人類が大海原を旅するようになるのは15世紀ごろ。
いわゆる大航海時代。
それは現在からみればたかだか500年前でしかなく、神話として残るほどの大昔ではない。
それゆえか、神話にはあまり登場しないのが海、魚系のモンスター。
もちろんゼロではないし、沿岸を渡る船は太古よりあったので、そういった船を襲うモンスターの話もある。
今回はそんな中での数少ない一例。
ファンタジーの知識があれば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど、没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもレモラとはなんぞや?
レモラとは、古代ギリシャ、ローマ沿岸にいた、頭部に軟骨でできた吸盤を持つ小さな魚の怪物です。
レモラはラテン語で「遅延」を意味し、現在ではコバンザメを指す学名として知られています。
身体は小さい、青白い小魚型のいわゆる怪魚。
最大の特徴はおでこについた吸盤で、最大の能力はその吸盤で船に吸い付くと船は速度が出ず「遅延」してしまうのです。
まあ、おそらく一匹でできる事ではなく、大群でもって成し得ることなのだろうと思いますよね。イワシの大群みたいな。
ところがローマの博物学者である大プリニウス曰く、「レモラは1匹で400人は乗る船を足止めする」とのこと。
実例? としてよく知られた話としては、ローマ帝国のあのカエサルの養子にして後継者となるオクタウィアヌス、後の初代皇帝アウグストゥスですが、彼がカエサル暗殺後の政敵となったアントニウスとクレオパトラを打ち破った「アクティウムの海戦(紀元前31年)」にて、400艘の船を指揮するアントニウスの船にこのレモラが張り付き出港が遅れたのが敗戦の理由の一つに挙がるという。
『ファイナルファンタジーV』では召喚魔法による召喚獣として、このレモラが登場します。
召喚すると怪魚の群れが対象に「まとわりつき」、行動を遅らせるというのは史実? の通りですね。
『ファイナルファンタジーV』(1992年)©スクウェア
創作のネタに使うもよし。
遊んでいるゲームなどで出会えたならば、今後は知識をもってお相手することも出来るかと思います。
皆様になんらかの思いを残せたことを願って。
それではまた!