【食屍鬼グール】ゾンビと混同されがちアラブの怪物【モンスターレビュー第105回】

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砂漠へ旅をするときはお気を付けください。
いい人を装って、あなたに近寄ってきたそれは、ヒトではないかもしれません。

彼らは時に美しく、とても頭の回転が速いので、旅行者ほどその罠に引っかかってしまうのです。

彼らの名はグール。
貴方のことを食糧としか見ていない化け物なのです。

ファンタジーの知識があれば、より楽しい!

皆さまの創作活動の参考になりますよう。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

目次

そもそもグールとは何ぞや?

グールとは主に墓場に潜み、夜現れては死肉を貪るアンデッドモンスターです。

生息地域はアラブ諸国で『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』などにも登場しています。
主に死肉を貪る怪物ですが、基本的に雑食で、生きた人間も襲います。
見た目はグロテスクなゾンビのような姿もありますが、そうとばかりは言えません。
男性形をグール、女性形をグーラと呼び、特に女性形のグーラは見た目の美貌を生かし、風土になじみのない旅行者をだまし襲います。
そもそもグールの語源がアラビア語で「掴む」「さらう」という意味から来ています。
他にも変身能力を有し、小さくなったりハイエナに化けたり、実は頭の回転が速く人間を騙すことにも長けています。

とても変わった生態系をしていて、元々の身体は墓からよみがえった死体です。
その死体に悪しき精霊(ジン)が宿ることで活動を開始します。
精霊が宿っているために魔法を使うほどに頭もよい、けれど身体はアンデッドという厄介な存在なのです。

というわけで基本的にアンデッドモンスターとして分類されますが、宿った精霊が操作しているという観点から単純にアンデッドと区分けはできないようです。
というのもグールとグーラで子供を作ることもできるというのだから驚きです。
さらにグーラの授乳で育った人間もグールの仲間となってしまうそうです。
雑に言ってしまえばゾンビとヴァンパイア、両者の特徴を持っている存在と言えそうです。

力が強く、麻痺毒を持った爪などの攻撃を有し、なにより暗闇で集団行動をする不気味さが恐怖を誘うモンスターですが、戦場に慣れた冒険者ならば対処できない敵ではありません。

有効な退治方法は2つあります。

①聖なる炎で焼き尽くす

アンデッドモンスター対策としての常套手段ですが、「聖なる」というところがミソです。
通常の炎で撃退した場合、グールのボディは焼却できますが、宿っていた精霊(ジン)までを退治することはできません。
また別の死体に憑依するだけです。

②アラブで広く使われる湾曲刀(シミター)で腹を切り裂く

「シミター」で「腹」というのがミソです。
それも一太刀でとどめを刺してください。
なぜか調子に乗って2度3度と斬りつけると再生してしまいます。
ここら辺の原理は宗教観念や教義につながる示唆が含まれているのかもしれません。

というのもグールに宿る精霊(ジン)はイスラムの唯一神アッラーが遣わすものとされているためです。
イスラム教では人間は死後、この世に再び帰還するためには肉体が不可欠であるとされます。
そのため火葬は禁止され土葬が絶対とされています。
それなのにアッラーの遣わしたグールは死体の肉を食い荒らすわけです。
グールはゾンビなどと同様に手足を切断しても活動を止めません。
また退治するのに聖なる炎で焼却という手段が有効です。
このあたりに宗教的な示唆を感じられるのではないでしょうか。

まとめ

というわけでいかがだったでしょうか。

有名なモンスターなので特徴を上げるにとどめましたが、個人的にはグールというと宮崎駿監督の『シュナの旅』を思い出します。
夜の砂漠で疲れ果てたシュナに襲い掛かり返り討ちにあった者たち。
彼らは木と石で作られた巨大な朽ちた船で砂漠に潜んでいました。
シュナの銃で片腕を吹き飛ばされた女が泣きながらその腕を持って逃げかえるシーンが印象深いです。

他にはヤングジャンプで連載されていた『東京喰種』でしょうか。
あの作品もグールの基本設定を踏襲していましたね。
人肉以外は口にできず、ただコーヒーのみが味わえるという。
アラブのモンスターであるグールを元ネタにコーヒーを持ち出されると『コーヒールンバ』が脳裏をよぎるのですが。
狙ったんでしょうけどね。

それではまた!

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この記事を書いた人

漫画家になりたくて毎週のように出版社へ持ち込みをしてた人。
ケータイ用ミニゲームイラスト、アンソロジーコミック経験有。
執筆したファンタジー小説を投稿サイトにて公開中。

三匹のカエルと七人の闇堕ち姫
小説家になろう/ノベルアッププラス

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