【怠惰のアスタロト】強力な悪魔も起源は女神【モンスターレビュー第70回】

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よく地獄の七大悪魔として名前の上がるアスタロト。
一説によれば悪魔王サタンに次ぐ、偉大な地獄の大公であるともされます。

しかしてこのアスタロト。
現在では恐ろしい悪魔とされますが、太古の昔はそれはそれは美しい女神であったのです。

ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!

それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもアスタロトとはなんぞや?

アスタロトとは、最高レベルの地獄の悪魔です。

三日月の形をした角のある、醜い天使のような姿で、手に毒蛇を持ち、巨大な竜、あるいは蛇にまたがって現れます。
中世以降の悪魔学において、アスタロトは「男型」の悪魔とされています。

アスタロス、アスタルテ、アシュタロスなど、名前の呼び名にはいくつかのパターンがあります。

キリスト教圏では、「七つの大罪」のひとつ、「怠惰」を司ります。

怠惰を司るのはベルフェゴールという説もあります。

人間を堕落させ、破滅に導くのを楽しみにします。

アスタロトはソロモン王の使役する、「ソロモン72柱の悪魔」にも数えられます。

魔導書『レメゲトン(ソロモンの小さな鍵)』によると、序列第29位、40の軍団を従える地獄の大公とあり、地獄の主計局大臣ともされます。

召喚者に対し、過去と未来を見通し、主に自然科学についての知見を与えてくれます。

ただしアスタロトは大変な悪臭を発散し、その悪臭には有害な毒素もあるので、不用意に近付くのは危険です。
鼻孔の下に「魔法の銀の指輪」を吊るすことで毒素は回避できます。

術士アブラメリンの聖なる魔術の書』によると、アスタロトはルキフェル、レヴィアタン、サタン、ベリアルの上位四王子に次ぐ、下位八王子に連なります。

さらに魔導書『教皇ホノリウスの奥義書』では、1週間の各曜日ごとに召喚できる悪魔のひとりとして、「水曜日に召喚できる」とされています。

このようにアスタロトは、多くの魔導書などでその名が見られる、歴とした大悪魔なのです。
いずれにしても一冒険者がそうやすやすと調伏できる相手ではありませんね。

悪魔になる前

どんな者も生まれた時から邪悪であることはありません。

悪魔に堕ちる以前、アスタロトは天界で光輝く天使でした。
しかしミルトンによれば、ルシフェルの神に対する反逆に加担した罪で、堕天されたようです。

召喚者が望めば天地創造から神への反逆まで、事細かに教えてくれますが、あくまで自分は神に反逆などはしていない、濡れ衣だ、と、この件に関しては否定してきます。

まだ、いつしか天界に戻れる日を信じているようですが、おそらくそんな日は来ないのでしょう。

起源は女神


実はアスタロトの起源とされるのは女神なんです。

古代フェニキアの女神アシュタルテであるというのが有力です。
「豊穣」「性愛」を司る普遍的な女神です。

で、その女神アシュタルテの起源はというと、バビロニア神話の女神イシュタルなのです。

アシュタルテイシュタル
なんとなく名前も似てませんか?

イシュタルはギリシャ神話のアフロディーテや、ローマ神話のヴィーナスなど、周辺地域のあらゆる美の女神の原形となった女神です。

カナーン地方で信仰されていた女神アシュタルテは、メソポタミアのイシュタルと同じような特徴を持っていました。
それは神殿の巫女たちは、巡礼者に対して奉仕する娼婦としての役割もあったということです。
もちろん、巫女との性交は、神との霊的な繋がりを求める神聖なものとして受け止められていました。

しかしながら、カナーン地方で勃興したユダヤ教、そしてキリスト教から見れば、そのような建前のもと行われる破廉恥な行状は認められませんでした。まさに背徳の都といった具合です。


そうして女神アシュタルテは悪魔アスタロトへと、貶められたというのです。

これはほんの一例で、ヨーロッパ圏で最大勢力となったキリスト教により、周辺地域の神々はほとんどが悪魔とされました。まあ、キリスト教は一神教ですからね。

女神アシュタルテは三日月形の角を持つ女悪魔アスタロトとなり、中世の悪魔学では男型の悪魔とされ、しかも悪臭を放つ怠惰な魔王にまで落とされてしまったのです。
それでも強大な悪魔として存在は残されているので、忘れられた太古の神々に比べれば、まだしもマシなのかもしれませんね。

まとめ

  • キリスト教七つの大罪「怠惰」を司る大悪魔
  • 有害な毒素を含む悪臭を放っている
  • 起源はカナーン地方の女神アシュタルテ
  • 中世の悪魔学において、男型悪魔にされた
  • ルシフェルについて神に反逆したが本人は否定的
  • ソロモン72柱の悪魔にも名を連ねる

いかがだったでしょうか。

実はこのアスタロト、リアルに設定が二転三転しているせいか、まとめるのにいささか苦労しました。

だってキリスト教では神に逆らった堕天使だったとしても、ルーツは女神アシュタルテであり、異教の神ということで悪魔にされたわけで。

もし皆さんがこのアスタロトを創作で使おうと思ったら、堕天使としてのアスタロトか、悪堕ちした女神アシュタルテの設定を引き継ぐか。
結構悩ましくありませんか?

そもそもアスタロトは三日月の角を持つ女悪魔という設定もあるのだから、もうなんというか、一種のスターシステムでも適応すべきかもしれませんね。
このアスタロトはこの設定です、とか。

とはいえ、七つの大罪を司る7大悪魔に数えられるのですから、そのキャラクター性は魅力的ですよね。

設定に困ったら『魔界村』のように、魔王アスタロト、と名前だけ拝借しても十分雰囲気は出るかもしれません。

どうでしょう?

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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