女性ながら海賊として名を馳せた者たちがいます。
今回はそのうちのひとり、アン・ボニーをご紹介。
日本で海賊というとおそらく『ONEPIECE』が思い当たるでしょう。
作中登場人物に女海賊ジュエリー・ボニーがいます。
主人公ルフィと同じ「最悪の世代」に名を連ねるルーキーです。
今回のアン・ボニーはおそらく彼女の元ネタであろうと思います。
ま、名前ぐらいしか共通点なさそうですけどね。
ファンタジーの知識があれば、より楽しい!
それでは今回も気軽に覗いていってくださいね。
アン・ボニーとは
17世紀後半に生まれ1720年ごろまでカリブ海で活躍した女海賊です。(生没年不詳)
アイルランドの弁護士であった父親が愛人との間に設けたのがアン・ボニーです。
私生児であることを隠すため男の子の格好をさせ、アンは親戚の子なんだと説明されました。
しかし正妻に正体がバレ、やむなく父親は愛人とアンを連れてアメリカへ。
父親はその後も農場経営で成功をおさめました。
このようにアンは何不自由ない生活を送ったのですが、実は気性が荒い性格で、時に使用人の女性をナイフで刺殺してしまったり、言い寄ってきた男を長期療養に追い込むほどコテンパンにしたこともありました。
そして20歳にもならない頃にジョン・ボニーというチンピラ船乗りと恋に落ち、駆け落ちしてしまいます。
裕福な生活と数多い縁談を蹴って船乗りと恋に落ちたのです。
ボニーという性はこの船乗りから来ているのでしょう。
しかし恋多きアン・ボニーはすぐに別の男になびきます。
それが海賊ジョン・ラカム。
またジョンという名です。アンはジョンフェチか?
それはともかく、シャレオツな男でインド産キャラコ生地の衣装を愛用していたことから「キャラコ・ジャック」とも呼ばれました。
こうしてアンはジョン・ラカムの船に乗り、再び男装して海賊として生きることになったのです。
メアリー・リードとの出会い
ある時、襲撃した客船に乗っていた青年がジョン・ラカムの部下として海賊一味に加わりました。
軍人としての経歴がなかなかに素晴らしかったのでスカウトされたのです。
それがなかなかのイケメンで、アンは彼を気に入ります。
常に並んで戦闘をこなすうちに意気投合し、ついにアンは自分が女であることを打ち明け関係を迫りました。
この青年がメアリー・リード。
じつは彼も男装した女でした。
メアリー・リードもまた子供のころから男の子として育てられていました。
父親違いの亡くなった兄に扮して養育費をせしめようと考えた母親のせいです。
しかしメアリー自身も成長すると男と偽ってフランドルの騎兵隊に入隊してしまいます。
それから紆余曲折を経て軍隊を辞めた後、乗っていた客船がジョン・ラカムに襲撃されました。
お互いが実は女だとわかった後も二人は仲良くラカムの元で海賊行為を続けました。
シャレオツなラカムの両横には絶えず二人の女海賊が控え、しかも戦闘となるとピストルとカトラスを手に先頭きって戦ったのです。
海軍を相手にしたときはビビッて船倉に閉じこもる船員に向けてピストルをぶっ放し発破をかけたりしました。
ちなみにその一発が当たり亡くなった船員がいたそうですが。
しかしその戦闘がラカム海賊団の最後の戦闘となったのです。
二人のその後
1720年10月——
ジャマイカ沖で海軍に拿捕されたラカム海賊団は裁判で即刻しばり首が決まります。
しかしその裁判で二人のエース、アンとメアリーが実は女であったことが世間に発覚します。
さらに二人とも妊娠していました。
そのためラカムらは翌日処刑されましたが、二人の処刑執行は延期されることに。
アン・ボニーは最期を迎えるラカムに「あんたがもっと男らしく戦ってれば、惨めに吊るされることもなかったんだよ」と吐き捨てたそうです。
アンとメアリーはその後、出産を控えていましたが、メアリーは熱病にかかり牢獄で亡くなりました。
1721年4月28日に埋葬されたと記録があります。
アンは無事に出産を遂げますが、乳飲み子を抱えている間、何度も刑の執行は延期されました。
そしてそのうちにアンと子供はひっそりと姿をくらましたそうです。
一説では父親が裏から手を回して逃がしたとか。
結局アン・ボニーのその後は要として知れぬままに、この世から痕跡を消してしまったのです。
おわりに
アン・ボニーは私生児でしたが裕福な父親に愛され結果わがままに育ったようです。
気性も荒く、言葉遣いから振る舞い、相手に対しても容赦はなく、メアリー・リードに比べて下品で低劣であったという証言もあります。
有体に言って、女海賊だからといって夢見がちに幻想を抱くべきではないのかもしれません。
実際彼女による被害者もいたわけでしょうしね。
とはいえファンタジーで海を舞台にすればどうしても女海賊というのは登場させたくなりますよね。
この記事がなんらかの参考にでもなれば幸いです。
それではまた!