【アドラメレク】太陽神から地獄の衣装係へ【モンスターレビュー第56回】

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はい、今回マイナーモンスターですごめんなさい。
地獄のコスプレ管理係にして上級議会議長アドラメレクです。

アドラメレクはご存知ですか?

正直レトロなファンタジー作品にはほとんど登場したことがないマイナーモンスターだと思います。
近年になってちょいちょい見かけるようになったこのアドラメレク、気になったので調べてみました。
早速行ってみましょう!

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもアドラメレクとはなんぞや?


アドラメレクとは、神に反逆した堕天使たちの一人で、悪魔の事です。

アドラメレク、アドランメレク、アデラメルク、アンドラメルクなどなど。
呼び方はどれも誤差の範囲ですね。
近世の悪魔学では「殺人の神」という不穏な称号も持ち合わせます。

さてアドラメレクの地獄における役割ですが、「地獄の大司法役人」「悪魔上級議会の議長」という堅そうなのから「悪魔王の衣装部係」と微笑ましい様々な役職を兼任しています。

これは多くの悪魔学研究者による見解がバラバラであるために起こった事なのですが、我々創作者はそんなメタ的な理由は心から排除します。

アドラメレクは多種多彩な才能の持ち主なのでしょう。
普段はお堅い仕事をしながらも、実はファッションにも精通している。
なんて遊び心がある悪魔なのだろう。

姿は人の身体にラバの頭、孔雀の羽根を持っています。
背中に孔雀の羽根を広げた姿はなんだか艶かしそうですね。さすが衣装係。
異説としてワシの翼と獅子の身体というものもあります。
まあせっかくだから特徴的な孔雀の羽根は残しておいた方が創作的には映えますよね。

さて、アドラメレクは神に反逆した堕天使軍団のひとりでした。
5世紀ごろの神学者、偽ディオニシウスが定めた天使位階「ヒエラルキア」の分類に当てはめれば、天使の頃の階級は座天使(ソロネ)
熾天使(セラフ)、智天使(ケルプ)に次ぐ九つの天使階級第三位の上位天使でした。
しかし自身が神よりも劣っているわけがないと驕り、ダイヤモンドの鎧を装備してルシファー率いる反逆軍団に参加したのです。

しかし四大天使のひとり、「地のウリエル」との一騎討ちに敗れ、血みどろになりながら「自分は弱かったのか」と思い知らされたのでした。

対戦カード、ウリエルとの因縁


何故アドラメレクはウリエルとの一騎打ちに応じたのでしょうか。

ミルトンの『失楽園』によれば、アドラメレクは元々はキリスト教から見れば異教の神でした
それも子供を生け贄に求める残酷な太陽神として崇拝されていたのです。
対するウリエルはその名「神の炎」の示す通り、太陽を司る天使とされていました。

ウリエルが地属性を得るのは中世の時代になってからです。
太陽の支配者であるウリエルは、地震や火山などの天変地異を司る天使ともされてきました。
そのため中世の神学者たちによって「大地の属性」も付与されたのです。

共に太陽を表す者同士。
激突は必定と言えましょう。
ミルトン的にも盛り上がると判断したのだと思います。

キリスト教における悪魔はほぼほぼ異教において崇拝されていた神々を貶めたものです。
アドラメレクも例外ではありません。

旧約聖書』の一篇、列王記によると、アドラメレクはメソポタミア文明の系譜、アッシリアの都市国家セファルワイムにて、アナンメレクという月の神と共に信仰されていた太陽神でした。

しかしこのアドラメレク、なんと子供を生け贄に求める神であり、祭儀では太陽にちなみ子供を焼き殺していたそうです。(嘘だと信じたいですけどね)

このような残酷な仕打ちを忌避した「ユダヤの民」は、彼らを弾圧し、アドラメレクは悪魔の烙印を押されたのです。

ところでウリエルとの確執がもうひとつあります。
ユダヤの伝承である『ヨセフの祈り』において、ウリエルが天使から人間になったと解釈できるセリフがあります。

「わたしは人間たちの中で暮らすため地上へと降りる。そこではヤコブと呼ばれる」

ヤコブとは後にイスラエルの名を得てユダヤ人の祖となる人物です。
アドラメレクはユダヤ人により弾圧され悪魔に堕とされました。

なんか因果を感じますね。

とはいえこれだとウリエルがアドラメレクと戦うときには天使じゃないとか時系列がおかしくなるし、ヤコブは天使と格闘したという有名エピソードがあるのですが、その相手の天使がウリエルだというのが有力らしいので、これではやっぱり繋がらない。
ウリエルをどうしても人間になった最初の天使にしたいなら、ヤコブという名はありふれたもので他にいくらでもいる、太郎やスミスみたいな解釈をとるのもありですね。
とはいえ神に反逆したから悪魔に堕ちたという設定だとしても、メタ的には異教の神だから悪魔に堕としたので、そのため作られたエピソードであるだろうから……

まあこういったこじつけは創作者の腕次第ですよね。

もう一人有名なヤコブさんがいました。
イエス・キリストの十二使徒のひとりにヤコブという名の使徒がおります。
このお方の弟さんが同じく十二使徒のひとり、黙示録で有名なヨハネです。
こっちのヤコブだとまた創作に活かせそうなあれやこれやが……

まとめ

いかがだったでしょうか。

太陽神、孔雀の羽根、衣装係、ダイヤモンドの鎧。
ネタになりそうな要素は色々ありますよね。
あまり手垢のついていない悪魔とも思いますので、ぜひ皆様の創作にご活用いただけたらと思います。

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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