『スレイヤーズ』とは
『スレイヤーズ』とは神坂一氏による、富士見ファンタジア文庫から刊行されたいわゆるライトノベルです。
90年代前半、それまであったファンタジーという世界観をより軽く、よりアニメチック、よりゲームチックに構成した、いわゆる「ライトノベルの祖」と言える作品です。
おそらくこの作品が世に出た当初はまだ「ライトノベル」という表現、ジャンルは確定していなかったと思います。
この作品以降、日本でのファンタジー世界観が一定の方向に強く打ち開かれた感があります。
主人公は15歳の自称天才美少女魔道士リナ・インバース。
魔法使いの彼女は旅をしながら盗賊団を襲っては金品を巻き上げる生活をしていました。
「悪人に人権はない」と言い切る彼女についたあだ名は「盗賊殺し(ロバーズキラー)」。
その実力は「ドラゴンもまたいで通る(通称「ドラまた」)」ほどと言われる。
そんな彼女にも仲間ができ、そして魔族と戦う日々が訪れます。
それまでの西洋チックでダークなファンタジー世界とは違い、明るく快活な主人公リナによる一人称視点で語られるこの物語は、しかし意外なほどになかなかハードな展開を見せてくれます。
原作小説として全15冊(数年の時を経て16巻以降続刊となりましたが)で綴られた物語本編は、敵である魔族が容赦ないほどに強いのなんの。
原作4巻で戦った魔族が自らを「中級」と語った際、リナが絶句したシーンは未だに印象に残っています。
『ドラゴンボール』でラディッツから残り二人のサイヤ人の存在を聞かされ恐ろしくってガタガタ震えた孫悟空と同じ絶望感でした。(わかるよね?)
一応この『スレイヤーズ』には本編より前日譚に当たるとして、短編を集めた『スレイヤーズすぺしゃる』というコメディ特化の作品も30巻以上刊行されています。
また当然ながらTVアニメ、劇場版、OVAも数多く制作され、漫画化、ゲーム化もしています。
今回はそんな壮大な世界観を持つスレイヤーズの魔法を一覧にしてご紹介したいと思います。
ファンタジーの知識があれば、より楽しい!
皆さまの創作活動の参考になりますよう。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
スレイヤーズ魔法一覧
主人公リナ・インバースが使う魔法は主に下記の3種類です。
- 「精霊魔術」魔力を炎や氷など物理的な力に変えて行使する。
- 「白魔術」神からの力の行使による
- 「黒魔術」魔族からの力の行使による
さらに精霊魔術は「火」「水」「地」「風」「精神」の5系統に分かれます。
それでは順に見ていきましょう。
精霊魔術「火」
精霊魔術「火」は引き出した魔力を炎に変換する魔法です
炎の矢(フレア・アロー) | 炎の矢を目標に向かい一直線に飛ばす |
烈火陣(フレア・ビット) | 数十発の光の球を目標に炸裂させる |
爆煙舞(バースト・ロンド) | 無数の光の球を目標付近で炸裂させ炎を撒き散らす |
破弾撃(ボム・スプリッド) | 熱を持たない火炎球を任意の地点で炸裂させる |
炎の槍(フレア・ランス) | 複数の炎の矢(フレア・アロー)を収束して目標に放つ |
炎熱鞭(バム・ロッド) | 手のひらから炎の鞭を生成し目標を攻撃する |
火炎球(ファイアー・ボール) | 光の球を投げつけ炎を炸裂させる。これができるかが魔道士のレベルの目安になる |
爆炎矢(ヴァル・フレア) | 大きめの炎の矢(フレア・アロー)で威力はデカい |
炎烈砲(ヴァイス・フレア) | 爆炎矢(ヴァル・フレア)の強化版 |
炎霊滅鬼衝(ルーン・フレイア) | 火精からの超高熱の炎を槍の形にして放つ。炎系対個人最強。 |
烈火球(バースト・フレア) | 任意の空間に光の球を生成し高威力で炸裂させる |
暴爆呪(ブラスト・ボム) | 烈火球(バースト・フレア)並みの光球を無数に生み出す火炎系最強。伝説の魔道士レイ・マグナス専用魔法 |
炎裂壁(バルス・ウォール) | 炎を左右に吹き散らす。あらゆる炎に有効 |
炎呪封殺(フレア・シール) | 爆炎の中にいても熱さを感じないほど高位の耐火呪文 |
精霊魔術「水」
精霊魔術「水」は引き出した魔力を水や氷に変換する魔法です
