物干し竿! と聞いてすぐに佐々木小次郎の名が浮かんだあなたは相当の歴史好き!
普通はこれが刀の名前だなんて知りません。何の冗談だ? となりますって。
ネーミングの由来はその刀があまりにも長かったから。
うん、わかりやすいですよね。
今回はそんな名刀「物干し竿」について勉強してみましょう。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
持ち主は?
物干し竿の持ち主は、江戸時代初期の剣客、巌流佐々木小次郎です。
あの宮本武蔵と巌流島での決闘があまりに有名ですよね。
日本人なら誰もが聞いたことあるし、外国でも割と知れ渡っているようです。
この佐々木小次郎という男、実は結構謎な人物のようでして、要するにイメージが定まらないんですよね。
いや、一般的なイメージは華奢で小綺麗でイケメンな剣士、というものかもしれませんが、実は大柄な体格であったとか、巌流島の決闘時には齢50であったとか、いやいや70を過ぎていたとか。
名前にしても「巌流小次郎」とは名乗っても佐々木という姓は名乗っていなかったとか。
え、そこから? ってぐらい驚きですよね。
とにかく残っている資料が武蔵ありきのものばかりなので、人物像が今ひとつ定まらないようなのです。
結局は「講談」などの娯楽で創られた部分も多いようなのです。
巌流島の決闘って?
知らない方もいるかもしれませんので簡単にあらましを。
宮本武蔵と佐々木小次郎が巌流島という場所で決闘をしました。
武蔵は小次郎の物干し竿が長いことを知り、それよりも長い木刀を船の櫂(パドル)を削りだして用立てました。
しかも3時間もわざと遅刻して小次郎をイラつかせます。
ようやく訪れた武蔵に業を煮やした小次郎は抜刀すると鞘を投げ捨てます。
それを見た武蔵が「はや小次郎敗れたり。勝って帰る者が鞘を捨てるなんてありえな~い」と煽ります。
怒りで我を忘れた小次郎はものの見事に武蔵に脳天をかち割られて敗れたのでした。
こんな感じで。
ちなみに敗れた小次郎を武蔵の弟子たちが寄ってたかってめった刺しにした、なんていう説もあります。
公式に決闘するならやはり事前にルールは決めておくべきなんでしょうね。
どんな刀?
小次郎についてはこれぐらいにして、物干し竿について。
この刀は「長さが最大の特徴」で、故に「物干し竿」とあだ名されているとお伝えしました。
実際三尺(およそ90センチ)ぐらいあったそうです。
戦国時代から江戸時代にかけては打刀といって、だいたい70センチぐらいの刀だったそうなので、結構長いですね。
リーチ差20センチはデカいでしょう。
刀は鉄なので、その分重さもありますが、小次郎は「燕返し」という必殺技を使うぐらい、この刀を自在に扱っていたようです。
さてこの物干し竿、宮本武蔵の伝記『二天記』によると、備前長船長光(びぜんおさふねながみつ)作の野太刀であったそうです。
名刀ですね。
amazonでも模造刀が売ってました。
物干し竿が出てくる作品
物干し竿=佐々木小次郎なので、結局は小次郎が出てくる作品ということになります。
『YAIBA』
週刊少年サンデーで連載されていた少年剣士マンガです。
アニメ化の際には『剣勇伝説YAIBA』となりました。
作者は『名探偵コナン』の青山剛昌先生です。
この作品では現代に蘇った佐々木小次郎が、如意棒のように伸縮自在の物干し竿で活躍します。
中盤では江戸時代にタイムスリップした主人公のやいばが巌流島の決闘に巻き込まれる展開も。
『Fate/stay night』
Fate第1作目です。
7人の魔術師がそれぞれサーバントという英霊を使役し戦う聖杯戦争を描いた名作。
セイバーやライダーといった割り振りがある中、アサシンとして甦ったのが佐々木小次郎でした。
ま、別ルートでは登場しなかったりもしますが。
ビジュアル的にはこれぞ小次郎! といったデザインです。
『バガボンド』
井上雄彦先生による宮本武蔵の半生を描いたマンガ。
もうひとりの主人公として佐々木小次郎についても丁寧に描かれています。
眉目秀麗で大柄な体躯とイメージ通りなのですが、聾啞(耳が聞こえない者)設定で独自の小次郎が描かれています。
よくこんな難しい設定取り入れたな、とおののきました。
物干し竿についてはそれっぽい刀が出生時から登場しますが、あまり作品内で強い印象はありません。残念。
まとめ
いかがだったでしょうか?
日本の刀って実は名前が面白いものが多いんですよね。
カッコいいだけでなくおしゃれというかセンスが光るというか。
物干し竿もそのひとつ。
こんな刀に負けない面白い名前の武器を考案してみるのも一興ではないですか?
あなたの創作にも活かしてみてください。
それではまた。