フライング・ダッチマン。
直訳すると「空飛ぶオランダ人」。
なんじゃそりゃ? と思いますが、逆にこれを代名詞として名を残すオランダの有名人もいたりします。
例えば1970年代のサッカー選手ヨハン・クライフです。
相手のタックルなどをひょいひょい飛んでかわす様から「空飛ぶオランダ人」と形容されました。
しかしながら今回取り上げる「フライング・ダッチマン」とはもちろんサッカー選手のことではございません。
幽霊船の名前なのです。
ファンタジーの知識があれば、より楽しい!
今回も気軽にファンタジーな世界を覗いていってくださいね。
フライング・ダッチマン号とは
アフリカ大陸南端に位置する喜望峰の沖合は、夏は南東の風、冬は南西の風が吹き荒れ、南極からは激しい波が襲う危険な海域です。
事実、喜望峰は発見当初、「嵐の岬」と名付けられていました。
そのためか、この海域では大航海時代より、たびたび巨大な帆船の形をした幽霊船が目撃されています。
それが「フライング・ダッチマン号(さまよえるオランダ人号)」です。
船長はオランダ人のヘンドリック・ファン・デル・デッケンという男。
彼は豪胆な性格をした荒くれ者でした。
この海域を航行中のこと、船は巨大な嵐に見舞われます。
船員たちは命の危機を感じ取り、船長に港へ引き返すよう嘆願します。
しかし船長は酒をあおり、その進言に聞く耳を持ちません。
さらに神に祈るどころか毒づきます。
やがて嵐は強まり、マストが折れそうになるほど軋み始めると、船員たちが反乱を起こしました。
だが船長はピストルを撃ち、殺した船員を海へ投げ捨ててしまいます。
この身勝手な行動に天罰が下りました。
船は幽霊船として海を彷徨い続け、たったひとり生き残った船長は骸骨と化した船員たちと永遠に(もしくは「審判の日」まで)孤独に海を彷徨い続けるのです。
決して陸に上がることは許されず、他の船が近づくことも出来ません。
近付いた船は呪われて沈没するか、その前の異変として酒や水が腐り、計測器が壊れたりするそうです。
以降、この幽霊船は、船長を指して「フライング・ダッチマン(さまよえるオランダ人)号」と呼ばれます。
オペラ『さまよえるオランダ人』
リヒャルト・ワーグナーによるオペラの題材として有名です。
というより「さまよえるオランダ人」という訳はこのオペラの邦題として広まりました。
内容は一応、純愛ものです。
呪われたオランダ人船長は、七年に一度、陸に上がることができ、そのとき自分に真実の愛を向けてくれる女性と出会えれば呪いが解ける(成仏できる、いや昇天できるが正しいか)のです。
ノルウェーの港に投錨していたダラント船長の前に幽霊船が現れます。フライング・ダッチマン号です。
オランダ人船長は自らの呪いを嘆き、ダラント船長は財宝をもらい自分の娘を紹介する約束をしてしまいます。
その娘ゼンタは心優しく、オランダ人船長を助けてあげたいと心の底から思いました。
呪われた船長は喜びます。
しかしゼンタにはエリックという恋人がいました。
オランダ人船長はぬか喜びに憤慨し港を去ります。
ゼンタは信じてもらおうと岸壁から飛び降り海へと落ちます。
その純愛行動で呪いが解け、オランダ人船長とゼンタの二人は昇天しましたとさ。
これって純愛かなあ?
まとめ方がいけなかったかなあ。
ところで幽霊船で、恋人の青年の名がエリックというと『ドラゴンクエストIII』のイベントがありましたね。
オリビエの岬を通るのに必要な「あいのおもいで」というアイテムを取りに、エリックの乗る幽霊船へ行くイベントがありましたね。
元ネタのひとつはこれでしょう。
終わりに
もっとも有名な幽霊船かもしれません。フライング・ダッチマン号は。
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』でも当然のごとく使われていましたしね。
ファンタジーで海を舞台にしたら海賊と幽霊船は無視できません。
是非とも頭の片隅にでもしまっておいていただけたらと思います。
それではまた!
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