氷の矢(フリーズ・アロー) | 無数の氷の矢を一直線に飛ばす。目標の部位に氷結効果も見込める |
冷破吠(ハウル・フリーズ) | 強力なブリザードを発生させる |
氷の槍(アイシクル・ランス) | 複数の氷の矢(フリーズ・アロー)を一本にまとめて目標に放つ |
砕氷塵(グレイ・バスター) | 辺りの気温を下降させ目標を凍結する。威力を抑えマントの内側で使うと冷房になる |
氷結弾(フリーズ・ブリッド) | 蒼く輝く光球が着弾した位置を中心に凍結させる火炎球(ファイアー・ボール)の氷版 |
氷窟蔦(ヴァン・レイル) | 壁、床、天井など手を触れた場所から氷の糸が這い、触れると全身が氷の彫像と化す |
結破冷断(ライブリム) | 触れたものを氷漬けにする冷気の波動を放つ。接近戦用だが高威力 |
霊氷陣(デモナ・クリスタル) | 突然地面から霧を噴き上げ一瞬で凍結させる |
氷霧針(ダストチップ) | 爪ほどの小さな氷の矢を無数に放つ。殺傷能力は低いが痛い |
魔結球(フリーズ・レイン) | 空中に生成した氷の球から無数のツララを放つ無差別破壊魔法。球を壊すまで続く |
水気術(アクア・ブリーズ) | 水中呼吸が可能になる |
幻霧招散(スァイトフラング) | 術者を中心に霧を発生させる |
水竜破(シーブラスト) | 直接水面に手を付けて大きな波を起こす。中型の帆船なら転覆する程度 |
黒霧炎(ダーク・ミスト) | 闇黒の霧を作り周囲を闇にする。魔法の光ですら遮る |
精霊魔術「地」
精霊魔術「地」は引き出した魔力で大地に干渉する魔法です
炸弾陣(ディル・ブランド) | 術者を中心に土砂を巻き上げる |
爆裂陣(メガ・ブランド) | 効果範囲と巻き上げる土砂の量が増した炸弾陣(ディル・ブランド)の強化版 |
爆術法(グレイボム) | 対象の足元の地面を爆発させる。剥き出しの地面でしか使えない |
地雷破(ダグ・ウェイブ) | 爆術法(グレイボム)の強化版。どこでも使える |
礫波動破(ヴィーガスガイア) | 大地に付けた手から波動を走らせ特定の場所に振動を起こす |
地霊咆雷陣(アーク・ブラス) | 術者を中心に広範囲に雷の雨を降らす。殺傷力はそこまでではない |
地撃衝雷(ダグ・ハウト) | 巨大な岩の錐を無数に隆起させる |
蓮獄火炎陣(ヴレイヴ・ハウル) | 術者の前方広範囲を溶岩の吹き溜まりと化す |
地撃崩斬(ブレードハウト) | 剣の一振りで大地を走る衝撃波となる。目標に向かい自動追尾もする |
地静霊呪(ダグ・ブレイク) | 周囲の地精の干渉を打ち消す |
地精道(ベフィス・プリング) | 大地にトンネルを掘る |
精霊魔術「風」
精霊魔術「風」は引き出した魔力を風や雷に変換する魔法です
風牙斬(ブラム・ファング) | 風の矢を放ち目標を断ち切る |
魔風(ディム・ウィン) | 目前の空気を凝縮して一時的な突風を生み出す |
轟風弾(ウインド・ブリッド) | いくつもの風の衝撃波を放つ |
雷撃(モノ・ヴォルト) | 一時的な痺れを与える程度の初歩的な雷の呪文 |
雷撃破(ディグ・ヴォルト) | 殺傷能力の高い一条の雷を放つ |
振動弾(ダム・ブラス) | 無色の光の槍を打ち出す。命中すると自爆する |
爆風弾(ブラム・ガッシュ) | 凝縮した風を無数の矢にして放ち、命中すると炸裂する |
風魔咆裂弾(ボム・ディ・ウィン) | 高圧力の強風が術者の前方に吹き荒れる |
風波礫圧破(ディミルアーウィン) | 超高圧の空気の塊を任意の方向へ弾き強風を生む |
魔風斬(ディム・クロー) | 術者を中心に真上へ風を吹かす。かっこつけるときの演出用 |
風裂級(エアロ・ボム) | 圧縮した空気を任意の場所で弾けさせる。飛来物を弾くなど防御用 |
空断壁(エア・ヴァルム) | 風の結界を張り呪文などから身を護る |
浮遊(レビテーション) | 対象に浮力を持たせる |
翔封界(レイ・ウイング) | 自由に空を舞う。コントロールが難しく同時に他の魔法は使えない |
精霊魔術「精神」
精霊魔術「精神」は引き出した魔力を対象の精神世界面(アストラル・サイド)に干渉させる魔法です
青魔烈弾波(ブラム・ブレイザー) | 青い光の衝撃波が目標へ一直線に進み、精神と肉体両方にダメージを与える |
