国民的RPG『ドラゴンクエスト』のマイナーモンスターを発掘する回。
今回はラゴンヌです!
ラゴンヌ。どんなモンスターだったのか、パッと頭に浮かびましたか?
ヒントは『ドラゴンクエスト11』で再登場するまでは、長らく3作目『~そして伝説へ』にのみの登場でした。
出現地域も地下世界アレフガルドのある塔の中だけ。
色ちがいモンスターとして先に遭遇するのはネクロゴンドへの洞窟に現れるライオンヘッド。
そろそろ思い出してきましたか?
今回はそのラゴンヌの元ネタを探ってみたいと思います。
そもそもラゴンヌとはなんぞや?
ラゴンヌは『ドラゴンクエストIII そして伝説へ』終盤に登場したモンスターです。
- ライオンの頭にドラゴンの羽、足が6本もあります。
- 灰色の体色にオレンジ(深紅)のたてがみが特徴です。
- 3体同時に出現することも多く、氷雪系最強(当時)呪文「マヒャド」に、単体完全回復呪文「ベホマ」も使用します。
真空系呪文に対する耐性が低いので、勇者の持つ「王者の剣」を振りかざせば発現する「バギクロス」が効果的です。
意外と脆く、また出現場所もマイラの村北西の小島にある「ルビスの塔」のみのため、「ああ、いたっけ、そんなの?」と思うかつての勇者諸氏も多いかもしれませんね。
長らくドラクエ3のみの登場で、モンスターズなどスピンオフにも未登場という不遇の扱いを受けていましたが、2017年に発売された『ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて』にてまさかの電撃復帰を果たしました。
もし近年のドラクエとは距離を開けているよ、というベテランの勇者諸氏がおいででしたら、ラゴンヌに会いに、この機会に再び勇者になられてはいかがですか。
いないか。
ラゴンヌに思い入れのある人なんて。
さて、今回のテーマはそんなラゴンヌの元ネタについてです。
ドラゴンクエストという作品は、一見、制作者のオリジナル要素が強いイメージがあります。
それは万人に愛されるための当然の処置で、現代日本に住んでいて、耳慣れない言葉は極力省く傾向にあるからです。
ドラクエは「ブロードソード」ではなく「はがねのつるぎ」であるべきです。
「エクスプロージョン」ではなく「イオナズン」です。
「世界樹ユグドラシル」でなく「命の大樹」なんです。
モンスターも「シールドこぞう」とか「きりかぶおばけ」とか「ひとつめピエロ」とかとか。
カッコ良さより児童文学的な表現が多いんです。
「リビングデッド」ではなく「くさった死体」です。
「リビングアーマー」ではなく「さまようよろい」です。
「リビングスタチュー」ではなく「うごくせきぞう」なんです。
まあ、リビングデッドとリビングスタチューは他にちゃんといますけど。
ですが意外と、原典に神話や宗教、そしてファンタジーの元祖に受けている影響も見られます。
ラゴンヌの元ネタは『D&D』のドラゴンヌです。
それではドラゴンヌとはなんぞや?
ドラゴンヌとは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下D&D)のモンスターです。
ライオンとブラス・ドラゴン(真鍮竜)の特徴を掛け合わせたハイブリッドモンスターです。
- 頭部はライオンのようだが、羽やウロコなどはドラゴンの特徴。
- 全体が真鍮色のウロコで覆われている。
- 体長は3メートル以上。
- 体重も300㎏を越える。
ドラゴンヌは山羊などの草食動物を好んで食べる。
必ずしもこちら側から手を出さない限り、空腹でも冒険者を襲うことはない。
ただし天変地異でも起きて絶望的な食糧難にでも陥れば別だろう。
『D&D』ではドラゴンは2種に大別できる。
クロマティック・ドラゴン族(色彩竜)と、メタリック・ドラゴン族(金属竜)である。
クロマティック・ドラゴン族とは例えばブラック・ドラゴン(黒竜)、ホワイト・ドラゴン(白竜)、グリーン・ドラゴン(緑竜)、ブルー・ドラゴン(青竜)、レッド・ドラゴン(赤竜)などである。
メタリック・ドラゴン族とは例えばカッパー・ドラゴン(銅竜)、ゴールド・ドラゴン(金竜)、シルヴァー・ドラゴン(銀竜)、ブラス・ドラゴン(真鍮竜)、ブロンズ・ドラゴン(青銅竜)などである。
クロマティック・ドラゴン族は悪の属性を持ち、メタリック・ドラゴン族は善の属性を持つ。
ドラゴンヌはドラゴン語を話す。
羽はあるが自重を支えきれず、長時間の飛行は出来ない。
以上が『D&D』のドラゴンヌの生物的特徴である。
まとめ
- ラゴンヌの元ネタはドラゴンヌ
- ライオンとドラゴンを掛け合わせたハイブリッド
- 性格は善か中立に属し、草食動物を好むため好戦的ではない
いかがだったでしょうか。
ドラゴンクエストも3作目となると『指輪物語』や『D&D』、少し違いますが『ウィザードリィ』のボーパルバニーに触発されてウサギ型モンスターを登場させたりと、先行するRPG作品からの引用、影響が目立ちます。
こうしたエンカウントモンスター一体一体に想いを馳せるのもまた新たな発見があって面白いものです。
それではまた!