古来より雷は人々の恐れと敬いの対象でした。
それは時に神と崇められ、時に精霊と敬われ、そして時に怪物と恐れられたのです。
サンダーバードはご存知ですか?
どストレートな英語の名前が逆に違和感を覚えるモンスター名ですよね。
それはこのサンダーバードが北米、アメリカの伝承によるからかもしれません。
アメリカ合衆国は建国250年あまりと比較的若い国です。
ヨーロッパからの移民がやがて独立を果たし、20世紀に入り世界一の大国へとのしあがりました。
このような歴史からアメリカには神話が乏しいという事情があります。
しかしアメリカにはヨーロッパからの移民よりも以前から多くの人達が住んでいました。
先住民族ネイティブアメリカンです。
今回は彼らに伝わる伝承からサンダーバードを取り上げてみたいと思います。
皆さまの創作の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもサンダーバードとはなんぞや?
サンダーバードとは、北米先住民族(ネイティブアメリカン)の間で言い伝えられる伝説の巨鳥です。
・目からは雷光を放つ
・クチバシから稲妻を発射する
・シカなどを襲うがまれにクジラまで捕食する
雷にまつわる能力の備わった鳥ですね。
なのでサンダーバード。
とにかくデカさが強調されるようで、
・クジラを一匹丸々食べる
・湖の水を移動させるため、背中に湖を乗せて飛んだ
などなど、意味不明な表現まであります。
そのサンダーバードですが、もともとネイティブアメリカンでは精霊ワキンヤンと呼ばれています。
先住民の伝承なのでルーツは古そうですね。
そして部族ごとにいろんな逸話が残されています。
部族ごとの逸話
サンダーバード(ワキンヤン)は部族によって異なる伝承があります。
それは姿形も同様です。
赤い羽毛でワシに似ているとか、人間の顔をしている(人面)とか。
北西部沿岸地域のハイダ族は動物の彫像を柱に彫る、いわゆるトーテムポールのことですが、そこに彫られたサンダーバードは鳥の頭と腹部には人間の顔が彫られています。
スー族では見えるのはクチバシと蹴爪だけで、あとの部分は透明で見えないとされています。
チヌーク族では元々クジラであったとまで言われ、挙げ句人間はサンダーバードの卵から生まれたとまで言います。
実際の伝承も様々です。
スー族の話では、サンダーバードは聖地ブラックヒルズの頂きに住み、天候を操り人々が近寄れないようにしていました。
そういう場所が聖地とされるのでしょう。
しかし近所にディズニーランドが建設されたので、喧騒を嫌ってもうどこかへいなくなってしまったそうです。
マカ族によると、ある時部族を大変な飢饉が襲った。
そこにサンダーバードがクジラの肉を運んで持ってきたのだ。
部族はその肉を分けあうことで飢えをしのいだという。
救助に駆けつけたんですね。
ん? 救助といえば……
神の使いか、もしくは魔物か
サンダーバードといえばパッと思い付くのはやはり、国際救助隊の活躍を描いた特撮人形劇『サンダーバード』ですよね。
人々を飢えから助けた逸話もあるし、元ネタはこれだったのか!
と思いたいところですが、どうやらこれはアメリカにある「サンダーバード飛行場」という地名からとられたそうです。
残念。
サンダーバードはマカ族の伝承のように、人々の救済に動くばかりではありません。
実はサンダーバードは複数いて、当然ヒナ鳥もいます。
そのためのエサにされそうになった青年が脱出する話や、妻がさらわれて助けに行く男の話などが残されています。
というかアメリカでは子供向けのおとぎ話としてわりとメジャーだということらしいです。
ちなみに無事妻を返してもらった男は土産として「魔法のパイプ」を譲り受けます。
そのたなびく煙を見るたびにサンダーバードは反省を繰り返すというのです。
実はネイティブアメリカンではパイプは宗教儀式的に重要な文化アイテムなのだそうです。
そういえびパイプをくゆらせているイメージありますよね。
とはいえサンダーバードもかっこいい逸話はあります。
それは人間を守るため、邪悪な海蛇ウンクテヒとの戦いです。
ウンクテヒは北米版ドラゴンといった感じで、ミズーリ川を氾濫させ人間を滅ぼそうと企てました。
それを阻止せんとサンダーバードが戦いに挑み、数年間の壮絶な死闘の末、サンダーバードが見事勝利を収めたのです。
ゴジラ対キングギドラみたいな絵が思い浮かぶよ。
サンダーバードの出てくる作品
『悪魔城ドラキュラ サークル オブ ザ ムーン』
主人公ネイサン・グレーブズはカードの組み合わせで特殊能力を発現できます。
その中の1枚がサンダーバードのカード。雷に属するカードで、電撃の鞭で攻撃したり、雷攻撃を無効化したりできます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本にも「ライチョウ」という鳥が知られていますが、あれはまったく関係ありませんよ。念のため。
サンダーバードといいますが、近年ではワキンヤンの名で、どちらかというとUMA的な扱いを受けることの方が多いらしいです。
たしかにあまりゲームなどでも見かけませんよね。
そもそもアメリカ寄りなモンスター事態、取り上げられることも少ないですしね。
なるべくこちらの方もフォローしていきたいなと思いますけど。
それではまた!
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