かけませんね。
「悪夢」というテーマを扱う場合、それこそインキュバスやサキュバスを用いた方が盛り上がるからかもしれません。
ただ、こういうシャレや言葉の行き違いから生まれたモンスターというのもたくさんいます。
たとえばバジリスクとコカトリスなんかもそうですね。
逆に子供の頃はナイトメアって馬のモンスターのことじゃないの? と思ってたぐらいです。
てことで、それではまた!