皆さんは竜と飛竜の違いを説明できるでしょうか?
うんうん。
竜はドラゴンで、飛竜はドラゴン?
どっちもドラゴンですよね。
では、ドラゴンとワイバーンの違いならどうでしょうか?
そうですよね。
手があるのがドラゴンで、手がないのがワイバーン。
いろんなゲームで出てくるワイバーンて、だいたいこんなイメージじゃないでしょうか?
要するに、ワイバーンはドラゴンの下位互換!
実はですね、これが結構、煽りでも的外れでもないようなんです。
ファンタジーの知識を知れば、より楽しい!
それでは今回も皆さまの創作活動やゲームなど没入感の参考になることを願って。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
そもそもワイバーンとはなんぞや?
令和のわが国で一般的に知られるワイバーンとは、
手のないドラゴン
程度の認識じゃないですか?
「飛竜」もしくは「翼竜」と日本語訳されて想像する姿がワイバーンでありましょうが、元々はそうではありませんでした。
その前に皆さんは「ワーム」というモンスターをご存じでしょうか?
名前の通り、ミミズのような虫系のモンスターです。
このワームにも色々なパターンがありまして、手も足もないものから、顔がドラゴンのもの、羽が生えているもの、なんなら足が生えているものまであります。
そう、足も羽も生えていて、顔がドラゴンならそれはもう僕らの知っている「ワイバーン」そのものじゃないですか?
中世までのドラゴンと言えば羽の生えた蛇でした
ワイバーンは16世紀以前まではウィヴァー(Wyver)と呼ばれ、すなわちバイパー(Viper)まむしという意味だったそうです。
中世の騎士物語にとって、ドラゴンとは今でいう「ワーム」のような姿を指します。
キリスト教の影響下では「敵対者」は常に蛇の姿をしているのです。
この類のワームは強いです。
- 毒を吐く
- 強烈に絞め殺してくる
- 斬ってもまたくっついちゃう
- 水辺や沼で財宝を守る
- 乙女を好んで食す
ただし知能は低いようです。
なるほど、騎士にとっては都合の良い悪役像をしていますね。
ワイバーンの神話、伝承
さてワームから進化していったワイバーンですが、どんな神話や伝承が残されているのでしょうか?
これが驚くことに何もないんですね。
厳密にはありますが(後述)、ドラゴンのような豊富な活躍は語られていないのです。
それはなぜか?
ワイバーンは「紋章」に使う図柄として生まれたからです。
騎士が使う盾などの紋章には強いモンスターが好まれました。
中でも強いモンスターと言えばやはりドラゴン。
しかし最強のドラゴンの紋章は最も位の高いもの、すなわち王室にのみ許された図柄でした。
それよりも下位、すなわち貴族たちはドラゴンから位の落としたワイバーンを紋章として用いたのです。
ここでワームよりも単に足の本数が少ないドラゴンのようなワイバーンが生まれたというわけです。
ワイバーンの民話
厳密にはワイバーンではなく、その前の時代、ワームとしての民話です。
・ランプトン(ラムトン)のワーム
ランプトン領主の跡継ぎが釣りあげたワームが巨大化し付近を荒らしました。
これはいかんと退治に乗り出した跡継ぎは、魔女にワームの攻略法を訊ねます。
トゲをいっぱい生やした鎧を着なさい。巻き付かれてもダメージが与えられるね。具体的!
急流の真ん中で待ち構えなさい。斬った体の部分が流されてくっつくのを防げるね。納得。
ただし退治した後に最初に出会った者を殺さなくてはいけないよ。なにそれ待って!
なぜか最後に意味不明な呪いをかけられます。
しかし見事にワームを退治したのですが、最初にその場に現れたのは心配で様子を見に来た領主、つまり父親だったのです。
さすがに殺すことが出来なかったがために、以後7代にわたって非業の死を遂げるという運命を背負いました。
・ウォントリーのドラゴン
こちらは18世紀のオペラ、演劇のようです。
これも荒らしまわったワイバーンをトゲのついた鎧を着て退治した勇敢な騎士モアという者の物語として語られます。
ワイバーンが出てくる作品
要は飛竜的なドラゴン全般をワイバーンに見立てられるので、枚挙に暇がない!
『パンツァードラグーン』
セガサターンを代表する3Dシューティングゲーム。
文明の崩壊した未来、飛竜に乗って帝国軍と戦うお話です。
『アゼル パンツァードラグーンRPG』はシューティング苦手でも遊べる良作ですよ。
『メビウス・アルザック』
フランスの漫画家メビウスによる、飛竜に乗る旅人の冒険を描いたマンガ。
日本のマンガ家にも多大な影響を与えた人なので、名前ぐらいは聞いたことあるかもしれませんね。
線で影を付けたりする技法が流行ったそうです。
『風の谷のナウシカ』のメーヴェはまんまこのアルザックです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
神話ではなく紋章学により定着し、そしてゲームに移植されて個性を獲得した。
そんな感じのモンスターですね。
今では『モンスターハンター』などでも活躍するようになったワイバーン種。
まだまだ使い道はあるようです。
こんなワイバーンがあったか、というものを是非、あなたの手でも創造してみてはいかがでしょうか?
そのときは是非教えてくださいね。
それではまた!