【魔王パズズ】猛暑を生む熱波を操る最強の病魔【モンスターレビュー第76回】

魔王パズズという名をご存知であろうか。

聞き覚えのある方なら、多くの創作物でかなりの高レベルな扱いを受けているという印象を持たれるのではなかろうか。
それもそのはず。
なにせ彼の魔王は人間には如何ともしがたい存在。
不可避の災厄をもたらす魔王なのであるから。

今回は強大な魔王パズズについてご紹介させてください。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい。
是非、最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもパズズとはなんぞや?

パズズとは、メソポタミアはバビロニア神話に登場する病魔の王の事です。

メソポタミア地域の最初期の文明シュメール以降、アッカド、アッシリア、バビロニア、と長きに渡りその名が刻まれています。

4枚の鳥の翼、鷲の爪、頭と腕は獅子、額に大きな角。
サソリの尾に、なんとペニスの先が蛇の頭という化物です。

ラマシュトゥという妻がおり、やはり彼女も病魔です。
ラマシュトゥは人間の身体に獅子の頭とロバの歯という奇怪な出で立ちをしています。

二人とも「病魔」と恐れられていますが、司る病は違います。

まずはパズズ。
メソポタミア地域、今でいう中東にあたりますが、この地は南東はペルシア湾から吹きすさぶ熱風により、過酷な猛暑がもたらされます。
その熱風はこの地に住む人々に死に至る熱病をもたらすと信じられてきました。
パズズが司るのはその「熱風」です。
猛暑がどれだけ過酷であり、死に直結する怖ろしさを秘めているのかについては、現代を生きる日本の若者にも理解できることと思います。

パズズの操る熱風にあたると、人は頭痛や吐き気に苛まれるそうです。
これってまんま熱中症ですよね。
この目に見えない脅威は魔王パズズのなせる業。
こうして暴風と熱病の神パズズが爆誕したのです。

さらに大量のイナゴによる蝗害(こうがい)もパズズの仕業とされます。
イナゴの羽音はパズズの羽音とまで言われるほどです。

ちなみに妻のラマシュトゥは出産に関わる病を司ります。
夫婦そろって恐ろしい病魔なのです。

『ドラゴンクエスト』のバズズ

ゲームで真っ先に思い当たるのがエニックス(現スクウェア・エニックス)が1987年にファミリーコンピュータ用として発売したRPG『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』でしょうか。
パズズ、ドラクエシリーズでは誤表記なのか意図があるのか、バズズ(ばずず)とされますが、サブタイトルにある悪霊の神々のひとりとして登場します。
なんと言ってもプレイヤーに衝撃を与えたのが、このバズズが奥の手に使ってくるのが自己犠牲呪文メガンテでした。
この呪文が唱えられるとプレイヤーには不可避の全滅がプレゼントされます。
ラストダンジョンの奥深く(実際は城の上階ですが)まで来て浴びるこの洗礼には、毎度のことながらヒヤヒヤさせられます。
毎ターン、とにかく唱えないで、と祈る以外にないのですから。

しかし神話にあるパズズの恐ろしさを当時のゲーム的に上手く落とし込んでいるなとも思えますね。

守護神としてのパズズ

過酷な熱波をもたらす魔王パズズに対し、人々が出来るのは祈祷や儀式を用い、その災厄を鎮めることだけでした。

しかしご承知の通り、祈祷で猛暑はなくなったりはしません。
結局人類は未だ、熱波や熱病を攻略するには至っていないのです。
エアコン点けとくしかないよね。

ただし、パズズのその強大な力は他の弱い災厄を防ぐお守りとして作用するとも言われます。
そのため供物を捧げ、人々はパズズに祈りました。

世界最古の文明として記録の残るメソポタミアにおいて、パズズの名は紀元前1000年ごろにはすでに記されています。
その姿はパリのルーブル美術館に青銅像が展示されてもいます。
同じころ、アッシリアで作られたものだそうです。
その像の翼には「ハンビの息子パズズ」と書かれています。
ハンビとは、バビロニア神話に登場する神の名です。

もしかしたら、パズズは熱風をもたらす魔王ではなく、人々を熱風から守る守護神であった可能性もあります。
だからこそ、人々はパズズに祈りを捧げていたという逸話もまた、残されているのではないでしょうか。

まとめ

  • パズズはメソポタミア地方の熱風を司る
  • 熱病による不可避の死を操る病魔
  • イナゴの大量発生もパズズの仕業
  • 妻も出産に関わる病魔
  • 強すぎるため、他の災厄を防ぐ守護神としても崇められた

いかがだったでしょうか。

高レベルな魔王のイメージは持っていた方も多いと思います。
しかしパズズはソロモンの悪魔にも、キリスト教の悪魔にも登場しません。
それよりも古い、メソポタミア地方の神話に語り継がれていました。
それもキリスト教の悪魔のように人間の精神的堕落を司る悪魔ではありません。

猛暑。

もう日本にいても聞きたくない天気予報のひとつだと思いますが、その元となる砂漠の熱風を司るのです。
字面はカッコよくも見えますが、姿は恐ろしい化物として伝わる以上、太古から本当に恐れられていたのでしょうね。

地球温暖化をパズズは今もあざ笑っているのかもしれません。
人類がパズズに打ち勝てるときは来るのでしょうか。

それではまた!

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この記事を書いた人

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