【戦乙女ヴァルキリー(ワルキューレ)】何もかもが最高の乙女【ヒロインレビュー第23回】

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ヴァルキリーとヴァルキュリアとワルキューレの違いはわかりますか?

ファンタジー界隈にて、エルフと人気を二分するヒロインと言えば、そう、ヴァルキリーですね。
彼女らを嫌いな人はいません(キッパリ)

そんな圧倒的ヒロイン、ヴァルキリーについて今回は調べてみました。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもヴァルキリー(ワルキューレ)とはなんぞや?

ヴァルキリーとは、北欧神話における、死んだ英雄を天界へと導く半神半人の女神です。

ヴァルキリーの由来は古ノルド語(古北欧語)で「戦場の死体=vair」「運ぶ=kjosa」から「戦死者を運ぶ者」という意味になります。

古代ゲルマン人は「ヴァルキュリア」と呼び、英語では「ヴァルキリー」、ドイツ語では「ヴァルキューレ
ここから転じて日本では「ワルキューレ」と呼ばれます。

『ワルキューレの冒険』

日本でのヴァルキリー黎明期はナムコから1986年に発売された『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』があります。

呼び名からキャラクターデザインに至るまで、羽根飾りのついた兜や白く長い衣装など、今日の創作界隈に与えた印象はデカすぎます。

さすが殿堂入りヒロインの風格すら漂いますね。

ちなみに舞台は北欧ではなく、マーベルランドという架空世界です。

このワルキューレをシリーズとしてもっと量産せず、『サンドラの大冒険』を出すという悪手は、人類にただならぬ損失を与えたと言って過言ではないでしょう。

ヴァルキリーの役割

ヴァルキリーは死んだ英雄を「エインヘリャル」として迎え、天界「アースガルズ」にある死せる戦士の館「ヴァルハラ」へと連れていきます。
英雄たちはそこでヴァルキリーたちから酒や料理を振る舞われ、侍女のように歓待を受けます。
彼らに奉仕するのもヴァルキリーたちの役目です。
そうして巨人たちとの最終戦争「神々の黄昏(ラグナロク)」に備えるのです。

戦装束に身を固め、先端に炎の環ができた槍、空飛ぶ馬に乗り戦場を駆ける。
そして戦死した勇敢な者の魂を集める。
時にはヴァルキリー自身が有能な戦士を殺してでも天界へと連れていきます。
それは一見すると、まるで死神や魔女、はては屍食鬼(グール)のイメージとも重なり、初期の彼女らは人々から怖れられる存在でした。

しかし戦士たちはオーディンの元で戦う栄誉と、ヴァルハラでヴァルキリーから侍女としての歓待を受けれる歓びを知り、次第に好意を抱かれる存在へと昇華していったのです。

ちなみに北欧では戦場で勇敢に戦って死んだ者はヴァルハラへと呼ばれ、オーディンと共に栄誉ある戦いに参加できますが、他の死に方をした場合はどうでしょう?

例えば溺死した場合は海の神ラーンの元へ行きます。
病死や衰弱死なら冥府の女神ヘルの元へ行きます。
いずれにしてもヴァルハラほどのテンションにはならないようです。

さて、ヴァルキリーとは、北欧神話の最高神オーディンの娘たちを指します
オーディンの命を受けて活動する娘たちなんですね。

ちなみに北欧神話では、運命に干渉する女性的神霊格をまとめて「ディース」と言います

現在我々がより親しむヴァルキリー像は、後世、19世紀ドイツ、ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナーによる歌劇『ニーベルンゲンの指輪』で描かれたヴァルキリー(ワルキューレ)が決定付けたと見てよいでしょう。

そのヴァルキリーとはブリュンヒルデ。
彼女はオーディンの命を無視して、死すべき定めだった王に勝利をもたらしました。
そのためオーディンの不興を買い、地上界で幽閉されてしまいます。
そのブリュンヒルデを救ったのが人間の英雄シグルズです。ドイツ語ではジークフリートと呼びます。

二人は恋仲に落ちるのですが、しかし……

といったお話です。

名の知れたヴァルキリーたち

さてヴァルキリーはでは一体、どれぐらいの人数いるのか?

本来は9人いる、とされます。
ただ9~13世紀に書かれた、北欧神話の資料『エッダ』には、もっと多くのヴァルキリーたちが書かれています。
そして上に挙げた『ニーベルンゲンの指輪』にも9人のヴァルキリーが登場しますが、『エッダ』とは別の名が登場します。

ここでは主に北欧神話の元となる重要資料『エッダ』及び19世紀のドイツ歌劇『ニーベルンゲンの指輪』に登場するヴァルキリーをご紹介します。

『エッダ』に登場するヴァルキリー

フレイヤ

ヴァルキリーのリーダー的ポジション。
言わずと知れた、北欧神話における「愛と美と戦の女神」。
エニックス(当時)から1999年に発売されたプレイステーション用ゲーム『ヴァルキリープロファイル』でも序盤から存在感を発揮していましたね。
スクルド

