あなたにとっての理想の女。
夢の中であなたを求め、愛してくれる女。
中世から現代にかけて、女の子モンスター不動の人気ナンバーワン!
それが今回ご紹介する夢魔サキュバスです。
何故サキュバスは男の生気を搾り取るのか?
搾り取られると男はどうなるのか?
それを防ぐ手立てはあるのか?
そして似たような女悪魔リリスとの関係は?
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームへの没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもサキュバスとはなんぞや?
サキュバスはキリスト教圏において、男の夢の中で生気を搾り取る、悪魔のことです。
「夢魔」「婬魔」などと表記されたりします。
名前の由来はラテン語で「下に寝る」です。
この名の由来、少しだけ重要です(後述)。
サキュバスは女型モンスターですが、対をなす男型夢魔として、インキュバスがいます。
名前の由来は同じくラテン語で「上にのしかかる」です。
サキュバスはあなたが男性なら、あなた好みの理想の女の子の姿で現れます。
ただ、正体は背中に悪魔の羽根を生やした醜い老婆だということは、心のスミに止めおくべきです。
残念ですよね。
とはいえ、創作界隈では正体も美女であることがほとんどです。
それでいいと私も思います。
サキュバスは狙った若い男性の夢に現れると、あなたの望む欲望を叶える相手になります。
そうして搾り取った生気を使い、新たな悪魔を生み出します。
狙われた男性は運が悪いと衰弱死するまで搾られてしまいます。
夢に現れるのならば、寝なければいい、と考えるかもしれません。
しかしサキュバスは相手を眠らせる「お香」や「魔法」を使うそうです。
まあ、理想の女が相手をしてくれる。そう聞いて端から遮断しようと思う男性がどれほどいるでしょうか。
それでも避ける術はあります。
ひとつは枕元に十字架などの聖印(ホーリーシンボル)を置いておくことです。
キリスト教圏ではよく見られる対処法です。
万能ですね。
もうひとつは実際に中世ヨーロッパではよく見られた風習だそうですが、枕元に牛乳を入れた小皿を置いておくというものです。
現れたサキュバスはその牛乳を嬉々として持ち帰り、去ってしまいます。
婬魔らしくない、イージーミスに思われますが、このような事からサキュバスはあまり知能は高くないという説もあります。
ただ、これらの対処法はどれもサキュバスを追い返す方法に過ぎず、明確に退治したとされる報告は見受けられないそうです。
もしかしたら男女一心同体説
実はサキュバスには子を孕む力はないという話があります。
そのため体外受精する術を持っているのではないかという説がひとつ。
もうひとつ、実は対をなす男型夢魔インキュバスにも、生殖能力はないそうです。
しかしインキュバスは寝ている女性を懐妊させる夢魔として有名です。
ではどうやってインキュバスは一般の女性を懐妊させているのでしょうか。
それはインキュバスは男性の前ではサキュバスとして現れ、そこで生気を回収。
続けてインキュバスとして女性の元へ向かい、手に入れた生気を使うそうです。
これでは生まれてくる子供は単なる男と女の子でしかないようですが、実は夢魔に襲われ生まれた子には生来さまざまな特殊能力が備わるそうです。
もっとも有名なのは「アーサー王伝説」に登場する魔術師マーリンです。
他にも古代マケドニアのアレクサンダー大王や、宗教改革でお馴染みのマルティン・ルターなどがそうではないかと噂されます。
噂です。
『ヴァンパイア』モリガン・アーンスランド
現在のサキュバスイメージを確立させたのは間違いなくこのキャラ。
CAPCOMが1994年にアーケードで稼働開始した対戦格闘ゲーム『ヴァンパイア』のモリガン・アーンスランドです。
セクシーなコスチュームにコウモリの羽を巧みに使った攻撃アクション。
それまでマイナーだったサキュバスというモンスターが、一夜にしてスターダムにのしあがった瞬間です。
まだ今みたいにコスプレが市民権を得ていなかった頃、同じくCAPCOMのチュンリー、SNKの不知火舞と並んで地上波で幾度となくコスプレが披露された、数少ない、女子に認められたゲームヒロインでした。
今の子には想像つかないかな?
今ではハロウィンのコスプレなどでキョンシーと並んでサキュバスが定番になるぐらいです。 そういえば2作目の『ヴァンパイアハンター』ではキョンシーをモチーフにしたレイレイという人気キャラもいましたなあ。
そのモリガンよりも前に影響力のあったサキュバスというと、アスキーによるファミコン版『ウィザードリィ3』でしょうか。
末弥純氏の描く妖艶で大胆な構図のサキュバスはインパクト大です。
もうひとつの有名な婬魔リリス
もうひとつ、男をたぶらかす妖艶な女悪魔として有名なのがリリスです。
このリリスにはさまざまな顔があり、この少ないスペースで要約するのは不可能なので、ひとつだけ触れたいと思います。
リリスはアダムの最初の妻と目されています。
しかしアダムのもとを去り、その後多くの大悪魔の子を生んだとされます。
それはサタンであったり、ルシファーであったり、アスモデウスであったりと、そうそうたる面子です。
なんせ神に「毎日生んだ子供100人を殺される」という罰を受けるぐらいですからね。
多産という言葉では足りないぐらいです。
そのリリスですが、何故アダムのもとを去ったのか?
これには多くの理由があるそうですが、その中にアダムが下になるのを拒んだから、というのがあります。
女が上になるのを嫌ったというのです。
さて、サキュバスの名の由来はなんでしたでしょうか。
いろいろ類似点など想像すると面白いかもしれませんね。
まとめ
- サキュバスは男の生気を搾り取にくる夢魔、婬魔
- 理想の女の姿で夢に現れる
- 枕元に牛乳を入れた小皿を置いておけば回避可能
- インキュバスと一心同体という説もあり
いかがだったでしょうか。
もうみなさんお気付きだと思いますが、サキュバスは男性の「夢精」を表しています。
特に戒律の厳しい聖職者などが悩んでいたのかもしれませんね。
だから茶々など入れず、「サキュバスにやられた」、と言い訳する人がいたら黙って察してあげましょう。
ところで、我が国では明治維新あたりまでは、わりかし性に対しておおらかな気風であったそうで、そのためか節制を促すためのサキュバスのような妖怪などはあまり見られないようです。
ということを最後に付記しておきますね。
今回はこの辺で。
それではまた!