『真・女神転生V』が世間を席巻していますね。
あずMはswitchを持っていないのでPS4で出るまで遊べませんが。
けどメガテンといえば『真・女神転生IIIノクターン』が好きでして。
妖精 レベル38 トロール
ギンザでロキの宝の番人を務めるトロールですよ。
ところでメガテンのトロールは「氷結吸収」ですよね。
それはいったい何故でしょう?
トロールはご存知ですか?
なんとなくゴブリンよりも上の雑魚、ぐらいに思ってる人もいるのではないでしょうか。
今回は北欧の妖精トロールについて調べてみました。
これを読むと何故メガテンのトロールは「氷結吸収」なのかがわかります。
今回も皆さまの創作の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもトロールとはなんぞや?
トロールとは北欧(スカンジナビア半島)地域に伝わる妖精です。
トロール、トロル、またはトローなど。
トロールの語源は残念ながら不明です。
令和の皆さんがお持ちのイメージを列挙してみますと、
・醜い顔立ちでひん曲がった鼻
・毛むくじゃらで背中にこぶ
・傷つけても再生する
・日光に当たると石化する
・炎系が弱点だったりする
・実は黄金や水晶を貯め込んでいる
こんなところでしょうか。
ちなみにトロールにも男女があります。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、ゲームで接してるとその辺忘れがちですよね。
ゴブリンでもオーガーでももっと男女平等に描写してほしいですよね。
元々の北欧地域ではトロールはゲームに登場するまで「何か得体の知れない恐怖全般」を指しました。
特定のモンスターを示していたのではありません。
トロールの変遷を超ダイジェストで追っていきましょう。
そこで「氷結反射」の理由もわかります。
北欧神話からのトロール
トロールの始まりは北欧神話まで遡ります。
最も有力なのが「霜の巨人ヨトゥン」の末裔という説です。
神々の前に世界は霜、山、火、水の巨人族がひしめいていました。
巨人族も神々も原初の巨人ユミールから生まれ出た者たちなのです。
中でもヨトゥンは凶悪にして強力な巨人族でした。
これは納得ですね。
霜の巨人の末裔なのだから「氷結吸収」なんですよ。
どうです?
神話を知っているとメガテンで初回エンカウント時にアナライズしなくても特性が見抜けるってものです。
便利ですよね。
ヨトゥンは大変強い巨人族ですが、唯一、北欧神話の英雄である雷神トールだけは手こずります。
その影響はトロールにも遺伝していて、雷鳴を思わせる教会の鐘の音や、ドラムロールを聴くと逃げ出してしまいます。
民間伝承からのトロール
民間伝承でのトロールは妖精の面が強いようです。
そんなトロールには美女に化けたり小人になったりと変身能力がありました。
そのためトロールの姿形は定まらず、巨人やら妖精やらと「得体の知れないモノ全般」へと用途が広がりました。
妖精としてのトロールで最も有名なのはフィンランドの作家、トーベ・ヤンソンの『ムーミン』ですね。
ムーミンはよく劇中でカバと言われますがトロールだと反論します。
そもそも北欧にカバはいませんし。
またスタジオジブリの『となりのトトロ』もですね。
トトロに会ったメイにサツキが「絵本で見たトロルのこと?」と聞き返すシーンがあります。
他にも緑の服に赤い帽子姿とか、気に入らない人の家財道具を持ち出しちゃうとか、実はドワーフと同一であるとか、よく聞くようないたずら妖精ばりの逸話は枚挙に暇がありません。
変わったところでは三人のトロールがひとつの目玉を共有しているという話もあります。
メデューサのゴルゴン三姉妹に似てますね。
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未来を見通す力があるとか、三人でひとりの妻を共有しているとかいう話もあります。
なんで目がないのでしょうか?
その辺に人間を襲う恐ろしい面のトロールがあります。
『指輪物語』から怪物要素が強くなる
怪物として語られるトロールは、白夜の夜に村々を徘徊します。
すると乳牛は乳を出さず、鶏は卵を産まず、そして人を襲っては金品を強奪していきます。
特に恐ろしいのは子供を狙い、目と心臓を奪っていくのです。
トロールの子供は目と心臓を持たずに生まれてくるため、それらを与えようとするのです。
目はともかく心臓なしでどうやって生まれてくるのか。
ともあれこのような怪物に目を付けたお方がいます。
ジョン・ロナウド・ロウエル・トールキン。
そう、我らがトールキン先生です。
『指輪物語』の世界ではトロールは悪の軍勢の手先として描かれます。
前日譚に当たる『ホビットの冒険』では正しくバカでタフで宝を貯め込んだトロールが描かれています。
さらに指輪世界では日光にも耐えられる上位種オログ=ハイという怪物もいます。
このようなトロールを取り込んで整理した作品があります。
RPGの元祖『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』ですね。
ゲーム的に処理の煩わしそうな「日光に当たると石化」という部分を炎に弱いと改変。
さらに再生する傷口も炎や酸で阻止するといった感じでアレンジされました。
ここまで来るともう我々が馴染みのあるトロールの完成ですね。
D&Dでも上位種のフェル・トロルというのがいます。
人間を丸呑みにするほどの巨体です。
トロールの出てくる作品
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ』
棍棒を振り回す巨人で、後作ではその棍棒を舐めまわす仕草をする。
唾をつけると攻撃が当たりやすくなるというデマを信じているらしい。
時折「つうこんのいちげき」を叩き込んでくる。
上位種にボストロール、トロルキング、トロルボンバー、ダークトロル。
ボストロールは3と8ではイベントボスとして、6では仲間モンスターとしても登場。
唯一トロールと名の付くボストロールが一番優遇されている。
『ファイナルファンタジー』
アーストロル、シートロル、ブルートロルが登場。
3では海底洞窟にオログハイも出ます。ただし巨人ぽくはありません。
他3にはボストロルも登場します。
『The Elder Scrolls V:SKYRIM』
トロールよりも上位種のフロストトロールの方が馴染み深い。
序盤、ハイフロスガーへの道すがら、七千階段で待ち受ける強敵です。
体力の自動回復を持っているが、炎に弱いので延焼させつつ殴り倒そう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回でモンスターレビューも54回を数えますが、つくづく『指輪物語』と『D&D』によって現代のファンタジーはまとめられたのだな、と痛感いたします。
まだまだこのような例はたくさんあるので、これからも両作品にはお世話になることと思います。
さてトロールですが、とにかく氷に強く炎に弱い。
それがスタンダードなようですね。
さすが北欧発。
これをどうアレンジ加えるかはあなたの創作力次第。
頭がいいとか、炎に強いとか、納得いく説明が出きればあとは自由。
なんせファンタジーなんですしね。
それではまた!
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