モンスターの種別として多いのが、既存の動物をモチーフとしたものです。
最も多いのが「蛇」かと思います。
他にも「ライオン」や「コウモリ」なども多そうですね。
やはり一見して強そうな動物が対象となるようです。
コカトリスはご存知ですか?
頭に「cock」と付くことからも察せられるように、なんとも珍しいニワトリ型のモンスターです。
しかしながらこのニワトリ、あるモンスターからその弱点を取り除かれた、まさに最強にして最恐のモンスターだったのです。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもコカトリスとはなんぞや?
- 鶏の身体に蛇の尻尾をしたモンスター
- 邪眼の使い手で、「見られた」者は死んでしまう
- 体内には強力な毒を持っている
- 吐く息はあらゆる植物を枯れさせてしまう
コカトリス、コッカトリス、コカトライスなど。
まさに無敵のモンスターではないでしょうか。
ところで吐く息で植物が枯れるとなると、一体何を食べて生きていたのか?
実は唯一枯れない植物がありました。
ミカン科の黄色い花、ヘンルーダです。
なのでヘンルーダだけが生い茂っている場所を見つけたら近寄らないのが得策です。
きっとそばにコカトリスが潜んでいるでしょう。
といったあたりでさて、ここで気づくこともありませんか?
なにやらすごく特徴が似通った別のモンスターがいたような。
そうです。
リビアの砂漠に棲息するという邪眼の使い手バジリスクです。
実はコカトリスはこのバジリスクの誤解から生まれた、いわば創作モンスターだっというのです。
コカトリス誕生
元になったバジリスクが、ローマの博物学者こと大プリニウスの『博物誌』にて紹介されてから1000年以上経った14世紀の中世ヨーロッパ。
さまざまな寓話を集めた『カンタベリー物語』により再びバジリスクが紹介され耳目を集めるようになりました。
しかしこの時、人々はヘビ、またはトカゲの怪物が雄鶏の鳴き声に弱い。
そして雄鶏の卵から生まれる。
こういった荒唐無稽さにイメージが追いつかず、雄鶏というワードが一人歩きしてしまいます。
さらに紹介された文献ではバジリスクをバジリコックと表記。
「cock」からよりいっそうニワトリが想像されたのです。
こうしてコカトリスという、元はバジリスクだった新たなモンスターが誕生しました。
さらにもうひとつ。
都合のいいことにバジリスクのイタチに弱いという弱点や、雄鶏の鳴き声に弱いという弱点も削除されてしまいました。
なのでコカトリスは弱点がありません。
完全にバジリスクの上位互換なのです。
まさに無敵のモンスターではないでしょうか。
ただし邪眼は反射してやれば自滅する点は変わりありません。対処法もなくっちゃね。
名前が違えば別種族
ファンタジー、特にゲームにおいてはある鉄則があります。
それは、「名前が違えばたとえ同じ怪物を差していても別モンスターである」ということです。
コカトリスはバジリスクの誤解から生まれたわけです。
だから厳密には存在しない架空の生物です。
まあ、他のどのモンスターもそうなんでしょうが、それはさておきです。
百歩譲ってコカトリスとバジリスクは同じであるわけです。
けれどふたつの名前が存在する以上、ファンタジーの世界ではどちらも存在するのです。
それにしてもコカトリスはバジリスクよりも強すぎますよね。
しかも邪眼で見られただけでも死んでしまうのでは大変です。
そこでRPGの元祖『ダンジョンズ&ドラゴンズ』ではコカトリスは視線ではなく「石化するくちばし攻撃」になってます。
近接物理攻撃に変更されたのです。
これは後続のゲームでも取り入れられました。
『ファイナルファンタジー』なんて顕著ですね。
つくづくFFはD&Dフォロワーなんだなあって思います。
コカトリスの出てくる作品
『BASTARD!! 暗黒の破壊神』
鬼道衆カイ・ハーンが思念を増幅するクリスタルを使い操る魔獣がコカトリスでした。
結構な巨体で結構な広範囲を石化するガスを吐きましたが、D.Sの爆裂呪文で一発でしたね。
しかしマンガでコカトリスが大いに取り上げられた稀有な例かと。
『ソードワールドRPG』
モンスターレベル4。
くちばしによる攻撃が命中した場合、生命力抵抗判定。
失敗すると即座に石化です。
ただし薬草ヘンルーダを事前に食べておけば回避できますが、効果は24時間です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
勝手に世界三大石化モンスターとしてメデューサ、バジリスク、そしてコカトリスを選別しているのですが。
結局そのうちの2つは同一じゃないか、とね。
けれどこれもまた新たなモンスターを創作するヒントかもしれませんね。
ぜひ皆さんも新たなモンスターの創造を企ててみてください。
誤解から一般常識として定着することも、ままあるんですよね。
それではまた!