烈閃槍(エルメキア・ランス) | 精神のみにダメージを与える光の槍を撃つ。純魔族に対して有効な魔法 |
烈閃牙条(ディスラッシュ) | 烈閃槍(エルメキア・ランス)の拡大版。ブーメランのような形をしている |
烈閃咆(エルメキアフレイム) | 烈閃槍(エルメキア・ランス)の強化版。槍よりも太い光の柱を撃ち出す |
雷花滅撃吼(ラザ・クロウヴァ) | 小さな無数の光の粒が吹き付ける。肉体と精神両方にダメージ |
螺光衝霊弾(フェルザレード) | 渦巻く光の帯が対象の精神と肉体にダメージを与える |
冥壊屍(ゴズ・ヴ・ロー) | 目標の精神、次いで肉体を順に滅ぼす影が一直線に伸びる |
崩霊裂(ラ・ティルト) | 全精霊魔法中最強。青い炎が対象一体の精神を破壊する。純魔族に対し最高の有効打 |
呪霊四王縛(アストラル・ブレイク) | 目標の精神世界面に干渉し存在を消滅させる |
霊王崩爆旋(ガルク・ルハード) | 術者を中心に精神と肉体両法にダメージを与える爆風を巻き起こす無差別型 |
虚霊障界(グームエオン) | 術者の周りに魔力を遮断する結界を張る |
隔幻話(ヴィジョン) | 遠方に自分の幻影を現し会話ができる。ただし端末となる魔道士がいないとダメ |
夢幻覚(イリュージョン) | 対象の頭の中に見せたい映像を直接送り込むことができる |
影縛り(シャドウ・スナップ) | 目標の影にナイフを突き立て動きを封じる。魔法は封じれない |
魔皇霊斬(アストラル・ヴァイン) | 一時的に武器に魔力を込め物理無効の魔族にもダメージを与えられるようにする |
霊王結魔弾(ヴィスファランク) | 自分の拳に魔力を込める |
妖影縛(シャドウウェブ) | 自分の影を触手のように伸ばし対象の影を貫き影縛り(シャドウ・スナップ)する |
白魔術
白魔術は引き出した魔力によって正常な力の働きを促進させる魔法です
浄化炎(メギド・フレア) | 悪意や敵意を和らげ、害意を持った低級霊を退ける |
浄化結界(ホーリィ・ブレス) | 低級アンデッドを浄化する光の波を放つ。効果範囲は小さな都市ぐらい |
崩魔陣(フロウ・ブレイク) | 範囲内全ての魔法効果を打ち消す |
霊光壁(ヴァス・グルード) | 小さな盾程度の魔力障壁を生み出す |
誘蛾弾(モス・ヴァリム) | 炎に吸い寄せられる光の球を作り、炎の魔法を打ち消す |
弦操呪牙(カオス・ストリング) | 糸や紐を絡めとる、または糸や紐を自由に動かす |
明り(ライティング) | 照明を生む。強烈なフラッシュを起こすこともできる |
消化弾(エクストボール) | 火を消し止める。ただし広域な火災には力不足 |
霊縛符(ラファス・シード) | 対象の身体の自由を完全に奪う |
眠り(スリーピング) | 範囲内の生物に強力な睡魔をもたらす。半日ほど簡単には起きない |
封錠(ロック) | 魔法の鍵を施す |
封除(アンロック) | 鍵を開ける |
治癒(リカバリィ) | 治癒能力を高め傷を治す。ただし体力を使うため消耗が激しいと疲労で命を落とす |
麗和浄(ディクリアリィ) | あらゆる毒を浄化することができる |
復活(リザレクション) | 周囲の生命体から気を分けてもらい対象の怪我を治す |
黒魔術
黒魔術は魔族の力を借りる破壊の魔法です
破砕鞭(バルス・ロッド) | 手のひらから光の鞭を出し対象を攻撃する |
黒狼刃(ダーク・クロウ) | 輪郭のぼやけた黒い羽虫のような魔力弾を発射する |
塵化滅(アッシャー・ディスト) | 単体目標を一瞬で塵の塊にしてしまう |
黒妖陣(ブラスト・アッシュ) | 一定範囲を黒い空間で包み、生命体のみを塵にする |
黒魔波動(ブラスト・ウェイブ) | 両手で触れたもののみを破壊する。壁なら穴を開ける |
冥魔槍(ヘルブラスト) | アンデッドも含めたあらゆる生命体の活力を奪う暗黒の槍を放つ |
餓竜咬(ディス・ファング) | 自分の影の中に竜を召喚、竜は目標の影を攻撃し実体にダメージを与える |
海王滅殺斬(ダルフ・ゾーク) | 水を鋭利な刃と化す。「海王ダルフィン」の力を借りる |
