七つの大罪のひとつを司る悪魔。
こう言われると何とも強大な悪魔を想像してしまいますね。
そのなかでも我々人類が最も心乱される欲、お金についてまつわる悪魔がこのマモンです。
いやいや金よりも「食べ過ぎ」や「エッチ」の方が欲深じゃないかと思いますか?
しかしですね、このマモンが司るのは「お金」であり、そして七つの大罪のひとつでもある「強欲」なのです。
お金こそが最も強い欲であると説いているのですよ。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど、没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもマモンとはなんぞや?
マモンとは、キリスト教七つの大罪のひとつ「強欲」を司る強大な悪魔のことです。
その姿は双頭のカラスに鋭い爪を持ち、口からは業火を吐くと言われます。
神に反逆したことで堕天した元天使ですが、彼はルシファーの誘いに「そんなことより貯蓄がしたい」と言って一度断りを入れています。
それでも神への反逆に加わり、結果地獄へ落とされることになるのですが、むしろ金鉱脈の近くに住めるラッキーと喜んだというのです。
このように異常なまでに金銭や貴金属に執心するマモンですが、堕天する以前は天界に黄金の舗道を敷き詰め、堕天した後は悪魔たちの根城、地獄の宮殿「万魔殿(パンデモニウム)」にこのマモンが集めた金銀宝石が集められているのだとか。
もちろん人間に金銀財宝を掘り起こす欲望を教えたのもこのマモンです。
彼は七つの大罪のひとつ「強欲」の悪魔ですからね。
さらに人間に召喚されることもあります。
その際、彼は人間の願い、すなわち金銀財宝を分け与えてくれるというのです。
しかし強欲な彼が素直に願いを聞いてくれるはずもありません。
もちろん代価として生贄の命を要求されます。
こうして得られた財宝ですが、しかし一定の時間が過ぎるとその財宝がいつの間にか「灰」や「馬糞」に変わってしまうというのです。
魔界いち強欲な彼が最初から人間に財産を分け与えてくれるはずがないじゃないですか。
異端の出自
マモン、マンモン、などとも呼ばれます。
マモンとはメソポタミア地域で使われたシリア語やアラム語で「金」や「富」を表す言葉です。
ご存知のようにキリスト教における「悪魔」とは、その出自においてほとんどの者が異教の神々が堕とされた結果であります。
一神教であるキリスト教において、絶対たる唯一神以外に神と呼ばれる存在があってはならぬからですが、実はこのマモンは誕生の経緯が他とは少し違います。
『マタイによる福音書』にこう記されています。
「汝ら神とマモン(富)とに兼ね仕うることあたわず」
要するに「神」と「マモン(富)」を両方とも信仰することは出来ないと言うのです。
この一文から悪魔学者や宣教師らはマモンとは神と対立する存在、それは悪魔であると解釈しました。
こうしてここに悪魔マモンが誕生したのです。
しかしあなどるなかれ。
このマモン、一説によると地獄においてあのルシファーやベルゼブブにも匹敵する強さを誇るそうなのです。
ゆめゆめ、甘く見ないことを。
まとめ
いかがだったでしょうか。
実はキアヌ・リーヴス主演『コンスタンティン』を観ていてこのマモンを取り上げることを決めました。
悪魔祓いの物語ですが『マトリックス』でネオを演じた後に出来たこの作品。
残念ながらシリーズ化はされませんでしたが割りと好きなんです。
ルシファーやらガブリエルやらも登場しますが、マモンが重要な位置として設定されています。
そして何より不味そうにタバコを吸うキアヌの演技が妙にカッコイイんですよ。
さて余談ですが、実はマモンは名前が似ているせいか、アモン、アマイモン、などと混同されることもあります。
アモンはソロモン72柱の悪魔のひとり、アマイモンは地獄の西方を司る悪魔です。
さらにマモン、アモン、アマイモン含めてエジプト神話の主神アメンから派生しているという説まであります。
現在に残る神話や古代宗教はその大半が先史時代からの民間信仰の影響を残しています。
そして人類史など記録が残る最古の神話ですらたかだか7000年ほどです。
先史時代はその何倍も長かったのですから、いくつの神や悪魔、精霊が混同されてきたかなどすでに問題ではありません。
いつも言っていることですが、ファンタジー界の創作においては「名前がちがければ別個体」なのですよ。
創作のネタに使うもよし。
遊んでいるゲームなどで出会えたならば、今後は知識をもってお相手することも出来るかと思います。
皆様になんらかの思いを残せたことを願って。
それではまた!