過去、現在、未來。運命の三女神ノルン。
そのなかで未來を司るスクルドもヴァルキリーとしての役目を負います。
運命論を重んじる北欧では、ノルンは最高神オーディンすら上回る力を持つと言われます。
とはいえヴァルキリーとしてのスクルドのやることは通常のヴァルキリーと同様、戦死者の案内と歓待です。
ブリュンヒルデ

上記『ニーベルンゲンの指輪』の主人公ですが、『エッダ』にも記載があります。
現在私たちが思い描くヴァルキリー像そのものです。

この3人は特殊です。
個別に様々な媒体に登場するほどのメジャーな存在です。

スヴァーヴァ

スウェーデンの英雄ヘルギのパートナー。
彼と共に戦い、夫婦となった。
結婚後は戦場には出ず、侍女としての役割に徹した。
シグルーン

スヴァーヴァの生まれ変わりで、ある国の姫。
同じく生まれ変わったヘルギと恋仲になるが、すでに彼女には決められたフィアンセがいた。
そこでヘルギは相手の男を殺し彼女を寝取ってしまう。
彼女がヴァルキリーとしてヘルギを勝たせたのだが、遺族に恨まれ結局ヘルギも殺されてしまう。
カラ

シグルーンの生まれ変わりで、白鳥の羽、または白鳥の姿で戦場を飛び、魔法の歌で敵を麻痺させる力を持つ。
生まれ変わった英雄ヘルギの恋人であるが、誤ってそのヘルギに足を折られ死んでしまう。

以上、上記三人はいずれも同様に生まれ変わった英雄ヘルギと結ばれますが悲劇に終わります。

シグルドリーヴァ

鎧姿である山頂にて眠っていたところを英雄シグルズに脱がされて目覚める。
そしてシグルズに神々の知識や聖なるルーン文字を教えた。
ヒルデ

「戦い」という意味の名を持つ。
家族間の確執により恋人との仲を引き裂かれた。
悲劇的な物語の主人公として描かれた。
フリョド

オーディンお気に入りのヴァルキリー。
オーディンの血を引くヴォルスングと結婚し双子を生む。
その子孫に英雄シグルズがいる。

以上が『エッダ』にて活躍の描かれたヴァルキリー。
以下、同じく『エッダ』に名前の記載された者たち。

  • アルヴィト 「全知」の意
  • エルルーン 「ビールのルーンに通じたもの」の意
  • グン 「戦い」の意
  • ゲイレルル 「槍を持って進む者」の意
  • ゲル 「騒がしき者」「恐ろしきうなり声」の意
  • ゲンドゥル 「魔力を持つ者」の意
  • ゴンドゥル 「杖を振る者」の意
  • スヴァンヴィード 「白鳥のように白い」の意
  • スケグル 「振るわす者」「高くそびえる者」の意
  • スケッギョルド 「斧の時代」の意
  • スルーズ 「強きもの」の意
  • フラズグズ 「王冠で飾られた女戦士」の意
  • フリスト 「轟かせるもの」
  • フレック 「武器をガチャつかせるもの」の意
  • ヘルヴォル 「軍勢の守り手」の意
  • ヘルフィヨトゥル 「軍勢の戒め」「魔法の紐で麻痺させるもの」の意
  • ミスト 「霧」「麻痺」の意
  • ランドグリーズ 「計画をこわすもの」の意
  • レギンレイヴ 「神々に残されたもの」の意

いくつか耳馴染みのあるお名前も散見されますね。

終末のワルキューレ』にて、末妹のゲルがなぜ終始やかましいのかは名前の意味がそうなのだからですね。

そして『ニーベルンゲンの指輪』に記載のあるヴァルキリーは9人。
ひとりは既出のブリュンヒルデです。

『ニーベルンゲンの指輪』に登場するワルキューレ

  • ゲルヒルデ
  • オルトリンデ
  • ヴァルトラウテ
  • シュヴェルトライテ
  • ヘルムヴィーゲ
  • ジークルーネ
  • グリムゲルデ
  • ロスヴァイセ

ドイツ語になるだけでもう全部カッコいい。

カッコいい名前にしたいときはドイツ語です。
これはファンタジー創作の鉄板ですので覚えておきましょう。

だいたい「ヴ」がつけばカッコよくなります。
ヴァルキリーしかり。

まとめ

エドワード・ロバート・ヒューズ 「ヴァルキリーの不寝番」
  • ヴァルキリーは英語、ワルキューレはドイツ語のヴァルキューレの翻訳
  • 勇者を天界のヴァルハラに連れていき、最終戦争ラグナロクまで侍女としてもてなす
  • ヴァルキリーという種族がいるのではなく、役割
  • 現在のイメージはブリュンヒルデから来ている

いかがだったでしょうか。

ヴァルキリー、ヴァルキュリア、ワルキューレ。
戦乙女とあだ名される彼女らですが、人気を決定付けたのは恐らく『ワルキューレの冒険』と『ヴァルキリープロファイル』の2作でしょう。

ワルキューレは私たちに戦乙女への潜在的な羨望を呼び起こし、レナス・ヴァルキュリアはその設定から物語性までをも浸透させたのです。

この二人の偉大なヒロインに感謝を捧げつつ、この記事を終わりたいと思います。

『ヴァルキリーエリュシオン』©スクウェア・エニックス

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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