海王槍破撃(ダルフ・ストラッシュ) | 超高速の衝撃波が対象を粉々にする。「海王ダルフィン」の力を借りる |
覇王氷河烈(ダイナスト・ブレス) | 魔力の氷で対象を凍結、崩壊させる。「覇王グラウシェラー」の力を借りる |
覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス) | 対象の周囲で五芒星の頂点に稲妻を落とす。「覇王グラウシェラー」の力を借りる |
獣王牙操弾(ゼラス・ブリッド) | 自由自在に操れる光の帯で攻撃する。「獣王ゼラス・メタリオム」の力を借りる |
魔竜烈火砲(ガーヴ・フレア) | 一直線に伸びる火炎が全てを貫通する。「魔竜王ガーヴ」の力を借りるが本編でリナがガーヴを倒して以降は使用できなくなった |
冥王降魔陣(ラグナ・ブラスト) | 闇の柱から伸びる黒いプラズマが対象を包む。「冥王フィブリゾ」の力を借りるが本編でリナが倒して以降は使用できなくなった |
冥王幻朧呪(ラグナ・ドライブ) | 自己判断で動くアンデッドを作り出す。「冥王フィブリゾ」の力を借りるが本編でリナが倒して以降は使用できなくなった |
竜破斬(ドラグ・スレイブ) | 人が使える最強の術。都市ごと消し飛ぶ威力。「赤眼の魔王シャブラニグドゥ」の力を借りる。『スレイヤーズ』の代名詞的な魔法 |
重破斬(ギガ・スレイブ) | 「金色の魔王ロード・オブ・ナイトメア」の力を借りるリナ専用の最強魔法 |
魔王剣(ルビーアイ・ブレード) | 「赤眼の魔王シャブラニグドゥ」の魔力を借りて赤い剣を作り出す。あらゆるものを切断する |
神滅斬(ラグナ・ブレード) | 「金色の魔王ロード・オブ・ナイトメア」の力を借りるリナ専用。闇の剣を生み出す |
群霊覚醒呪(ネクロ・ヴード) | 死体に低級霊を憑依させてアンデッドを作る |
黒影夢(ヴン・ガ・ルイム) | 低級魔獣「黒獣人(シャドウ・ビースト)」を召喚する |
霊呪法(ヴ=ヴライマ) | 石や岩を集めて巨大な石人形(ゴーレム)を作る |
骸降来(ガイアグライズ) | 大地に魔方陣を刻みブラス・デーモンを召喚する |
石霊呪(ヴ・レイワー) | 岩で竜を作り低級霊を憑依させるナーガ専用魔法。必ず暴走する |
雷竜降(ガイ=ラ=ドゥーガ) | 雷撃竜(プラズマ・ドラゴン)を召喚する。大量の水がある場所限定 |
魔竜吠(グ・ル・ドゥーガ) | 魔王竜(デイモス・ドラゴン)を召喚する |
水母召(ゼラス・ゴート) | クラゲを呼び寄せる。ナーガ専用 |
おわりに
いかがだったでしょうか。
ここに挙げた魔法は概ね本編10巻、外伝(すぺしゃる)10巻程度までの一覧になります。
全てを網羅したとは言えませんが、スレイヤーズ全盛期と言えるTVアニメ1期「スレイヤーズ」2期「スレイヤーズNEXT」、さらに3期からはオリジナルとなった「スレイヤーズTRY」辺りまでは抑えられたと思います。
特に当時アニメを楽しまれた方ならば、魔法の名称を見ただけでも懐かしさがよみがえるのではないでしょうか。
私的にはリナよりもゼルガディスが叫んでいるシーンが印象深かったりします。
特に「烈閃槍(エルメキア・ランス)」や「冥壊屍(ゴズ・ヴ・ロー)」「崩霊裂(ラ・ティルト)」あたり。
敵が大抵魔族だったので精神攻撃系の魔法の使用頻度が多くなるのも納得ですよね。
そしてこう言っては何ですが、意外と魔法の名称の音の響きがイイんですよね!
声に出して言いたくなる気持ちよさがある。
こういった点も『スレイヤーズ』のヒット要因かもしれませんね。
それでは最後に超有名な呪文の詠唱を記載して締めようと思います。
90年代のオタクは全員例外なくこの呪文詠唱を暗記していました。言い過ぎてないです!
黄昏よりも昏きもの
血の流れより紅きもの
時の流れに埋(うずも)れし
偉大な汝の名において
我ここに闇に誓わん
我等が前に立ち塞がりし
全ての愚かなるものに
我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを
竜破斬(ドラグ・スレイブ)
それではまた!
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